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くるり「ブレーメン」


この曲は、ウィーンで録音されたアルバム「ワルツを踊れ Tanz Walzer」の実質オープニング曲。動画の4分20秒辺りから始まります。実は正直、このアルバム自体にすごくやられた感はあまりなかったんだよなー。でもね、、始めて体感しましたけどね、、たった一曲がアルバムの全曲分を凌駕することがあるんだなと。それがこのブレーメンという曲でした。


俺の弱いイントロからやられちゃう系。管楽器の綺麗な響きから三拍子の印象的なメロディーが始まります。ウィーンという、クラシックに精通してる国の影響を存分に感じさせてくれる音です。

そのイントロから物語が始まっていくんだけど、さて、暖かいメロディーにどっぷり浸かろうかなー、と思った矢先に、衝撃的な歌詞であることに気付く。


「ブレーメン壊れた小屋の中、少年は息を引き取った。」


僕は音楽聴く時に最初は歌詞をあまり見ないんです。メロディー先行型というか、いつも歌詞はその後。この曲もこんな衝撃的な歌詞が書かれていることに気づいたのは、実は結構後の事でした。何気なく微笑みながら口ずさんでいたらいきなりこの衝撃的な歌詞にぶち当たりました。こんなにメロディーとギャップのある曲も珍しいね。一筋縄では行かない、くるりらしいと言えばくるりらしいですけどね。


しかし、聴いていくうちに色んな解釈が生まれてきました。暗い内容だからと言ってみんな暗くなる必要はない。逆にこのやさしいメロディーが、目を覆いたくなるような事実もやさしく中和してくれる。こういう衝撃的なことを暖かく伝えることが出来るのも音楽の力なんだなー、と。そういうのも素敵だと思いました。


この曲は、細かい人の動作やヨーロッパの雰囲気を上手に表現してくれていて、目をつむると童話の世界に入り込んだ様な気になります。その辺りの言葉選びや使い方もくるりらしい。本当に大好きな曲です。