ノバルティスの問題は、データ改ざんという分かり易い犯罪。
ついに研究に関与した元社員は薬事法違反(効果を過大に評価した)で逮捕された。

デレビで、東大の医科学研究所の上昌宏医師が、「健康保険組合は、過剰に払わされた薬代を返還請求すべきだ」と述べていた。
彼は、かつて真逆の事を言っていたので?風見鶏みたいな気がして不愉快だが、この発言には激しく同意する。

この問題は、もちろん向精神薬の分野にも存在する。
ある向精神薬は、統合失調症の薬として発売されたが、うつにも効果があるとされうつ病患者にも乱処方されている。

その原因は、この薬が双極性障害のうつ症状の適応を取ったことによる。
この薬は統合失調症にも、双極性障害の躁症状にも、双極性障害のうつ症状にも効くという夢のような薬となっている。

この薬のプロフィールをみると、
統合失調症に効果があるとされるドーパミンの遮断力より、ムスカリンやヒスタミンの遮断力の方が強い。
そもそも、こうした統合失調症薬の新薬のセールスポイントは、古い統合失調症薬の副作用を軽減したということだった。
しかし、この薬は代表的な旧薬の副作用『便秘』『立ちくらみ』『アカシジア』『肥満』は、旧薬より強い。
『安全な良い薬が出来ました』と製薬会社のMRが宣伝して回り、製薬会社から金を貰った精神医学会の大物医師が、この薬のために3~4cmくらいの厚さの本を書いている。
治験データを確認してみると、双極性障害のうつ症状に効果があるというのは、うつ病の評価尺度のうち食慾が出る、睡眠量が増えるの2項目のみである。元気なるとかの効果は無いし、その他の指標は決して良くない。
統合失調症薬としての、この薬の代表的な副作用は肥満と過鎮静である。副作用を単純に効果(肥満→食慾増加、過鎮静→睡眠増加)と呼び直しただけである。

この薬は、その効果を正しく表現するなら、『強力な鎮静剤』とするのが正しい。
統合失調症、双極性障害の躁、うつ症状の治療薬と呼べるような代物ではない。

皆さんに今一度伝えしたいのは、薬というものは、9つのネガティブな研究があっても、1つのポジティブな研究があれば認可されるということだ。
つまり、厚労省は、厳密な規制より、医師の裁量を優先しているということだ。

さらには、効果あるという言葉の使い方にも問題がある。
医薬品は、10人に1人に効果があれば、良い薬とされる。だが一般市民の効果があるの期待度は10人に7、8人に効果があることではないのか。
製薬会社は、10人に1人に効果があると、誠実に説明することはせず、単に「効果ある」と説明することで市民そして医師を欺いている。
『うつに効く』『副作用が少ない』なども同様に、単純なメッセージを繰り返すことにより、実質的に薬の過大評価をかちとれるのだ。

そもそも、精神科領域の薬の治験で疑問なのは、
先進国には、薬漬けでない治験者を集めることも難しいはずである。
薬の影響を排した治験など出来ようもない。
さらには、効果の測定も医師の主観によるのだから、信頼に値しない。

どれだけ効果を過大に評価している事か。これって有罪でしょう。全ての健康保険組合は、この製薬会社に賠償請求しましょう。

この薬の名前は、「ジプレキサ」である。

精神医療被害連絡会の勉強会の予定
6.14札幌勉強会
6.22関西定例勉強会
6.23関西カウンセリングセンター(病気の自然転帰と薬物治療の罪)
6.27福岡勉強会
6.28熊本勉強会
6.28~29TAOリトリートイベント
6.29菊池勉強会