政府自ら子どもを貧困に突き落とすのは日本だけ - 消費税は国家的な貧困ビジネス | すくらむ

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 税金は所得に応じて担う応能負担が原則で、所得税などの累進制がその具体化です。ところが、消費税は、所得の低い人ほど負担が重いという逆進性を持っている「強きを助け、弱きをくじく不公平税制」です。


 この「強きを助け、弱きをくじく不公平税制」である消費税は、所得も選挙権もない、もっとも弱い立場の子どもたちからも容赦なく収奪する「子どもの貧困促進税」です。

すくらむ-子どもの貧困


 上のグラフは、左がOECD各国における「子ども(18歳未満)の貧困減少効果(公的給付と税金による所得再分配効果)」です。(右のグラフは「生産年齢人口(18~65歳)の貧困減少効果」です。出典は、OECD2008,Growing Unequal Income Distribution and Poverty in OECD Countries,OECD,Paris)


 1995年を中心とした各国のデータを見ると、子どもの貧困減少効果は、OECD諸国平均の0.50に対して、日本だけがマイナス0.07と、政府による所得再分配で子どもの貧困を悪化させています。もうこれは考えられないことで、政府機能が存在しない方が、日本の子どもは貧困が深刻化しないということになってしまっているのです。このとき、1989年に導入されていた消費税は税率3%でした。


 それから、2005年を中心とした各国のデータを見ると、子どもの貧困減少効果は、OECD諸国平均の0.46に対して、日本だけがマイナス0.11と、政府による再分配で子どもの貧困をさらに悪化させています。


 消費税率が3%だった1995年時は、子どもの貧困減少効果はマイナス0.07。そして、1997年から消費税率5%にアップされている2005年時には、子どもの貧困減少効果がマイナス0.11とさらに数字が悪化しているのです。消費税率3%から5%へのアップと、子どもの貧困減少効果のマイナス0.07からマイナス0.11への悪化は、数字の割合としても見事に符合してしまっています。


 また、上の右側のグラフの「生産年齢人口(18~65歳)の貧困減少効果(公的給付と税金による所得再分配効果)」においても、1995年を中心とした各国のデータを見ると、貧困減少効果は、OECD諸国平均の0.56に対して、日本は最低の0.16です。2005年を中心とした各国のデータを見ると、貧困減少効果は、OECD諸国平均の0.50に対して、日本は最低の0.18です。生産年齢人口(18~65歳)の貧困減少効果においても、日本はOECD諸国平均の3分の1程度という異常に低い数字なのです。


 こうした政府の所得再分配による貧困悪化について、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんは、『消費税で福祉国家になれる?』(消費税をなくす全国の会編、かもがわ出版)の中で、次のように語っています。


 所得の再分配自体が貧困を深刻化しているわけですね。社会保障が貧困状態の人たちの助けに全然なっていないということです。消費税の問題というのは、そのような流れのなかのひとつに位置しているわけです。


 貧困状態にある人の貧困を固定化して、それを食いものにするビジネスというのが、いま日本社会のなかで、いろいろな分野で生まれています。私はそれを貧困ビジネスと名づけたことがあります。サラ金はその典型ですけれども、労働の分野では日雇い派遣会社がそういうものです。


 これは貧困状態にある人が働きにいって、どれだけ働いてもお金をためられないシステムになっていますから、そういうなかで貧困が常に固定化される。しかし、その一方で利潤を上げる人が生まれてきます。


 弱いものイジメをしつづけているいまの政治状況のなかで、さらに生活必需品などを除外することなく一律に消費税率のアップがおこなわれるのだとしたら、それはもう国家的な貧困ビジネスだととらえる必要があるのだと思います。貧困状態にある人の、その貧困状態をより悪化させてしまうわけです。くぎ付けにしてしまうわけです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)