北朝鮮ミサイルの毒物は庶民も蝕む!(その3)【最新ニュースを元素で解説!】 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし
2012-12-09 13:24:17

北朝鮮ミサイルの毒物は庶民も蝕む!(その3)【最新ニュースを元素で解説!】

テーマ:元素周期表
北朝鮮ミサイルの毒物は庶民も蝕む!(その3)【最新ニュースを元素で解説!】 

北朝鮮のミサイル発射が延期になるかもしれないとの報道。

燃料の毒物「ヒドラジン」はロケットを腐食するので、「燃料を入れるのは、ちょっと待て!」という事になったのだろう。


前回、北朝鮮ミサイルの毒物は、高血圧の薬、ヒドララジンと、構造も名前も、反応の中心となる電子軌道も、良く似ていると書いたら、ブログを見た友人の医者からメール。

「臨床で使うヒドララジンが、北朝鮮のミサイルと関係しているというのは、ビックリしました。

まったく、別世界の話だと思ってました」


もっともなご感想。

私は、量子化学の研究に携わっていたとき、おうし座暗黒星雲にあるオキシレンという物質と、ミサイル燃料の毒物、ヒドラジン(北朝鮮の場合は、正確には非対称ジメチルヒドラジン)を比較する研究をしたことがある。

その後、医学部に再入学し、循環器内科の授業で、ヒドララジンを習ったんだけど、そのときは、やっぱり、毒物のヒドラジンと勘違いしちゃった。

「こんなもの、患者さんに飲ませたら、死んじゃうよ・・・」とビビったものです。


ちなみに、治療に使うヒドララジンは1日にだいたい20ミリグラム。

一方、ロケットの打ち上げに使うヒドラジンは、少なく見積もっても数10トンは必要。


自動車を動かすガソリンより、飛行機を飛ばすケロシンの方が高価で、さらに、ミサイルを飛ばすヒドラジンは、もっともっと高価。

ヒドラジンは、作るのは、そんなに難しくないけど、精製して純度をあげるのは、ものすごくコストがかかる。

食糧難に苦しむ北朝鮮の庶民が、なんとも、かわいそうだね。


元素周期表と元素の毒性との関係について、「元素周期表で世界はすべて読み解ける」(光文社新書)の第7章で詳しく解説しているので、こちらをご参照ください。

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