世に美しいメロディの音楽は多々

ありますが、これほど清新な

美しい音楽は、あまりない

と感じています。


それはロシアの偉大なる

作曲家ラフマニノフが作った

『交響曲2番』です。


この第3楽章は圧巻です。


美しい音楽というのは、

ムダがそぎ落とされ、

シンプルで静かなもの

に熟成していくのでしょう!?


目が覚めるような鮮烈な

冷気の中、穏やかな自然に

溶け込むように、ゆったりと

時間が流れていく情景が

目に浮かんでくるようです。


ラフマニノフ自身、自室に

こもり、病んだ精神が

生まれ変わるのを感じた

のかもしれません。


途中から出てくるクラリネットソロが

新たな出発を象徴している

気がしてなりません。


この情景は、繰り返しますが、

シンプルで静かなものです。


ちょっと大胆ですが、有名な

絵画に例えてみたくなりました。


それは、あの東山魁夷画伯の

『道』という絵です。


あまりにも有名な絵ですが、

この絵を初めて見た時も、

シンプルで静かな情景なる

空気感を感じました。


中央に1本の道、その両わきには、

草地。そして道の地平線の

奥には、空。


この3つだけしか

描かれていません。空色、草の

緑、道のグレイ。この3色は、

いずれも淡いトーンです。


作者自身、こんなにそぎ落とした

風景画でいいのだろうか?と

書きながら不安を覚えたといいます。


確かに寂しい感じはしますが、

それだけシンプルなため、

美しさが際立ちます。


真の芸術は、このように

シンプルで静かなもの

になっていくのでは、と

思えてしまいます。


この音楽と絵画の共通点を

感じるにつけ、

洗練された粋に

思いをはせてしまいます。