中村勘三郎さんの死因を元素で分析! | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし
2012-12-05 03:39:28

中村勘三郎さんの死因を元素で分析!

テーマ:元素周期表
中村勘三郎さんの死因を元素で分析!

歌舞伎の中村勘三郎さんが亡くなった。

食道癌を発病されていたが、直接の死因は、急性呼吸窮迫症候群。

この病気を、元素で解説したい。


急性呼吸窮迫症候群は、一言でいうと、肺の中が水浸しになり、呼吸ができなくなる病気。

肺炎などが重症化すると、血液の水分が肺の中に漏れだしてくる。


実は、私たちの肺は、スゴイことをしている。

血液と肺胞の内部で、酸素と二酸化炭素を交換しているのだが、肺にはこうした分子を運ぶ特別なポンプがあるわけではない。

呼吸のために、あまりにも大量の酸素と二酸化炭素を、瞬時に移動させないといけないので、そもそもポンプのような仕組みでは、まったく無理。

そこで、人体は、肺胞の細胞を限りなく薄くし、酸素と二酸化炭素が勝手に通り抜けるという方式をとった。


ところが、ここで問題。

薄くすると、血液の水分も肺胞の中に漏れ出してしまう。

だって、水はH2O。

酸素O2や二酸化炭素CO2よりも、さらに小さな分子だ。


だから、本来なら、誰もが、中村勘三郎さんの命を奪った急性呼吸窮迫症候群になってしまっておかしくない。

事実、健康な人の肺でも、水分がドンドン漏れてきている。

それをポンプで汲み取って生きているわけ。

船に侵入してきた水を、バケツで組みだして航海しているようなものだ。

重症の肺炎によってこのバランスがくずれるというのは、容易に想像がつくだろう。

いやはや、人体とはスゴイものだ。


男の色気を漂わせた中村勘三郎さんは、大好きだった。

ご冥福をお祈りしたい。

人体と元素の関係について、「元素周期表で世界はすべて読み解ける」(光文社新書)の第3章で詳しく解説しているので、こちらをご参照ください。
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