自然楽校のフィールドを歩いてみよう☆ その2 | 小泉自然楽校のぶろぐ

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「3.11を忘れない」をテーマに、
小泉自然楽校事業がスタートします。
気仙沼市小泉地区の海、里山、森、畑などの自然の中で、
子どもたちはいろんな体験をしていきます。

さて、前回に引き続き、自然学校のフィールドを紹介していきたいと思います。

③小浜プライベートビーチ
野外炊飯場から沢の方に行くのではなく、別の道を進むと、小浜プライベートビーチと呼ばれている海岸まで下りていくことができます。これがそのビーチです。

ビーチ

そんなに広いビーチではないですが、プライベートビーチと呼ばれるだけあって、一般の人はここにはいません。とても静かな砂浜です。ただ、写真には写ってないのですが、ここにもたくさんの木や海藻、生活用品、ごみなどが打つあげられ、ボランティアの方たちの手で清掃が行われています。現在は一休みをすることができる小屋を建てているところです。


砂浜を歩いてみると、ところどころに貴重な鉱石が落ちていることに気づきます。津波によって土地が削り取られ、下の方に埋まっていた層が表れているのでしょう。中には、土の色の違いによって地層がはっきりと分かる場所もあります。そこで、下の方の層に石が多く混ざっていることに気づきました。阿部さんはそれを見て、「100年前の津波で運ばれた石だろう。今回の津波によって、100年前の土の層が表れた。ここでは、そういうことも実際に見て学ぶことができる。」と説明してくれました。


④岩場コース
プライベートビーチから右に岩の上をつたって歩いていくと、下のような景色が見えてきます。

無人島

そう、とても小さな無人島があるのです。震災前、干潮時には島まで陸続きになって歩いていけたそうですが、今はこのようになっています。行くには筏が必要ですね。去年の元旦には、ボランティアに来ていたみなさんでここから昇る初日の出を見たそうです。


ここからが岩場コースの紹介になるのですが、このコースはこの場所から右側に、岩場をつたいながら、場所によっては水の中を歩きながら、ぐるっと回って自然楽校のほうまで戻るルートになっています。だから、水につかります。この間は九州から来た元気な高校生たちがこのコースを歩いています。


阿部さんとここを下見したときに言われたことがあります。
「下見では、あらゆるところを観察し、起こりうる危険をできる限り予測すること。この岩を見てみろ。これは上にあったのが、津波のあと落ちてきたものだ。ということは、まだ上に残っているあの岩も落ちるかもしれない。それから、あそこの、根本が見えている松も。ようは、一つの状況をみて、どれだけ気づけるかということ。」


たしかに、前回・今回と紹介している道は、100%安全という場所ではありません。さまざまな危険があります。また、もし万が一津波が来れば、すぐに自分で逃げなければいけません。


しかし、反対に、100%安全という場所もないと思います。「想定外」という言葉が震災後あふれましたが、人間の想定をはるかに超える力を、自然は持っているのです。前回も書きましたが、人間が自然を完全にコントロールすることはできないということがわかりました。ということは、自然と共生していく、という道を考えていく必要があるでしょう。だからこそ、自然の中にある危険を予測することが大事になると思います。それが、「生きる力」なのです。ここ、小泉自然楽校は、都会の生活の中で失われつつある生きる力をもう一度呼びすます場所かもしれません。阿部さんは「スイッチを入れる」という表現を使っていましたが、私たちが日々の生活の中で忘れつつある大事なものを思い出すことができるのかもしれません。


今回紹介したコースの中で、僕自身のお気に入りの場所があります。それは前回紹介した「修行場所」なるところです。そこに座って、目をつぶるといろんなことが頭に浮かんできます。普段の忙しい中では、考えるべきことをきちんと考えずに、ついつい時間に追われてしまいます。でも、そこでは、一度とまって、時間を忘れて自分の世界を取り戻すことができる感覚がしました。みなさんもぜひ、お気に入りの場所を探してみたらいかがでしょうか。今回は紹介できませんでしたが、他にもたくさんのコースがあります。白樺コース、岬コース、カブトムシビオトープ、スギロード、半島外周コース…小泉自然楽校の魅了は限りなくあるのです。