薬の基本中の基本

薬を繰り返し服用する場合。
頓服で時々飲む以外、みんなそうですよね。
それに関して、知っておくべき大前提がある。

大体の薬は、半減期に合わせて服用間隔が決められている。
その前提は次の法則に従っている。

投与間隔をその薬の半減期にして、5回の反復服用すると、初回服用時の最高血中濃度の2倍の血中濃度で定常状態となる。
(この定常状態となった血中濃度が、薬が正しく効く有効血中濃度である。)
もし、投与間隔を半分にしたら、定常状態の血中濃度は初回服用時の血中最高濃度の3.4倍の血中濃度で定常状態となる。

それぞれの薬の用量、服用間隔はこの大原則に従い、治験によって決められているという事です。

具体的な例で説明すると、
デプロメール(ルボックス)とソラナックス(ベンゾジアゼピン)を併用すると、デプロメールがソラナックスの代謝を阻害する(CYP3A4、2C9、2C19の阻害)してソラナックスの半減期が延長します。それによりソラナックスの血中濃度が2倍になるという事です。
デプロメールとジプレキサの併用でも同じように、デプロメールのCYP1A2の阻害作用により、ジプレキサの血中濃度が倍増します。
抗うつ薬は多かれ少なく、CYPの阻害作用持っていますから、併用なんて論外です。
(併用は有効だなんていってる張なんとかいう馬鹿医師をどうにかしてください。)

それぞれの薬は、単剤でその用量が決まってますから、半減期の延長が想定される組み合わせの併用では、同然この現象がおきます。

薬物の半減期が延長する原因には次の事が考えられます。

・代謝能力の低下(肝、腎機能の低下)
・併用薬剤が代謝の競合又は阻害する場合
・遺伝的体質(CYP2D6の活性が半分しかない)

同じ代謝メカニズムで同じ部位に効くベンゾジアゼピンを複数処方するのは、この併用薬剤の競合に当たります。
抗うつ薬や抗精神病薬の併用もしかり、適応が違っていても代謝が競合していれば同様です。
また半減期が100hを超えるような薬剤を毎日飲むなんてのは馬鹿げています。
(セルシンやメイラックスなどを長期で飲んでいる方は、すでにこの薬の大原則から大きく外れており、飲んだ薬の大部分がアルブミン飽和を起こしており、全量遊離成分となっているはずです。)

昨日の記事に書いたように、それぞれの薬は、単剤用量でターゲットとなる受容体の60%以上を占有するように出来ているので、血中濃度が倍になるなんて言うのは何のメリットもありません。
またこれも昨日書いたように、それぞれの薬の用量はターゲットとなる受容体以外の他の部位への効果は考慮されていないですから、血中濃度が高くなることにより、様々な受容体に作用し、副作用を発現します。
薬と言うのは、濃度が濃くなるとまた別の作用をします。
多剤大量処方からの減薬で、ある程度最初に大きく薬を減薬しても大丈夫なのは、すでに受容体の占有の限界をすでに遥かに超えているからです。

多剤大量処方がダメな理由は、このようにもう明確に説明できます。
そしてこれは基本中の基本です。
薬は、単剤で使うようにそもそも出来ているのです。
医師が薬を処方する場合は、この大原則に従って処方をしなければなりません。

良く同効薬は単剤にせよと言いますが、それでは不十分です。
同じ代謝メカニズムの薬も単剤の用量に留めねばなりません。

さらに子供にリスパダールを少量で処方しているから大丈夫だと言っている大馬鹿ものに言っておきますが、どんなに少量であってもリスパダールのセロトニン受容体への結合能は強力で、反復投与により、セロトニン受容体の占有率はどんどん増加します。血中濃度が半減しても、受容体占有率は半減しないからです。これはエビリファイのドーパミン、ジプレキサのヒスタミンも同様です。

これは、こうした薬の長期処方の意味がない理由です。これらの薬はかつての古い抗精神病薬に比べて効果が鋭いだけ、影響は大きいです。

セミナー参加の方で、処方内容の確認をしたい方はあらかじめ処方内容を送ってください。

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