今の日本に第三極など存在しない | イージー・ゴーイング 山川健一

今の日本に第三極など存在しない

第三極という言葉は、マスメディアが創作したまやかしだとぼくは思う。自民党と民主党は双頭の蛇みたいなものだ。政権を握った民主党がやったことは何か? 原子力村のサーバントになり必死に事故の規模を小さく見せ、社会保障の改革を置き去りにして消費税増税を強行し、国民に情報を公開しないままTPP参加を推進しているのである。

野田首相は原発ゼロの閣議決定を回避し、エネルギー基本計画やグリーン成長戦略を解散によって潰した。最悪なのは衆院解散と消費税増税の理由を「議員定数削減」にすり替えたことである。空いた口が塞がらないとはこのことだ。

自民党の安倍総裁は「原発ゼロは無責任だ」と何度も言っている。社会保障は現行制度のままで、消費税増税を「国土強靱化法案による200兆円の公共事業に使う」と主張して建設業界に秋波を送る。TPP参加については、日本商工会議所執行部との会談で「関税撤廃の突破力を持っているのは自民党だけだ」と述べた。

自民党と民主党が言っていることは、論争しているように見せながらよく見ると、結果的には実は同じではないか。このままでは「原発推進」「消費税賛成」「TPP参加」の、自公民維新の大連立政権──大政翼賛会が誕生してしまう。

マスメディアは「第三極」なんてまやかしの報道をして、選挙の論点を意図的に隠しているように見える。それは、原発事故の直後メルトダウンを隠すのに手を貸した時の報道と同じではないだろうか。心あるジャーナリストは本当のことを伝えてほしい。

自民党と民主党は双頭の蛇なのであり、第三極なんて存在しない。日本未来の党をコアにした脱原発勢力こそは第二極なのだ。そして繰り返すが、今度の衆院選挙の争点は「原発」「消費税」「TPP」の是非なのである。