飛ばねぇ~ | 元プロ野球選手がニュースから考えてみる

飛ばねぇ~


ここに来ても全体的に、打者は統一球にまだ対応し切れていないようにみえます。


昨日もロースコアの試合が目立ちます。


1-0の試合が一日に数試合ある事なんて、少し前までは
あまり無かったことです。


しかし、一昨年までの打者天国は何処に行ったのでしょうね。

少し懐かしくも感じます。
4点差があっても、ないようなものだなんて言っていたのが・・・・。
如何にボールが飛んでいた証左です。


逆に投手にとっては、天国?になりました。

ずっと長い間、飛ぶボールには苦しんできたわけですから、ここらで
年俸も上げてもらわないといけません。

これまでは打者ばかり高額な選手がいましたからね。


このボールで今だけでも考えられることで、以下の事が言えると思います。

統一球によって生き返った投手。
有利になっている投手。


成績・数字が急落した打者。
評価されてくる野手。

これは業界の変化とも言えます。


まず投手全体として、統一球でかなり有利になりました。
広くなったストライクゾーンも追い風となりましたね。


そうなると一番はコントロールの良い投手にはかなり有利でしょう。
球速がさほどなくても、丁寧にコースをついていけば活路が見出せます。


飛ぶボールでは、例えコースがしっかりしていても、こすっただけでもフェンスを

越えていましたからね。


そうなると、投げていても心理的にもマイナスになり、腕を振れなくなって来るし、
コースも甘くなってきて負のスパイラルを生じてしまいます。


しかし今は反対です。

多少ボールが甘くても大丈夫だと思えば、腕も振れてボールも強くなります。

メンタル面にも大きな影響を及ぼすわけです。


横浜の番長なんかは、このボールで生き返ったと思います。

彼なんかは明らかに選手寿命が延びたはずです。

広島のルーキー、野村投手のようなタイプにも大きなアドバンテージになっているでしょうね。

後は、ここ数年出ていなかった中堅クラスが、活躍しているのであれば、この恩恵を

受けている可能性が高いと思います。



逆に打者は苦しんでいますが、その中でも確かな技術を持っている選手はしっかりと対応しています。
去年、今年と徐々に数字を挙げてきています。


私は打者についてはあまり分かりませんが、

逆方向へ打てる、何通りかのタイミングを持っている、身体にパワーがある、

スイングスピードがある・・・等々、本当の技術を持っている選手は数字をしっかりと残しています。


しかし極端に数字の悪い選手は、やはり飛ぶボールの恩恵を受けていたと
言わざるを得ません。


対応に今だ時間が掛かっているのか、技術、精神を含めてここまでの選手なのか・・・
これは今後、時間が教えてくれるでしょう。


そして試合の戦術も変わってきます。
今までのように、大量得点、長打が期待出来ないのであれば、機動力が必要になります。
守備も重視されます。

守りから試合を組み立てることになるので、それによって足と肩が強く、守備の良い選手が
起用される確率が高くなるでしょう。


そしてドラフトで指名する場合も、そのような特徴を持つ選手の評価が高くなっていくでしょうね。

投手で言えば、コントロールの優れた選手。

アバウトなコントロールで150キロを投げる選手よりも、140キロそこそこでも
コントロールの良い投手。


このように評価基準にも変化が出てくるでしょう。


ただ私が思うには、打者もいずれ統一球に対応してくるはずです。


以前のように本塁打も乱発するようになってくるでしょう。
打者自体のレベルが上がるはずです。


そうなると形勢逆転で投手が窮地に立たされます。
そして今活躍していてもタイプによっては大きく変わるでしょうね。


まぁ、そうならないように、今から準備をしておく必要があるでしょう。

そうしないと今の急落している打者と同じような結果もあります。


それが何かであることは、自分でよーく考えておくことです。


球団編成にしても、あと何年でこのボールに打者が対応するので、その時の対策や
選手の獲得についても常に準備検討しておく必要があるでしょうね。


そう考えてみれば、野球もビジネスも職務内容は違っていても、
戦略思考は同じなのかも知れませんね。