低線量ともいえない微弱な放射能しか発しない劣化ウラン、22年前の湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾で、米兵やイラクの子どもたちに深刻な健康被害を齎したという。

 福島原発事故で放出された膨大な放射能の影響は、劣化ウラン弾の比でないことは、医学者ではない素人でも判る事、イラクより遥かに高線量地帯の東日本、特に福島の子どもたちの健康被害が心配でならない。

 御用学者を中心に、低線量被ばくの健康被害を矮小化する傾向があるが、既に20年も前に劣化ウラン弾で深刻な被曝被害が出ているのに、医学界はいったい何をやって来たのか?

 中国新聞・過去記事より
湾岸戦争 米・英95万個使用  劣化ウラン弾 被曝深刻
【白血病や先天性障害 
 米軍43万人、汚染地帯に

 核兵器や原子力発電用の濃縮ウラン製造過程で生まれる大量の劣化ウラン(ウラン238)は、鉛より比重が重く、優れた貫通力は 対戦車砲として絶大な威力を発揮する。摩擦熱による発火力も高く、発火の際に放射能を含んだ微粒子が大気中に飛散。劣化ウラン の持つ強い毒性と併せ、人体や動物に悪影響を与え、環境汚染を引き起こす。
 湾岸戦争では、戦車や戦闘機から米・英両軍合わせて約九十五万個(劣化ウラン約三百二十トン分)の砲弾が広範囲に使われた。その 結果、地上戦に加わった米軍兵士だけでも、四十三万六千人が放射能汚染地帯に入り、劣化ウラン粒子の吸入などで被曝したとされ る。

 昨年七月までに、湾岸戦争に参加した退役米軍人五十七万九千人のうち、二十五万一千人(約四三%)が退役軍人省に治療を求め、 十八万二千人(約三一%)が病気や傷害に伴う「疾病・障害」補償を請求した。病名は白血病、肺がん、腎臓(じんぞう)や肝臓の慢 性疾患、気管支障害、慢性的けん怠感、皮膚斑点(はんてん)、関節痛などである。

 これまでに少なくとも九千六百人以上が亡くなり、湾岸戦争後に生まれた彼らの子どもたちの間には、先天性障害を抱えた子も多 い。また、同じ症状は湾岸戦争参加の英国兵にも表れている。

 イラクでは、前線で辛うじて生き延びた兵士ばかりでなく、市民、とりわけ子どもたちの間に白血病やリンパ性がんなどさまざま ながんが増加。先天性異常を持つ新生児の誕生も目立つ。国連決議に基づく米国、日本などの対イラク経済制裁による医薬品不足や医 療設備の不備などが、いっそう事態を悪化させている。

 米国防総省や英国防省は、劣化ウラン弾による人体や環境への影響を認めておらず、米軍は昨年のコソボ紛争で再び空爆に使用。北 大西洋条約機構(NATO)軍は今年二月七日付のアナン国連事務総長あての書簡で、約三万一千発の劣化ウラン弾の使用を公式に認 めた。

 このほか米国では、劣化ウラン弾の製造工場作業員や周辺住民、試射実験場周辺住民らにも大きな影響が出ている。しかし、被曝の 全体像は今もつかめていない。】