高速道路トンネル事故を元素で分析! | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし
2012-12-03 05:00:40

高速道路トンネル事故を元素で分析!

テーマ:元素周期表
高速道路トンネル事故を元素で分析!

山梨県で起きた中央自動車道・笹子トンネルの崩落事故。


まだ、死因ははっきりしないが、車両火災が死亡の原因だとしたら、最も可能性が高いのは一酸化炭素中毒。

火災で死亡する場合、実は焼死するより、一酸化炭素中毒で死亡するケースのほうがはるかに多い。


では、なぜ、一酸化炭素を吸うと死亡するのか。

それは、血液の中にあるヘモグロビンの性質による。


ヘモグロビンは、ヘムという構造のど真ん中に、鉄という遷移金属の元素を置くことによって、肺では一気に酸素が4つも結合し、全身に送られると酸素が4つとも、スカッと外れるようになっている。

人体のすべての細胞は、この酸素で生きている。

これは、遷移金属の電子の軌道を巧みに利用した見事な設計。


だが、これにも落とし穴があった。

それが、一酸化炭素だ。


酸素の代わりに、一酸化炭素がたった1個、くっついただけで、他の酸素も、ヘモグロビンから外れなくなる。

これでは、いくら酸素をたっぷり含んだ血液が循環しても、細胞には酸素は供給されない。

素通りしていくだけ。

一酸化炭素は、人体が獲得したヘモグロビンのシステムの、抜け穴の弱点だったわけだ。

鉄の電子軌道を利用したヘモグロビンの性質については、「元素周期表で世界はすべて読み解ける、宇宙・地球・人体の成り立ち」(光文社新書)の第3章で詳しく解説しているので、こちらをご参照ください。
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