"心の眼"が起こした"奇跡" | firehowkさんのブログ

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私は人の心の中を垣間見る能力 "心の眼" を持ち合わせた人間です...
前回のブログ 『誰にも言えない…"心の眼" 』では、この能力を持ったが故に色々と弊害に悩んでいる事を書き綴りました...

しかし、この読心術の様な "心の眼" のおかげで感動的な出逢いがあり、短い付き合いでしたが、幸せで楽しい時間を過ごす出来事がありました。

それは今から遡ること7年前、事故に会い、栄養失調になっていた野良犬に出逢い、ご飯を上げて助けたことがあります。ボロボロの白い犬は、次第に怪我も回復して元気に走り回れる様になったのですが、それも束の間、今度は周囲の心無いオバさん達に通報され、保健所送りになってしまいます。
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当時、動物を飼えない環境にいた私は、悔し涙を流し悩んだ挙げ句、何とか周囲の温かい支援で、この野良犬を救う事が出来ました。

雪の降らない年の冬に現れたこの♀犬に私は "ゆき" と名付け、一緒に暮らす事になったのですが、不思議な感覚は直ぐに現れました。
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病気なのかと思う位に吠える事はしないのに、人との会話が出来る犬…
もちろん、言葉を話すことはありませんでしたが、私の質疑に手を私にかざして返事をするのです。
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私は読心術の様な "心の眼" "ゆき"の心を読めましたので他人から見れば、ほぼ、会話が成り立ってる様に見えたのかも知れません…
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犬は不機嫌だと嫌がらせをする事もあるし、悲しい時は涙を流します。
時にはテレビを見て楽しんでいる事もありました。
彼女が好んで観ていた番組は"ムツゴロウと愉快な仲間たち"で、
真剣にTVを観ている光景は、今でも笑えてしまう懐かしい思い出です。
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そんな意思の疎通が成り立ってる私達に突然、不幸な運命が舞い込んで来ました。

彼女の脚に悪性の腫瘍が出来ていたのです。
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何とか、彼女を助けたい…私はその想いだけで、彼女の脚の腫瘍を切除する結論を出しました。

何とか手術は成功したのも束の間、癌はリンパをたどって転移し始め、悪性貧血を起こし、仕舞いには癌を切除した脚の傷口が壊死してきました。
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「後ろ脚を根元から切断しないと、命が危ない…」

獣医師に告げられた言葉に衝撃を受けずにはいられませんでした…


私は病院の帰り、車の中で彼女に「脚を切らなきゃダメなんだ…」と告げてみました。

すると、彼女はお座りの姿勢のまま、ぐったりと頭を垂れてうつむき、落ち込んでる様子…
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あまりにも悲しげに落ち込む、彼女の悲しすぎる姿を見て私はつい、
「じゃ、切らずにもうちょっと、頑張ってみようか!?
と甘い声をかけてしまいます。

彼女は満面な愛嬌たっぷりの表現で、痛いぐらいに私の膝に前足を叩き付けて喜んでいました。
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そして、数週間の猶予の間、可能な限りの治療法を模索しながら病魔との格闘が始まりました...
傷口の血液を止めるための止血剤を探したり、増血作用を促すビタミンを摂取させたりと、考えられる方法を色々と試す日々が続きます...
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しかし、彼女の体調は日に日に悪くなり、散歩の最中に気を失って倒れる様な状況に陥ってしまいました。

さすがに命の危険を悟った私は
「俺のためにもう少しだけ、長生きしてよ!!」
と彼女に意思を投げ掛け、渋々、納得してもらい手術に挑みました。

手術はかろうじて成功しました...

脚を失った彼女は不機嫌な事もあり、病人患者特有の挫折感的なワガママがあったりしましたが、生きる事には一生懸命でした。
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大好きな散歩も元気な時と同様、気まぐれな自己チューなスタイルで端から見れば私が、散歩させられてる様な感じ…
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「これからは、俺がお前の脚になるからね!?
そんな私の感情を彼女は読み取ったのでしょうか?…
癌が全身転移し、動けなくなるギリギリまで彼女の散歩は続き、私はとことん付き合いました。

そんな必死に生きる彼女でも、時折ですがとても寂しい瞳を見せる事があります。
そんな彼女の瞳と目が合ってしまう度に、私は涙を流さずには入れませんでした...
だって、その時の彼女の心の中では
『せっかく、楽しい仲間と出会ったのに...なんで?』
と言う想いがいっぱいで、身に迫る孤独な死と毎日戦っているのです...
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私は彼女に投げかけます...
『俺が生涯で犬と共に過ごすのは、おまえだけだから安心して...』
すると、彼女は照れくさそうに...でも、嬉しそうに私の膝に前足をかざしてきます。
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死に直面する者が一番切なく思えてしまうのは、自分が忘れられてしまう絶望感...
だるくて思う様に動かない身体に苦しみながら、彼女の心の中にはそんな切ない悲しさと消えてしまう自分の恐怖が入り交じってました...

苦しみに耐えながら、ギリギリまで私のために生きようとする "ゆき"の姿は壮絶なものでした...私は彼女の傍らに床を並べ一緒に寝ます。

『この子と一秒でも一緒に居たい』

と言う想いからの行動でした。そんな毎日が続く中、彼女も安心したのか床ずれを避けるために寝返りをうつ際にはいたずら心で、寝入ってる私の鼻先を舐めてきます...
驚いて眼を覚ますと、ニンマリと満面の笑みを浮かべた彼女の顔が目の前にありました...
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そうした日が数週間が続き、ようやく三本脚での生活に慣れて来て順調に平和が訪れようとしていたある日、彼女はまた倒れてしまいました...

散歩中の突然の出来事に私の頭も真っ白で...

やはり、病魔は確実にゆきの身体を蝕んでいました...

悪性の癌は瞬く間に全身に転移し、皮肉な事に今度は肺にまで転移して呼吸困難の状態...
肺からの出血で "ゆき"の鼻は鼻血が流れ出て固まり、呼吸困難に拍車をかける...

"ゆき"は昏睡状態に入りました。苦しみと無力感、自分が消えてしまう想いが入り交じって悲鳴のような鳴き声...うなり声を発します。今まで、吠えた事の無い "ゆき"が声を出しているのですから、それは想像を絶する苦しみな事は言うまでもありません...
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そんな中、彼女の鳴き声は止まり穏やかに眠り始めて...
一瞬、病魔が居なくなったかの様な寝起きに私は、ほんのちょっと期待を持ちました。
大好物のシュークリームをぺろりと平らげ満足そうな笑みを見せます。
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”ただ、ただ、嬉しかった”

たとえ、一瞬でも苦痛が和らいでるのなら...私は彼女の役に立てない腹立たしさから解放された気がしました。そして、なによりも彼女と一緒に居る幸せを実感しました。

そう。彼女はまだ、生きてる。身体の温もりを感じるのです...
それだけで私は幸せでした。


そして、その夜に運命の時はやって来ました。
徐々に苦しみ始めた "ゆき"のうなり声、昏睡状態に陥ります。
深夜一時を過ぎたあたりに、眼を閉じていた "ゆき"の眼が見開き、私の顔をじっと見つめています。

私は彼女の心を読み取りました。

『ごめん...わたし、逝くね?ありがとうね、今まで...』

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すうっと丸まる様に前のめりになり、今度はゆっくり海老反りになって "ゆき"の呼吸は止まりました。

私は "ゆき"の瞳を最期まで見続けました。
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そう。彼女がその身体から離れるギリギリまで、一緒に居たかった...
溢れ出る涙も拭わずにずっとずっと、彼女の最期を見続けました。
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彼女は私に ”無邪気な愛嬌” と言う大切なコミュニケーションを教えてくれました。
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今、私は彼女の代わりに ”無邪気な愛嬌” を毎日出逢う不特定多数の人々に振り撒いてます...

彼女は私にお金では買えない財産を譲ってくれました...
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今、彼女は自宅庭のポンカンの樹の元で、安らかに...気持ち良さそうに眠っています...
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