架空の地図は落書きだらけ、あちらこちらに宝の印、
心臓だけを喰いちぎれた、もう咲けないブーゲンビリア、
ミドリと赤いを混じらせた、花びら宙にこぼれてた、
捨てられないまま忍ばせた、手紙はスペルを間違えている、
彼はこの世界にはいない、
夏の喧騒過ぎたころ、月が見渡す夜の海に消えてしまった、
良くも悪くもなかったと、うそぶく舌は細くて長い、
出航間近の帆船は、
羽根を一枚、ツバメにもらう、
美しく凪ぐ水平、ひとりは口笛、月の砂漠を、
聴き飽きた昔話を瞼から遠ざけた、
再び港を離れるころに、咲き忘れた一輪は、
孤独を握る手にはない、優し過ぎた思いはもう、
ここから先には要らないらしい、
銃声が聞こえてる、届くのは煙のニオイ、
航路はここから先にまた、広がり続けてゆくらしい、
ツバメは黄金くわえてる、そいつの速度が羅針盤、
自由が幻だとすれば、旅立つこともないだろう、
南から突き抜ける、蒼い風に頬を打たれて、
架空の地図には失われた国だらけ、
いま手にするのは航路を綴る白いキャンバス、
それくらい、
それくらい、
ツバメの羽根とそれくらい、
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祈り火と過ぎる夏
⇒祈り火と過ぎる夏 5
⇒祈り火と過ぎる夏 6
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performed by billy.