QOLの高低について | ねもたかのブログ

ねもたかのブログ

できるだけ教育関連や興味の持った記事・論文を書こうと思っています

近年,いかに安らかに死を迎えられるかという生命の質(QOL)の考え方が広まり続けている。しかし、生命の質の高低については人それぞれ考えの価値観が違うため数値化することは困難であり、そこでQOLの高低の基準を決めるべく、欧州で開発されたQOLの尺度を図ることが出来る調査票、EuroQol(EQ-5D)を生命の質の高低を図る基準として適用した。その結果、生命の質の数値化を表せるようになった。これにより、患者の尊重と数値を前提に医者が患者に的確な対処の方法を患者に提供することが出来る。



従来の医療は生命の尊厳(SOL)の考えのもと、患者の生命を維持させる延命治療を目的としてきた。しかし、近年は延命治療によってただ生命を維持させるだけではなく、残された時間をいかに人間らしく過ごし、いかに安らかな死を迎えられるかという生命の質(QOL)の考え方が広まってきている。例として、末期がんの患者に副作用の激しい抗がん剤を投与するべきか、それとも痛みを和らげる治療に重点をおくか、また手術によって体が不自由になる場合はどうするかなど、できるだけ患者の意思を尊重し、患者の生活の質に配慮をした治療をすることを目的としている。ここで私は患者の生活の質に考慮した治療を行うべく、患者のQOLの基準を図るための方法として、患者の視点から認識する主観的指標EuroQol(EQ-5D)の方法を適用する。



EQ-5DとはQOLを測定するために1987年に設立されたEuroQolが開発した包括的な評価尺度であり、世界各国で用いられている。また日本語版は2001年に開発され、調査研究等で使用されている。方法としては五項目の質問それぞれの問いに三つの水準があり、解答結果を元に基準化された健康状態のスコアが算出可能である。五項目の質問として①移動の程度②身の回りの管理③普段の活動④痛み/不快感⑤不安/ふさぎこみの5つである。この方法は先ほど述べたとおり患者の視点から認識した結果によるものである。



このEQ-5Dを取り入れることによりここ数年の日本の生命の質に対する治療の幅が増え続けている。何故なら、一定の基準を設けることで生命の質の数値化がある程度出来るようになったからだと考える。そうすることにより医者が患者に対して的確な治療や今後の方針が見えてくる。この方法により生命を維持するだけの治療だけではなく、患者の生活の質を考慮した治療ができるターミナルケアによるホスピスなどの施設を患者に選択の1つとして患者に提供できる。下の図は日本のホスピスなどの緩和ケアを目的とした病棟の数である。この図から読み取れる情報として施設の累計数が右肩上がりだということが分かる。このことから日本の人口が増え、同時に患者も増大したことが分かる。
ねもたかのブログ
こういったホスピスの数の増大から患者の生命に対する認識が高まり、段々と生命の長さより質を尊重する患者が増えていることがわかる。これから先も日本のホスピスの数は患者の数に比例して増え続けるだろう。そしてEQ-5Dという調査法により患者のQOLの高低をある程度患者自身が理解し、その程度に見合った治療を促すことが医者の重要な役割の1つである。


参考文献
日本ホスピス緩和ケア協会 緩和ケア病棟届出施設の推移・累計施設数