多感な頃といえば小学高学年から

中学生の時代だと思いますが、

ここ時代に密かに観た映画は、

今でも心と映像に焼きついています。


イタリア映画でタイトルは

『メリーゴーランド』。


故郷の映画館でひっそりと観た

記憶があるのですが、学校で

許可されていたか否かは

記憶がないんです。


でも、そんなことはどうでも

よくて(笑)、音楽と映像に

強烈な印象が残っています。


それは今も続いています。


確か、ルカという幼い子供が

白血病に冒され、最後は、

お父さんに抱かれたまま

大好きな遊園地で

メリーゴーランドに乗ったまま、

ぐったりと息を引き取った

ラストシーンが忘れられません。


もの哀しいテーマ曲が流れ、

切なくなってしまった記憶が

幾度となく蘇ります。


おそらく大人になって観ていたら、

おきまりのセンチメンタルな

作りでお涙頂戴の構成だみたいな

冷めた感覚で鑑賞して

いたかもしれません。


でも、14歳くらいの多感な頃は、

そんなクールな感情はなく、

ただただ映画館の巨大な

スクリーンに引きつけられ、

しっとりした哀愁漂う音楽に

涙が出そうになった経験

をしたことしか脳裏には

ありません。


敢えて、ここで昔話を

出そうとしたのは、

映画を観たり音楽を聴いたり、

小説を読んだりするタイミング

とうのは、すごく大事だと

感じているからなのです。


人生経験も細い時代に観る

からこそ、新鮮な感覚で

体全体に素直にしみ込んで

くれるドラマ性。


そして、

そこから養われる感受性。


これらは、生涯の宝だと

思います。そう信じて

いますし、この感覚を

大事にすれば、壁に

ぶつかった時、

岐路に立った時の

支えになるかもしれません。


この『メリーゴーランド』の

テーマは、ひと言でいえば、

家族愛です。


時間がないと分かっているから

愛が深まる、凝縮される

ということでしょう。


でも、そんな理屈は置いて

おき、この映画の場面場面で

何をどう感じたかが

大事だと思うのです。


自分の五感や心が

どう自然に反応したか、それを

記憶に留めておくことで、

財産になってくると

思います。


本当に感動したものは、

そんな理屈でメリットを

語らなくても、

自然に体に入ってくる

ものなんですが・・・・・。