個々の裁判を追っていくと、抗うつ剤を投与しながら、自死の衝動性を抑えるためにリスパダールやジプレキサを投与したと言う。
だが、リスパダールやジプレキサが自殺予防に役立つエビデンスなどどこにもない。

PMDAへ寄せられた自殺関連副作用
http://ameblo.jp/sting-n/entry-11106390572.html

これらの報告から、自死副作用は、抗うつ剤の専売特許ではないことが判る。
SDAも立派な自殺誘発剤である。
また副作用が少ないとしてジェイゾロフトが安全だと言う理由もない。

そもそも、自死は衝動性だけで起きるのか?という疑問がある。
自死には、絶望から起きる場合、副作用の苦しみから逃れたいという場合、
昨日のスーパーニュースのODの患者さんのようにとにかく薬で錯乱している場合、
それに加えて、薬のアクティベーションシンドロームなどがある。

希死念慮があるの?じゃあこれ飲んでおいてとリスパダールやジプレキサを出す。
こんなのは程度が低すぎて話にならない。

そもそも、その希死念慮だって、抗うつ剤服用後に起きているならば、薬剤の影響を疑うべきである。
そもそもの原因となる抗うつ薬を止めるという決断がされるべきではないか。

公平を期すために書いておくが、
抗うつ剤は、40歳以上の人に対しては効果がある可能性がある。
(抗うつ剤の売り上げと40代以上の自殺率の低下には相関関係がある)

こうした自殺リスクに対して、薬物治療のベネフィットは次のものである。

軽症うつ病に対する40歳以下の薬物治療はあまり効果がない。
(日本うつ病学会治療ガイドライン、FDA抗うつ剤治験メタアナリシス)
青年には8人に1人にしか効果はない、児童には効果0。
(FDAメタアナリシス)
子供に対する安全性は確認されていない。
(医薬品添付文書)

此処までが、抗うつ剤やSDAという薬の本当の姿である。
全部エビデンスのしっかりした事実ですので、自信を持って周囲に広めて下さい。
医師は、こうした薬の本当の姿を知った上で、さらに自死以外の身体的・精神的副作用を含んだリスクとベネフィットを検討して治療にあたらねばならない。

しかし、被害者から寄せられる治療経過はそんな姿勢のかけらもない。

ただの不安、年齢による体調変化、思春期の悩み、鎮痛剤替わり、ADHD、発達障害、適応障害・・・・・
様々な症状の治療にこれらの薬がいとも簡単に使われている。適応外処方もお構いなしだ。
さらに薬の副作用を認めず、病気の悪化とする。
一番悪質なのは早期予防という名目での介入。早期予防に劇薬でエビデンスの無い薬を処方する児童精神科医。
薬物相互作用を無視した併用。特にパキシル・リスパダール、ルボックス(デプロメール)・ジプレキサの併用は最悪。
多剤大量処方など論外。

日本の精神科治療で当たり前に行われている治療が、薬のリスクを何倍にも高めていることをご理解頂けただろうか?
治った人もいるとの反論を頂くが、どれほど治っているのかというちゃんとした評価もない。

年間3万人の自死者、年間17万人の不審死者の中には、どれくらいの副作用被害者が含まれているのかを解明するのが、私の現在の一番の関心事である。
40以下のこれらの薬剤のユーザーを200万人とすると、正式なデータ(治験)から推測すれば、抗うつ剤単剤でも2万から3万人が薬剤性の自殺副作用にさらされている。さらに若年層ではそのリスクは2倍から3倍である。
治験の曖昧さに加え、これに日本独自の処方のデタラメが加わるとそのリスクはどれほど高くなるかということである。

自殺既遂の10倍、企図者はいるという説があるが、その説に従えば、2~3万人のうちの2千から3千人が薬剤の自殺副作用でなくなることになる。
若年層のリスク増加分の+αは、200万人のうち半分の100万人を若年層としてリスクを2倍にすると3千から4.5千人。
これにデタラメ併用によるリスク増加を加えた数字が、純粋な薬害による副作用被害者ということになる。
最終的には、5000~10000人位と推測できるのではないか。
若年層の大部分は、薬剤性の自殺だろう。
最後のデタラメ処方による増加分と自殺は企図者の10分の1という数字が曖昧なのでそれほど精度の高い数字ではないが、
発達障害の生涯発症率が人口の10%とか統合失調症の9%とかうつの3人に1人とかいう推測よりはずっと正確である。
出てきた数字は、とてもリーズナブルな数字である。

私がこれほど怒っているのは、
そもそもこの被害者たちは、もともと薬物治療の必要のなかった人が大部分であることだ。
外来で訪れた不安症の患者の10人中9人は薬物治療が必要のない患者であるとは、ある学会の先生の言葉である。
その言葉を信じるなら、医師は10人中9人は薬物治療を選択せず、追い返すか別の治療法を選択すべきである。
さらには、薬物治療で自殺念慮が現れたら、ありもしない自殺止めの薬を出すより薬物治療の中止を選択すべきである。

功利主義にのっとれば、被害者が出てもその他の大勢の人間がメリットを得られれば、社会としてそれを許容できるとする考え方がある。
例えば、自動車事故や飛行機事故で、風邪薬を飲み過ぎて亡くなる人もいる。そうした被害者は、他のひとの利便性と引き換えにその存在は許容される。まず、向精神薬での薬物治療が、社会的に許容されるかどうかの議論をすべきである。

向精神薬の被害者は1人もいないというような医療界、厚労省の現在の態度は、許されるものではない。

交通事故の被害者には、それでも何かしらの賠償を得られる権利が与えられている。
向精神薬の薬害被害者は、完全にただ打ち捨てられているのだ。
PMDAに医薬品副作用救済制度なるものがあるが、デタラメもいい加減にしてもらいたい。
あれは、被害のガス抜き機関だ。
(私はついに訴訟にまで行きましたよ。デタラメが過ぎるので追って公開します。)
抗うつ薬の自殺副作用被害者が少なからず確実に存在していることは証明されているのである。

このまま、こうした薬物治療を継続するのであれば、
そのリスクが社会として容認できるものであるかをきちんと調査、議論し、
副作用を引き受けた被害者の救済手段を提供する必要がある。
現在の医療裁判は、全く機能しない。今の医療過誤裁判は、病院内でのミスを裁くだけのものだ。
この被害は、医療ミスで起きたのではない。もっと大きな人権侵害の問題である。
第一歩として被害実態の調査は必須である。

被害は、単なる人的被害だけではない。
財政、企業活動、教育、介護・・・それぞれの現場を薬害被害の視点から見直せば、確実に大きな改善が望めます。
自殺被害は、全ての被害の最終結果であるからです。
そこに至る過程をきちんと評価すれば、確実に真実は判明します。
すでに研究グループが立ち上がりつつあります。
研究に参加頂ける研究者、現場の支援者、またモデル研究を支援頂ける地方自治体を募集します。
邪魔する壁は高いが、やることは単純です。

もう薬のことは十分に検証しました。
次は、どうすれば改善できるかという命題に取り組みたい。
新しい筋道見つけましたよ。海外での問題の進展のプロセスと比べても方向性は間違っていないことも確認しました。
12月のCCHRのシンポジウムに呼ばれているのでそのことに少し触れたいと思います。