●「たのしい万葉集」● 2010年12月30日
「たのしい万葉集」は、とかく堅苦しく思われがちな「万葉集」を気軽にたのしみましょう、という目的で作っている万葉集の入門ページです。
よろしくお願いいたします。 きょう
◆万葉集の成り立ち◆
万葉集は、日本でもっとも古い歌集で、奈良時代の終わり頃にできたと考えられています。全部で20巻、およそ4,540首あり、平城(へいぜい)天皇の勅撰(ちょくせん)とも、大伴家持(おおとものやかもち)の私撰(しせん)ともいわれています。でも、誰が・何のために・どのようにして編纂(へんさん)したかは、はっきりとはしていません。
万葉集は最初から20巻あったのではなくて、もともと巻1と巻2の内容があって、これらにいろいろな歌集や歌の資料をもとに増えていったと考えられています。
歌は舒明(じょめい)天皇(600年くらい)から大伴家持(759年)までのものが収録されています。第一巻の最初の歌は、雄略(ゆうりゃく)天皇の歌と言われています。
・万葉集 第一巻
2007年01月01日(月)更新
第一巻は雑歌として天皇の時代ごとに歌が整理されています。また、額田王や柿本人麻呂などの有名な歌が沢山あります。
--------------------------------------------------------------------------------
・第一巻 : 籠もよみ籠持ち掘串もよ
2007年03月04日(日)更新
原文:籠毛與 美籠母乳 布久思毛與 美夫君志持 此岳尓 菜採須兒 家吉閑名 告紗根 虚見津 山跡乃國者 押奈戸手 吾許曽居 師吉名倍手 吾己曽座 我許背齒 告目 家呼毛名雄母
作者: 雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)
よみ:籠(こ)もよ、み籠持ち、掘串(ふくし)もよ、み掘串持ち、この岳(をか)に菜(な)摘(つ)ます兒(こ)、家聞かな、告(の)らさね、そらみつ大和の国は、おしなべてわれこそ居(を)れ、しきなべてわれこそ座(ま)せ、われにこそは告らめ、家をも名をも
意味: 良いかごを持って、良い串を持って、この丘で菜(な)を摘むお嬢さん。君の家はどこかな、教えてくれないかな。私は大和の国を治めているものです。だから私には教えてくれるでしょうね、君の家も君の名前も。
◆歌の読み仮名などの研究◆
万葉集は、万葉仮名(まんようがな)で書かれていますが、平安時代にはもう何と読んだら良いかわかりにくくなってしまっていたようです。そのため、万葉集をどう読むかをいろいろな人が研究し、訓点(くんてん=読みがな、のこと)をつけました。
・古点 : 天暦5年(951)に村上天皇の命令でつけられた訓点
・次点 : 平安時代から鎌倉時代にかけて藤原道長らがつけた訓点
・新点 : 鎌倉時代に,仙覚(せんがく)がつけた訓点。この時にすべての歌にかながつけられました。
・万葉仮名(まんようがな)
2009年10月11日(日)更新
--------------------------------------------------------------------------------
万葉集の原文は、漢字だらけ、というか漢字だけです。初めて見たときは、一体なんなんだこれは、と思いますよね。これは、万葉仮名(まんようがな)とよばれているものです。
万葉集では、歌を漢字の音や訓を使って表現しています。それらの中は元々の漢字の表わす意味とは関係のない使われ方をしているものも沢山あります。この万葉仮名が、後にひらがな・カタカナに発展していったと考えられます。
なお、万葉仮名は、古事記・日本書紀にも使われています。
--------------------------------------------------------------------------------
補足: 拗促音(ようそくおん)などについて
奈良時代には、「きゃ・きゅ・きょ、だっ・かっ」などの「拗促音(ようそくおん)」は無かったようです(まったく無かったかどうかはわかりません)。ちょっと、驚きですね。「たって」とか、「すわって」とかの音は、平安時代あたりから中国語の影響で、かなりはっきりとしてきたようです。
奈良時代には、ふぁ・ふぃ・ふぅ・ふぇ・ふぉという音があったようですが、これらの音は室町時代あたりからなくなってきて、今では、「は・ひ・ふ・へ・ほ」だけが残っています。
たのしい万葉集: 万葉集の入門サイトです
http://p.tl/v0en
より抜粋
皆さんも一度覗いてみてはどうかな。
ネットでは楽しみ。
コメント
2010年12月30日01:25
1:
良いサイトを、ご紹介くださりありがとうございます。
和歌を声に出して、朗々と詠ってみると、日本語の響きの美しさににうっとりすることがあります。
ご存知と思いますが、「ふぁ・ふぃ・ふぅ・ふぇ・ふぉ」という発音は、沖縄の方に残っています。
石垣島の曾祖母の話し言葉に含まれていたように思います。
2010年12月30日01:54
2: 亀田 維覚斎
みちのへの おばながもとの おもいぐさ
いまさらになど ものかおもわぬ
2010年12月30日05:01
3: Harukaze
突然、戦争の話で、恐縮ですが、
学徒出陣のとき、
本を一冊だけ持っていけるといわれて
万葉集を持っていく人が最も多かったと言われています。
手紙など、検閲されますが、万葉集の何番、と書いて、
戦地から内地へ、内地から戦地へ、思いと伝えた、と言われています。
2010年12月30日07:35
4: 熊三郎
これは、興味深いサイトであります。
後ほどゆっくりと拝見いたします。
2010年12月30日08:18
5: のどごし生改め季節限定@黒霧島
紹介ありがとうございます。
2010年12月30日20:49
6: 向風剛
初めてコメント致します。
これは面白そうですね^^v
とても興味深いです。
ご紹介、ありがとうございます!
2010年12月31日01:15
7:
勉強になりました。ありがとうございます。