だ~れも、待っている方はいないとは思いますが、ひょっとして、もしかして楽しみにしている方がいたりしたら申し訳ないと思い、昔書いたものでお茶を濁そうという姑息な手段に出ました

これを書いた頃は、ジェジュンのファンだったので、主人公はジェジュンをイメージして書いておりますが、お好みでユチョンに変換して読んで頂ければと・・・
「はい、もしもし。
ああ、宏章か。久しぶり。元気か。
姉さんは変わりない?最近ご無沙汰だから、おかんむりか?
ごめん、ごめん。いろいろ、忙しくてさ。
そう、もうすぐ向こうに行くから、何かとね。
お前からよろしく言って置いてくれよ。
頼みって?
蓉子を一日貸してくれって?
また、買い物か?
お前も相変わらずだな。」
宏章という言葉を聞いて、蓉子の顔は一瞬翳った。
そして、何気ない様子でソファを離れた。
「ちょっと待ってくれよ、本人に代わるから。
まぁ、忙しいといっても、一日くらいなら大丈夫だろうから。
おーい、蓉子。宏章から電話だ。
合コンに着ていく洋服を買いたいから、付き合ってほしいんだとさ。」
「はい、蓉子です。
宏章さん、ご無沙汰してます。
お買い物ですか、私はかまいませんけれど、いつ?17日?
ちょっと待ってね、有一さんの都合を聞いてみますから。」
「あなた、17日のご都合は?」
「あぁ、17日ならちょうどいい。
夜まで予定が入っているから、買い物の後食事してくるといい。姉さんにも挨拶しておいてくれ。」
「わかりました。」
「もしもし、お待たせしました。
それじゃ、17日の13時にお宅に伺うことにしていいかしら。
お姉さまにもご挨拶したいから。
それから出かけましょ。いいでしょ。
じゃ、お姉さまによろしくね。」
「まったく、あいつも相変わらず身なりにかまわないから、彼女もいないんだな。
君に洋服を選んでほしいなんて。
まぁ、母親に頼むより、年の近い君のほうがセンスがいいからな。
君の事、実の姉さんみたいなつもりなんだろう。
「そうですね。
宏章さんは、あなたのことも本当のお兄さんの様に慕っていらっしゃるから。」
そういいながら、蓉子は有一に向かって微笑んだ。
「久しぶりに、2人でゆっくりしてくるといい。
向こうへ行ってしまえば、しばらく会えなくなることだし。」
「はい…。」
そう返事して有一に背を向けるようにキッチンに向かった蓉子の表情は先ほどとは打って変わって憂鬱そうだった。
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蓉子さんに会える。
そう思うだけで、宏章は弾む思いで受話器を置いた。
「おばさん、17日大丈夫だって。
母さんに挨拶したいから、一度家に寄るって言ってた。」
「あら、そう。
わざわざいいのに。気を使って。
忙しい時なのにつき合わせちゃって、申し訳ないわね。
よくお礼を言っておくのよ。」
「はい、はい、わかってます。
その日は夜までおじさんが忙しいそうだから、一緒に食事してくるよ。
お礼にご馳走してくるから。」
「そうね。そうしていらっしゃい。」
宏章は自分の部屋へ戻ると、カレンダーの17に赤で○をつけた。
そして、翌月のカレンダーに目を移すと、25についている○を見つめた。
〈もう、行ってしまうんですね。僕の手の届かないところへ。
今度は、いつ会えるかわからない。会えないかもしれない。〉
携帯を開くと、宏章は写真を探した。
宏章と蓉子が腕を組んで笑っている写真があった。
二人が"初めて"会った、まだ宏章が高校生、蓉子が大学生のときの写真だった。
その人の 声聴くだけで 晴れ晴れと
心浮き立つ たわいない我
あのころの ようにふれあい 微笑んで
過ごすことなど もうないだろう