T子さんという30歳の女性からメールをいただきました。
恐るべき「心療内科」といった内容です。そのあまりのレベルの低さに、言葉もありません。
まずはT子さんのメールを紹介します。
「目眩」で心療内科へ回される
「もともと、胃の調子が悪くて、胃薬をずっと飲んでいました。一昨年の年末に友達と忘年会があり、薬を飲むのを忘れていて、すごい吐き気に襲われましたが、市販の薬を飲んだら楽になりました。
その日は普通に過ごしていましたが、次の日起きたら、フワフワした目眩が続いて、個人の内科で調べてもらっても異常がなく、耳鼻科に行っても異常なし。紹介状を書いてもらい、脳のMRIもとりましたが、そこでも異常はありませんでした。
目眩を止める薬を飲んでも効かず、不安になって、まだ体で調べ足りないところがあるのかと考えて市民病院を受診しました。
でも何科を受診すればいいのかわからないので、総合受付で目眩のことを話したら、「心療内科に行ってみて下さい」と言われました。私としては「なぜ心療内科? 別に心の問題もないし」と思いましたが、とりあえず言われるまま心療内科に行きました。
医師に「目眩がするんです」と言うと、
医者は「ストレスありますか?」
「ないです」
それで、医者も私も「……」という状態になって、しばらくすると、医師が
「なんだろう、自律神経失調症かな? とりあえずお薬だしときますね」
「目眩、治るんですか?」と私が聞くと、「効く人には効くので」と言われました。
そのとき私は心療内科の薬がどんなものなのかも知らなくて、とりあえず目眩がとまるならと飲み出したのがすべての始まりです。
そのとき処方されたのは、ドグマチール(スルピリド・定型抗精神病薬 胃潰瘍治療薬としての処方?)、グランダキシン(トフィソパム ベンゾ系抗不安薬 自律神経調整)、ジェイゾロフト(セルトラリンSSRI)、メイラックス(ベンゾ系抗不安薬)、レンドルミン(ブロチゾラムベンゾ系睡眠薬)でした。
それが去年の1月31日のことです。
でも、薬を飲むとボーッとするし、睡魔に襲われるし、頭痛はするし。それで、そのことを医者に告げると、ジェイゾロフトの代わりにパキシル(パロキセチンSSRI)が出たり、アナフラニール(クロミプラミン 三環系抗うつ薬)やトフラニール(イミプラミン 三環系抗うつ薬)、デプロメール(フルボキサミンSSRI)、レスリン(トラゾドン 抗うつ薬)など、次から次へといろいろな薬を試されました。それでも私は目眩が治るならと飲んでいましたが、効いているのかいないのかわからない状態でした。
妊娠したい→断薬→離脱症状→服薬
そして7月になった頃、夫から2人目の子供が欲しいと言われ(1人目も不妊治療をしてできた子供なのですが)、それで今回も不妊治療をするために産婦人科に行ったところ、医師から「飲んでいる薬はありますか?」と聞かれたので、その時飲んでいる薬を言うと、
「こんな薬を飲んでいたら、赤ちゃん作れないから、今すぐやめなさい」
そう言われたので、すべての薬をやめました。その途端、一日中激しい動悸と、5日間一睡もできない状態が続き、いったい何が起きたのかと心療内科に行ったところ、医師いわく、
「あらあら、たいへん、違う症状がでてきたんだ」
私としては赤ちゃんが欲しかったので医師に言うと、その医師は「薬飲みながらでも妊娠できるよ」とのこと。でも、私は薬を飲みながら妊娠するのは抵抗があったので、この症状を治すまでは不妊治療もあきらめようと思いました。そのとき出た薬は、グランダキシン、メイラックス、リスミー(リルマザホン ベンゾ系睡眠薬)です。
そのときもまだ疑いもせず、病気を治すためと薬を飲み続けました。
離脱症状をパニックと診断
しかし、10月に入って、すごい吐気と不正出血が続いたので、とりあえず、胃カメラ検査をしましたが異常なしで、不正出血が気になったので以前とは別の産婦人科を受診しました。
そこでも、何か薬を飲んでいるかと聞かれて、答えると、「なぜ、こんな薬を飲んでいるんだ」と医師に怒られ、事情を説明したら、「こんな薬で目眩なんか治らない」と言われて唖然としました。
それでまたすぐさま薬をやめたのですが、この時も離脱症状があるなんて知りませんでしたから、2日後くらいから何となく体調が悪いなくらいに思っていたんです。それから、いきなり首のあたりがなんともいえない気持ち悪さで、顔面蒼白になって力が入らず、また心療内科に行くと、いつもと違う医師が出てきて、「パニックかなー?」
それでリフレックス(ミルタザピン NaSSA)という薬を出されました。
それを飲んだら、意識がぶっ飛びそうになって、なんかおかしいと、薬に不信感を抱くようになったのです。
再度、主治医に診察を受け、「なぜこんな体になったのか」と聞いたところ、「わからない」と言われ、「それじゃあ、副作用のない、優しい薬出しますね」と言われて、ワイパックス(ロラゼパム ベンゾ系抗不安薬)とジェイゾロフト、マイスリーとランドセン(クロナゼパム ベンゾ系抗てんかん薬抗不安薬)が出ました。
その頃、たまたま携帯をスマートフォンに変えたので、いろいろ薬について調べていたら、いろんなことが出てくる出てくる。
そのときに離脱症状ということも知り、それを言いに心療内科に行くと、医師は「そんなに薬飲むのが嫌なんだ」と言い、私に入院を勧めてきました。私としてはなぜ入院? と思ったので断り、そうすると、「じゃあ、薬、減らすから、この薬だけ飲んでね」とエビリファイ(アリピプラゾール 非定型抗精神病薬)が出されました。でも、薬への不信感があったので、それは飲みませんでした。
地獄の離脱症状
薬はもうほとんど飲んでいなかったので、離脱症状が激しくなってきて、もう苦しくて苦しくて……。脳ミソをわしづかみにされてるような、かき乱されているような。思考回路も遮断されたみたいになって、全身痙攣、硬直、異常な冷寒、異常な汗、手足のシビレ、息ができない、音が異常なぐらいガンガン響く、鼻から頬まで麻酔がかかった感じ、手と足がガクガクずっと震えている、首から鎖骨が言葉では表現できないような異常な感覚で気持ち悪くて、手足に全く力が入らない、グラグラ目眩、意識が何回も飛びそうになったり、一日中激しい動悸、もっといろいろ症状はありましたが、とにかく地獄で、友だちが心配して、別の心療内科に連れていきました。
別の心療内科でも……
そこの先生にまたしても「パニックかなー?」と言われ、「いえいえ、こんなのパニックじゃないでしょ? 離脱症状でしょ」と言っても、「離脱症状なんかない」と言われ、セルシン(ジアゼパム ベンゾ系抗不安薬)、ガンマージャスト(ガンマオリザノール 自律神経調整剤)、セパゾン(クロキサゾラム 自律神経調整剤)、エバミール(ロルメタゼパム ベンゾ系睡眠薬)とまたしても薬が出ました。
でも、薬はほとんど飲まなくて、苦しくて苦しくて、その後も何軒か心療内科を回りましたが、全部「離脱症状じゃない」、「パニックでもない」などあやふやな返事ばかり。
もう、助けてもらえるところはないんだと、また、産婦人科の先生に相談にいき、こんなことになったと言ったら、産婦人科の先生が心療内科の医者に電話をかけてくれました。
「なぜこの患者にこんな薬を飲ませるのか?」と問いただしたところ、先方の返事は、
「精神的に病んでいるから」と。
その言葉にビックリしました、私は目眩だけで、それで心療内科に回されただけなのに……。
もう、医者は信用できない、自分が乗り越えるしかないと思い、スマートフォンでいろいろ薬について調べました。離脱を出さない方法など、だいたいネットに出てくる方法は少量ずつ減らしていくやり方だったので、一度試してみようと、セルシンが粉で出されていたので、それを半分に減らして、エバミールも半錠にして。でも、1週間ほどやりましたが、全然離脱症状を抑えることができなかったので、11月の中旬、一気にやめました。
本当に地獄でした。
母親に私を殺してくれとまで言って、もう、一生こんな体なら生きていくのも嫌と毎日泣いて、2ヶ月半一睡もできなくて、頭がおかしくなりそうでした。
途中本当に病気なのかと、この異常な動悸も心臓が悪いのかもしれないと、循環器科を受診して、24時間心電図をとってもらったら、循環器科の先生は
「100メートルを全力疾走した後の動悸がずっと続いているけれど、心臓が悪いわけじゃなくて、こんな薬を一気にやめたら、こうなります」と離脱症状を認めてくれたので、やっぱりそうなんだと少し救われた気持ちになりました。その先生も「目眩で何でこんな薬を?」と首を傾げ、ただ「時間とともになくなるから」とだけ言われました。
民間療法
それでもやっぱり苦しくて苦しくて、そこで、ネットである民間療法を見つけて、離脱症状でも治せますかと問い合わせたところ「大丈夫ですよ」ということなので、家族に送ってもらって通いつめました。
最初の2、3回は効果を実感できませんでしたが、3週目ぐらいから、痙攣、シビレなどが消えたんです。ビックリです。離脱症状がここに通い始めて1ヶ月もしないうちに普通に動けるようになって、今では症状が少し残っているくらいです。
それにしても離脱症状は本当に地獄でした。
ネットで調べたりしていると、私と同じ期間、メイラックスを飲んでいた人が離脱症状に耐えきれず自殺されたとか、そういう話を読むと、気持ちがわかるし、自分もそうなるんじゃないかと恐かったです。
でも、私には子供がいるし、死にたくても死ねない。でも、苦しい。自分との戦いでした。今でも思い出すと泣きそうになりますが、毎日泣いて苦しんでる私に子供が、「お母さん大丈夫? お母さんは強いから大丈夫、僕もいるから頑張ろう」と頭をなでて毎日言ってくれてたんです。どれほど助けられたか。この子がいなかったら死んでたかもって今でも思います。
私が苦しんでいた3ヶ月間、家族に迷惑をかけ、みんなが苦しんで辛かったです。このまま、離脱症状が続くなら離婚も考えました。
とにかく、心療内科は許せません。正直、うらみ、憎しみしかないです。薬を疑いもせず飲んでた私もあほなんですけど……。
それと、離脱症状の事で何件か心療内科に行ったとき、女子高生、男子学生を結構みかけました。なぜこんなところにいるのか不思議に思いましたが、やはり薬の事を知らずに飲んでいるのかなと悲しくなりました。
私みたいな被害がなくなってくれたらと思うばかりです。
私ももっと元気になれるように頑張ります。」
以上がT子さんから寄せられたメールです。
読んでいて、あきれるばかり。心療内科の医師は他科(産婦人科や循環器科)の医師より、向精神薬についての知識がないということです。しかも、最初に行ったのは市民病院の心療内科です。「とりあえず」感覚で薬を出し、それによる副作用や離脱症状について、これほど無知とは、犯罪的ですらあります。
「心療内科」というのは、1996年(平成8年)に標榜科として認可された新しい科です。それまでは全国で662軒だった心療内科が9年後の2005年には3029軒と5倍近くにまで急増。ほとんど経験のない儲け主義の医者が、とりあえず机と椅子があれば開業できる心療内科を開業し、短い時間での診療で薬をどんどん処方していく……。数年前から問題視されている現象が、今でもまだ続いているというわけです。
T子さんはネットで薬について調べたことから抜け出すきっかけとなりました。精神科医はよく「ネットに出ていることは嘘が多い」「ネットは見ないように」と患者に言うと聞きます。なぜなのでしょう。自分たちのやっていることのほうがどれほど嘘が多いことか。己のやっていることに自信のない医師ほどそういう台詞を吐くようです。
そしてもし、ネットの情報がなければ、T子さんもずっと自分は病気だと思い込み、薬を飲み続けて、悪循環に陥り、人生を台無しにしたかもしれないのです。そういう「凶器(狂気)」にもなりうる薬を処方しているのだという自覚が、ここに登場した医師たちにはまったく感じられません。
そもそもT子さんが最初に訴えた目眩ですが、もしかしたら、それ以前服用していた胃薬の影響があったのかもしれません。それが、市民病院の総合受付で「目眩→心療内科」、そして心療内科においても単なる問診だけで「目眩→自律神経失調症→投薬」という実に安易な道筋です。
第一に、総合受付はどのような人が担当しているのでしょう。T子さん自身、心療内科と言われたとき、かなりの違和感を抱いていたわけですが、言われればそこへ行くしかありません。そしてあれよあれよという間に薬漬けにされてしまった……。医師であれば、患者の訴える症状に対して、さまざまな方向からどうしてそういう症状が出ているのか考えてみるべきでしょうが、それはない物ねだりということでしょうか。
幸い、T子さんは民間療法が合い、離脱症状からも回復することができました。この療法はカイロプラクティックです。ただ、一概にカイロプラクティックといってもいろいろあるでしょうし、それがすべての人の離脱症状に効果があるとは言えません。そして、私もそれを勧めているわけではありません。ただT子さんには効果があったということです。
去年の1月末から11月中旬までの9ヶ月半ほどの服薬と、3ヶ月近い離脱症状との闘い、T子さんとしては自分の体験が私のブログに載ることで、自分もそうだったように、疑問を感じてネットで必死に調べている人にとって何らかの助けになればとの思いからメールを送ってくれました。
無意味な薬を処方され続け、症状がどんどん悪化している人へ、どうぞ気づいてほしいと私も思います。