正当性なんかいいよ。
そんなんだったら、俺全部謝るから
俺が全部悪いでいい
だって、大事なのは、どっちが正しいかじゃない。
なんでかなあ?
あんなに楽しい時間があったのに…。
大抵俺が謝ってた。
本当に優しい目をしているときもあったけど、
喧嘩をしたときの態度、目つき、言葉は
とてもきついものだった彼女。
それはきっと、
彼女が親や友人たちと過ごすうちに
形成されてきたもので、
それが本来の彼女ではないとはわかっていても、
少しずつ、俺の中に「何か」を残した。
ある日、いつもの喧嘩だった。
それでも、決定的に違うものがあった。
俺の心が砕けてしまったのだ。
俺から、別れを告げた。
完全に、一切の連絡を絶った。
そして…
君には俺のいない、俺には君のいない日々が、流れはじめた。
俺では、彼女の苦しみ、
「言葉のナイフ」を手に相手を傷つける苦しみをどうにもできなかった。
それが心残りといえば心残りだ。
寒い冬の夜。
赤ワインとボサノバの暖かい部屋。
電気を消し、ろうそくだけを灯し、夜景を見た。
こぼれるような笑顔、とても綺麗に見えた。
今、彼女は幸せだろうか?
彼女をやさしく包む腕はあるのだろうか?