自然楽校のフィールドを歩いてみよう☆ | 小泉自然楽校のぶろぐ

小泉自然楽校のぶろぐ

「3.11を忘れない」をテーマに、
小泉自然楽校事業がスタートします。
気仙沼市小泉地区の海、里山、森、畑などの自然の中で、
子どもたちはいろんな体験をしていきます。

小泉自然楽校のフィールドには、たくさんの遊歩道があります。ボランティアのみなさんのおかげで歩けるように整備されている場所もありますが、中には、草木をかき分けていくような険しい道もあります。そして、浜まで下りていくと、まだまだ3.11の大地震・津波の爪痕も多く残されています。ただ、「美しい」だけはない、いろいろなものを感じさせる景色。阿部校長は、「荘厳」という言葉を使って話をしていました。また、30年以上も手付かずだった場所もあるそうです。そんな道を歩いてみると、他ではみられない貴重な植物・動物に出会えるかもしれません。魅力たっぷりの小泉自然楽校のフィールド、僕自身、すべての道を知っているわけではないのですが、今回はそのうちのいくつかの道をご紹介したいと思います。


①沢コース
野外炊事場の裏の山を下りていき、沢を下ってパワースポットへとつながる道です。山を下っていくため、かなり険 しいところもあります。ただ、この道には古代植物や他では見られない花など、貴重な植物を目にすることができるのです。そして、沢にたどりつくと、そこにはカニがたくさんいました。写真は阿部さんがつかまえたカニです。


カニ


ぼくもカニをとろうとしたところ、つかみ方が悪く、はさみでガチョン。痛くておもいっきり手を振ると落ちましたが、カニははさみを犠牲にすることになりました。「トライ&エラー」の言葉を胸に、再度挑戦。こんどは失敗を生かし、うまいことカニを捕まえることができて良かったです。


そして海岸まで下りていくと、パワースポットと言われている場所に到着しました。そこは砂浜ではなくて岩場になっていて、波がたえず打ちつけているのですが、遠くを見渡すとそこに見えるのは対岸にひとつだけぽつんと建っているホテル。

ホテル


震災前、ここに見えている小泉海水浴場は日本でも有数の遠浅の美しい海岸で、サーフィンの全国大会も行われていたそうです。このホテルの周りにもいろいろな施設があり、このホテルの前には防潮林があったそうです。そしてその防潮林の前には、とても広い砂浜が広がっていたそうです。それが津波にのまれ、いまでは見えているとおり、この鉄筋がむき出しになっているホテルだけがかろうじて残り、防潮林はあとかたもなく流されています。さらに、地震による地盤沈下により地形が変化し、このホテルの前に広がっていた砂浜は海のそこに消え、いまではホテルの1階部分も海の中になっています。また、この写真では見えませんが、このパワースポットの左手には津波によって破壊された水門もそのまま残っています。震災直後、住民たちの命を守るために水門を閉めにいった消防団の方がお亡くなりになったと聞いています。


パワースポットから見える美しい海の景色。その中に見える津波の爪痕。そこには、いろいろな人たちのいろいろな物語があるはずです。ただ「きれい」とか「美しい」とかではない景色。阿部さんは「荘厳」という言葉を使っていましたが、ここはいろいろなものを感じ、考える場所だと思っています。


②アドベンチャーコース
このコース、現在はまだ整備されていませんが、下の写真に見えている急な斜面がそのコースです。

アドベンチャー


将来的には、ロープなどをつかってここを下りていくコースになるようですが、この写真でも分かる通り、下の海岸には流れ着いた流木や生活用品などが3.11後手つかずの状態でまだ残っています。もうすぐで1年半になりますが、当時と同じ状態、そのまま、です。


このコースのすぐ左側には、むかし修行場所にもなっていたといわれる場所もあります。僕もいってみましたが、そこはたしかになんとも言えない雰囲気がありました。座って目を閉じてみると、下の岩場に打ち付ける波の音。目を開けると遠くまで広がる青い海。少し分かりづらいですが、写真を良くみると、ここからもさきほどのホテルが小さく見えているのがわかります。

修行場所

ちなみに、このすぐ脇には、こんな形をした木も発見しました。

ドクロ


自然のちから、ですね。今回の震災では、地震と津波によって地形が大きく変わり、生態系も大きく変化していると言われています。人が入ってくる前の姿に戻っている場所も数多くあるでしょう。わたしたちは、これから自然とどのように生きていくのでしょうか。「開発」「自然破壊」の道をまた再び進んでいくのか。「共生」の道を探していくのか。とても大きな被害をもたらした今回の地震と津波。そこから考えなければなりません。ただ一つ言えるのは、人間の手で自然をコントロールすることはできない、ということです。


長くなってしまったので、今回はここまでにして、また次回、他のコースを紹介していきます。記事へのコメント、意見、批判等もぜひお待ちしております。