コメ関税ゼロで9割の農家が破産する深刻な事態 | APS-15SA

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日本の食と農を破壊するTPP

コメ関税ゼロで9割の農家が破産する深刻な事態



現在コメには778%の高率関税(341円/㎏)がかけられている。
TPPは例外なき関税撤廃が原則で、すべての農産物にもゼロ関税が適用される。

農林水産省は下記のような試算をしている


● 「外国産米の価格は、国産の4分の1程度(内外価格差4倍強)であり
  (国際米との)品質価格差も今後の品質転換等により解消可能」

 つまり、外国産米は安くて品質に孫速がない。

● 「米国では、輸出量が現在約400万トンあり、これにアジア諸国等の
  輸出量を含めるとわが国の生産量を上回る水準」

 つまり、国内生産量を上回るコメが輸入米として存在する。

● 「国産米のほとんどが外国産米に置き換わり、新潟コシヒカリ、有機米といった
  こだわり米等の差別化可能なコメ(生産量の約10%)のみ残る」

 つまり、ごく一部のブランド米だけが国産米として残る。



価格差が4分の1の輸入米が、日本国内の生産量を上回る量でしかも無関税で
入ってくる結果、日本のコメの90%が輸入米に置き換わり、日本のコメの
生産減少額は1兆9700億円に上がると推計している。


当然、米作農家は壊滅し、農村はその機能を失います。



もう少し詳しく事態の説明をすると
今、日本は、高税関税(778%)でコメの輸入を抑えていますが
関税がゼロになると、4分の1の価格の輸入米が市場に出回ることになります。
たとえば、国内産米10キロ3200円と、800円の輸入米がスーパーで並べられて
販売されることになります。

コスト競争が激しい飲食店、持ち帰り弁当屋、各種給食などの業務用米飯や
冷凍チャーハンなどの加工食品用のコメは、確実に輸入米に置き換わります。
この業務用・加工用のコメは、コメの消費量の53%を占めていますから
これだけで、国産米の半分は輸入米に置き換わります。


さらに、一般消費者も品質的、味覚的に日本のコメと遜色がなければ、圧倒的に安い
輸入米を購入する比率は高くなり、最終的には、日本のコメの90%が輸入米に
置き換わるという農林水産省の試算は絵空事ではありません。


日本のコメの作付け面積は、林野面積を除いた日本の国土面積の ①12.5%を占めている。
その作付け面積の90%がコメ作りから撤退すれば、日本の国土面積(林野面積を除く)
の約1割に及ぶ146万1600ヘクタールもの膨大な耕作放棄地が生れることになる。
それは、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県の総面積152万6600ヘクタールにほぼ匹敵する


現在、実際に農作物を販売している「販売農家」は155万5000戸ありますが
稲作の単一経営をしている農家は、81万7000戸の52%で、コメの販売額が
収入の第一位になっている農家は、93万2000戸の60%に上ります。

稲作には肥料会社、農薬会社、農業機械メーカー、運送業者、米集荷業者、農協
倉庫業者などさまざまな業種が関わっており、90%の稲作がなくなることによって
こうした関連業界の経営が成り立たなくなるのは必至です。
この関連業界の衰退が地域経済に深刻な影響を与えることになります。



コメの作付け面積が10%にまで減少すれば、稲作農家の90%以上が離農に追い込まれ
農家の半数が離農という事態になります。
それは、とりも直さず、日本の農村の崩壊を意味します。
また、水田が消滅するということは、水田環境に依拠しているトンボや水生昆虫
カエルやドジョウなどの水系で生息する小動物の消滅を招きます。


さらに、水田が保有する81億トンに及ぶ保水力が消滅し、国土保全にも深刻な影響を与える。
日本学術会議が農林水産省の諮問に対する答申で、 ②水田の国土保全の役割
協調していることは傾聴に値します。



日本学術会議は、農業の洪水防止機能が3兆4988億円、水源涵養機能が1兆5170億円
土壌侵食防止機能が3318億円、土砂崩壊防止機能が4782億円の貨幣評価額を持っているとしている。

TPPによって、水田の9割が消滅すれば、これらの水田の持つ機能が消滅し
洪水、土壌侵食、土砂崩壊、水源の枯渇というハザードが引き起こされることになります。


(小倉 正行)


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①コメの作付け面積
 162万4000ヘクタール


②水田の国土保全の役割
洪水防止機能
 水田は周囲を畦畔で囲まれており、雨水を一時貯留することにより洪水流出防止
 軽減する機能がある。棚田が耕作放棄された場合50年に1回の洪水が25年に1
 起こるようになるとの分析結果が報告されている。
河川流域安定・地下水涵養機能
 水田に湛水されたかんがい水の多くは、地下に浸透し
 一部は排水路を通じて河川に還元される。
土壌侵食防止機能
 水田は、湛水状態では降雨が土壌表面に作用せず、また傾斜地帯であっても
 土壌面は平坦であり、耕作放棄によって荒地となった場合に比較して
 土壌侵食防止機能は非常に高い。
土砂崩壊防止機能
 水田には作土層の下に耕盤が形成されるため、かんがい水を穏やかに浸透させ
 地下水位を安定的に維持する機能がある。

 

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