夏の新刊情報 | 大山格のブログ

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おもに歴史について綴っていきます。
実証を重んじます。妄想で歴史を論じようとする人はサヨウナラ。

 新刊といっても歴史研究同人・日本史探偵団のオハナシだ。

 夏、冬の年二回、出せるかぎりにおいて新刊を発行してきたが、この夏の新刊はコレ。

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 前回覆刻した『維新史八講』は予算の都合で百頁に収めるべく字を小さくし、余白も充分にはとれなかった。読みづらいと忠告を受けたのも、やむないことである。たしかに、読めない旧漢字を漢和辞典で引くとき、もとの本の字が小さくて読みづらいのでは不便だろう。そこで、今回は字を大きくし、余白も充分にとってみた。
 内容的には、浅野長勲『維新前後』、西園寺公望『懐旧談』いずれも後年の回想である。正確さにおいては日記などの同時代史料には遠く及ばない。しかし、維新前後の政局の渦中にあった二人が、はるか以前の青年時代の自分を客観視しつつ、強く印象に残ったことごとを回想している点はありがたい。
 両者の談話は交わっていないように見えて、実は関わりがないでもない。四三頁で西園寺がいうところの「某藩から出て居た参与の某々」とは、芸州藩の辻将曹のことである。鳥羽伏見の戦いまで薩長土芸の四藩が新政権を担うと見られていたのが、戊辰戦争後には芸州藩と肥前佐賀藩が入れ替わっている。その芸州藩が勝ち馬に乗り損ねて落馬した瞬間、西園寺は当事者として現場に立ち会っていたのであった。
 西園寺は幸運の星をつかみ、浅野はつかみ損ねたわけだが、その違いを意識しながら再読すると、また違った味わいを感じることが出来るだろう。
 ともあれ牛歩の如くではあるが、史料・文献の覆刻事業は、また一歩前進した。今後も御支持あるかぎり続けていきたい。

 さて、販売は……

 日曜日 西ほ-03a

 この記号の意味がわかるかたのみ、お待ちしております。

 以後の販売は、その都度おしらせする。

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