トンネル事故を元素で分析!その2「金属元素の限界」 | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし
2012-12-03 08:49:11

トンネル事故を元素で分析!その2「金属元素の限界」

テーマ:元素周期表
トンネル事故を元素で分析!その2「金属元素の限界」

山梨県で起きた中央自動車道・笹子トンネルの崩落事故。

前回のブログでは、一酸化炭素中毒について解説した。

今回は、そもそも、天井が転落した原因を分析。


天井が転落した原因として、金属疲労が強く疑われている。

鉄やアルミニウムなど金属元素は、力を加えても、それを押し返して元に戻る性質がある。


金属は、多くの原子が一塊になって、全体で自由電子というのを共有する。

この自由電子の共有で原子が結合しているから、こんな性質が現れる。


まあ、こういう理屈は難しければ無視していただいても結構だが、金属でものをつくれば、しなやかで壊れないことは重要。

人類は、この性質を利用して、橋や建物を作ってきた。


でも、無限に押し返して元に戻ってくれるかというと、そうではない。

それが、金属疲労で、自由電子による結合の限界ってところだ。


押す⇒もとに戻る⇒押す⇒
もとに戻る・・・・というのを一千万回以上も繰り返すと、壊れる可能性が出てくる。

これが、金属元素の宿命だ。


一千万回というと、ものすごく多いと感じるが、自動車が通ることで、1秒間に一回の割合で、「押す⇒もとに戻る」とやったとしたら、

60秒×60分×365日×35年=4599万回

作られて35年もたった中央自動車道のトンネルの天井を支えた柱は、金属疲労を起こしても不思議ではない計算になる。

鉄など金属元素の性質については、「元素周期表で世界はすべて読み解ける、宇宙・地球・人体の成り立ち」(光文社新書)の第3章で詳しく解説しているので、こちらをご参照ください。
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