対象が外国人でもアメリカ人でも、こんな法律が存在すること自体がそもそも大問題です。


アメリカ政府発行の2012年度のNDAA法のPDFファイル


**NDAAがアメリカ国民にも適用される**

 「Sec. 1021」が問題となっている条項です。ファイルのちょうど真ん中あたり、「Subtitle D—Counterterrorism(テロリズム対策)」という副題の中にその条項はあります。
 そして1021(C)の(4)に、外国出身の者を拘留した場合の身柄の拘束についての規定があります。


 そして、ニュース本文にもある通り、アメリカ国民、合法的にアメリカ国内に居住する者、あるいはその他の者でアメリカ国内での身柄の拘束の場合には、この規定が従来の国内法に影響を与えるものと解釈してはならないということが規定されています(「(e) AUTHORITIES」)。

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「NDAA 無期限拘留はなくなったか?いや、まだまだ」

5月17日 【RT】http://rt.com/usa/news/ndaa-indefinite-detention-judge-500/

 2011年12月31日にオバマ大統領が署名した国防権限法 (National Defense Authorization Act) いわゆるNDAA法の中で認められている、アメリカ国民に対する軍事的無期限拘留に対し、今週水曜(5月16日)アメリカの判事が違憲判決を下した。

  NDAAによって、政府が投獄中のテロリストとの関係を疑われる人物がいれば、告発というプロセスを得ることなく拘留することが認められているが、この非道な法律の適用対象から、さしあたりアメリカ国民は除外されることになる。しかし、世界中の一般市民についてはこの問題となっている法律に基づく投獄は引き続き適用されることになるため、迫害の対象となりうるのだ。

 アメリカ合衆国地裁判事のキャサリン・フォレスト (Katherine Forrest) は、テロリストとの関連性が疑われるというだけでアメリカ国民を投獄する権利を政府に認めている同法の無期限拘留を定めた項について、今週、「米憲法修正第一条で保障されている権利 (表現・宗教の自由) に対して恐ろしい影響を与えるもの」と宣言し、同項を正式に無効とする判決を下した。しかし、同法に対してさらなる追求がなされない限りは、アメリカ国外の一般市民に対しては、反米勢力との関連性を疑われただけでも憂き目にあう可能性があることにかわりはない。


  米ナショナル・パブリック・ラジオやニューヨーク・タイムズなど幅広いキャリアを持つクリス・ヘッジズ (Chris Hedges) 氏は、今年の始めにNDAAの適法性に対する異議を訴える訴訟に原告として連名し、司法裁判所で同法に対する異議を唱えているジャーナリストや一般の活動家と共に参加している。


「この国がテロリストとしてみなすであろう人達と食事を共にしたことは、数えきれないほどあります」今年の始めに彼がこう記している。「しかしだからといって、私がテロリストになるというわけではありません」


 フォレスト判事の今週の判決内容には、「無期限の軍事拘留となりうることを考えた場合、さらなる適正手続が必要」、さらに「ある個人が、実質上、あるいは直接的に関連性のある勢力を支援していることに自ら気が付かないで支援しているという、リスクを負いかねません」と記されており、彼女も彼らの意見に同意しているようにみうけられる。


 フォレスト判事の今週の判決は、NDAAを取消すという観点においては画期的な出来事であることを疑う余地はないが、同法に終止符を打つという観点から考えると、これはほんのの始まりに過ぎない。


  また、オバマ政権が彼女の判決に対し上訴を行う可能性が打ち消されたわけでもない。この裁判で原告側の公式代表を務めた弁護士のカール・メイヤー氏 (Carl Mayer) は、ホワイトハウスが上訴を行うものと予想してはいるが、と言った上でRTに対しこう話した。


「あらゆる政治的立場から同法に反対している人々があまりにも多くいますので、上訴することはホワイトハウス側にとっても得策とはならないことを私たちは示唆しています。ですので、彼らも『上訴はしません』というべきなのですが」


 しかしその一方、フォレスト判事の判決は、アメリカ国民の市民的自由にとっては輝かしい勝利でるとメイヤー氏は言う。


「NDAAを利用して、アメリカ政権が誰かを軍事司法システムに放り込むために、あの有名な黒いバンに押し込んだり、または他のいかなる方法によっていたとしても認められるべきではありません。つまり、(この判決によって)今はアメリカ人の市民的自由に対し、政府がこのような活動を行うことができなくなったということです」


 現在のところ世界の60億人以上の一般市民に対しては、裁判にかけられることすらなく、手錠をかけられ軍事刑務所に連行される可能性はいまだに存在している。


 今週の判決により、アメリカ国民は問題の条項から免れることになるかもしれない。しかし残念ながら、外国人記者、外国の一般市民の共に終身刑となる可能性から逃れられたわけではないのだ。


 AP通信社が伝えるところによると、ヘッジズ氏は今週の判決を「適正手続の復活と法の支配の原則にとって、非常に大きな意味のある一歩」といい賞賛しているという。


「同法が表に出てからというもの、この法律があまりにも不定形であるため、何を発言していいか、何をしていいか、そしてどのような文脈にしていいのかはっきりわからないのが問題でした」ヘッジズ氏はこう続けた。


 この判事による判決が出たのは、偶然にも、米国国家軍事委員会が来年度のNDAA法案を可決したのと同時のことであった。早ければ今週にもアメリカ連邦議会で来年度のNDAA法案に対する修正案に対する投票が行われる予定であるが、水曜の初日討論会において、無期限拘留は来年度の法案にも再び盛り込まれていることが判明している。

 
 大統領候補で下院議員のロン・ポール(Ron Paul、共和党、テキサス選出)議員 は、アダム・スミス (Adam Smith、民主党、ワシントン選出)議員とジャスティン・アマシュ (Justin Amash、共和党、ミシガン選出)議員が提出した来年度のNDAA法案内でいかなる者に対しても無期限拘留する権限を否決する修正案に署名を行った。


「願わくは今週、私たちが逮捕され秘密の刑務所に押し込められるなどといった私たちが信じるべきものとあらゆる点で矛盾しているこの概念を、人間としてきっぱりと、そして絶対に承認しない意思を明確に伝えたいと思っています」ロン・ポール氏は語る。


「もしこれを変えることができなければ、この国は深刻な問題を抱えることになります。信じて下さい」