竹島密約考 後編 | 三宅久之オフィシャルブログ「三宅久之の小言幸兵衛」Powered by Ameba

竹島密約考 後編


三宅久之オフィシャルブログ「三宅久之の小言幸兵衛」Powered by Ameba-竹島切手 3
竹島の地図入り80円切手も発行されている。


日韓基本条約交渉時に両国が合意していた、竹島(独島)の領有権問題を「事実上棚上げし、互いに領有権の主張を認め合う」という密約は、韓国でも歴代大統領に引き継がれてきたが、1993年大統領になった金泳三氏には引継ぎがなかった。理由は不明である。そこで金大統領は突然、独島の実質的支配体制を確立するため、接岸施設を設け、軍隊を常駐させ、対空兵器なども装備する要塞化を進め、今日に至った。

 

 元NHK記者、渡部亮次郎氏は、私よりあとの世代の河野一郎担当だった人だが、乞われて園田直氏の秘書となり、外相秘書官も務めた政界事情通である。彼の著作「竹島『密約』のあった時代」によると、「竹島密約については韓国ではすでに広く知られている」という。それは韓国人ビジネスマンが中曽根元首相からその事実を聞き、韓国の雑誌「月刊中央」(中央日報社 2007年4月号)に発表したからで、それを基に産経新聞が2007年3月20日付、「『密約』の存在、韓国誌が紹介」という見出しで報道している。

 

 私は「月刊中央」の記事は読んでいないので、渡部氏の著作から引用させてもらった。さらに渡部氏は、韓国側の密約文書は金鐘珞氏が自宅に保管していたが、1980年5月ごろ焼却したとされ、文書は日本側(外務省)にしか残っていないと書いている。しかし政府は、この問題について鈴木宗男衆院議員(当時)が2007年3月、提出した質問主意書に対して「合意があったとは理解していない」と回答、婉曲に否定している。

 

 以上が私の知る竹島密約の経緯だが、これを書いている今も釈然としないことがある。一つは任期満了が間近になった(再選されることのない)李明博大統領が、なぜ今竹島へ上陸し、石碑まで立て、天皇陛下の訪韓問題についても事実を歪曲して大衆迎合を図るのか。もっともこの見え透いたパフォーマンスでも、李大統領の支持率が17%から26%へ9ポイントも上昇したというから、韓国では依然として反日カードは一定の効果があるようだが。

 

 二つ目は、ロンドン・オリンピックでも韓国のサッカー選手が「独島はわが領土」と書かれたプラカードをかざして問題となったが、通常領土主権を叫ぶのは、領土を不当に占拠されたと思う側が、占拠している国へ抗議のために声をあげるのではないか。不法不当に実質支配している側がプラカードを掲げ、デモ行進するというのは、よほどのやましさがあるからではないか。

 

韓国は一衣帯水の間にある友邦で、仲良くしたいとは思うのだが、あのエキセントリックな国民的性癖にはうんざりさせられる。(終わり)