北朝鮮ミサイルの毒物に似た薬に注意!(その2)【最新ニュースを元素で解説!】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし
2012-12-08 10:10:32

北朝鮮ミサイルの毒物に似た薬に注意!(その2)【最新ニュースを元素で解説!】

テーマ:元素周期表
北朝鮮ミサイルの毒物に似た薬に注意!(その2)【最新ニュースを元素で解説!】

前回のブログで、北朝鮮のミサイルは、非対称ジメチルヒドラジンという猛毒で空を飛ぶことを解説。

長ったらしい名前だが、大ざっぱに総称すれば「ヒドラジン」なんだけど、中には、「私は、ヒドララジンを飲んでいる!」という方がいるはず。


高血圧の薬として、ヒドララジンを飲んでいる方は、かなりいる。

もちろん、医者から処方されてだ。


「オレは毒物を飲まされているのか・・・!!!」と、焦ったかもしれないが、ご安心を。

ロケットの燃料に使われる毒物は、ヒドラジン
 (hydrazine)

高血圧の薬は、ヒドララジン
(hydralazine)

薬の方が、ラが一つ多い。


「な~んだ!言葉が似ているだけか!」と思ったあなた。

それは、早合点。

ただの言葉遊びなら、ブログには書きません!


高血圧の薬のヒドララジンは、燃料である毒物のヒドラジンに環状の化合物がくっついたもの。

名前が、偶然に似ているのではなく、そもそも化学構造が似ているので、結果として必然的に名前も似ているわけ。


どちらも、2つの窒素原子が結合している部分がある。

窒素が元素周期表で右から4列目にあるために、この部分の電子配置が、毒にもなるし、血圧も下げるカギとなる。


血圧が下がるのは、血管が広がるため。

だから、肺高血圧や脳内出血の恐れがある場合は、使っちゃいけない。


人命を救う薬は、命を奪う毒物と紙一重。

元素の電子配置は、面白くもあり、恐ろしくもある!


元素周期表と元素の毒性との関係について、「元素周期表で世界はすべて読み解ける」(光文社新書)の第7章で詳しく解説しているので、こちらをご参照ください。

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