ぼくら自身を救助する最後のチャンス | イージー・ゴーイング 山川健一

ぼくら自身を救助する最後のチャンス

 まず確認しなければならないのは、政府がなんと言おうと、マスメディアがどう報じようと、東電福島の原発事故は終息なんかしてはいないということです。事故現場の労働者の皆さんの過酷な労働条件を考えれば、状況はますます悪くなっているのではないかと思います。
 震災と原発事故が起こって以来、政府と東電と経産省、福島県が犯してきた罪の数々は弾劾されなければなりません。福島県知事の、県内に止まる子供達、そして転校しようとする子供達に対する無慈悲な仕打ちの数々をゆるしてはなりません。
 原発の問題は、経済の問題である以上に、もはや人間の尊厳と倫理に関わる根源的な問題なのではないでしょうか。
 日本は今、第二次世界大戦以降、もっとも戦争に近づいています。憲法を改悪し徴兵制度を復活させようとする勢力は、原発を推進しようとする勢力とほぼ同一です。
 なんとしてでも、戦争を回避し原発を廃絶しなければなりません。すべての原発を廃絶し、戦争をしない日本を構築しなければなりません。
 ぼくらの全員が力をあわせて維持してきたデモと集会は今、第3段階に入ったのだと思います。第1段階は、市民として当然の権利である「デモができる社会」を実現できたことです。
 第2段階は、それがかつてのデモとはちがい、ごく普通の市民の誰もが、いわばオーディナリィ・ピープルと言うべき人達が参加できる広範な広がりを見せたことです。
 そしてぼくらは今、第3段階に突入しました。
 今日は政治家の方々も多く参加されていると聞いています。なぜでしょうか? この集まりを、多くの政治家達も無視できなくなっているからです。原発を止め、戦争のない社会を──という市民の声を無視できなくなっているのです。
 デモと集会を維持し、意志をはっきりと表明し、近づいていると言われる衆院選に明確な影響を与えること。脱原発と戦争放棄を表明している多くの候補者を当選に導き、新しい日本を構築すること。それが第3段階です。ぼくらは市民としての当然の権利を行使しなければなりません。
 皆、疲れています。雨が降る中ここに集まった多くの皆さんも疲れているだろうと思います。しかしこれは、ぼくらがぼくら自身と日本を救助する最後のチャンスかもしれません。
 ぼくが長く敬愛してきたジョン・レノンは言いました。
 "Make love, Not war"と。
「愛こそがすべてだ、戦争はいらない」
 今こそ、ぼくらはこの言葉を生きなければなりません。
 Make love, Not war!
 Make love, Not war!
 ありがとうございました。
 

イージー・ゴーイング 山川健一-1111
写真/若谷玲志(@g69w )

「11.11反原発1000000人大占拠」、国会議事堂前のステージでのスピーチです。(11月11日)