もうずっと前のことですが、
ある生徒さんのレッスンに、お母様が付き添いでいらしていました。
毎週、その生徒さんが少しずつでも楽しく感じられる時間をと
思いながらレッスンさせていただきました。
その子はとてもニコニコとピアノを弾いてくれましたが、
その一方で”間違えまい”と硬くなってしまうクセがありました。
「それでいいよ♪じょうず!」
…そう声かけしながら、私は間違いを一向に気にしません。
が、お母様は
「そう、ダメなんですよ~。何回やっても間違えちゃって。」
とよくおっしゃっていました。
生徒さんも、家でもそのお言葉を聞いていたからでしょうか。
なかなか自分の演奏に自信が持てずにいたのでした。
「お母様、ぜひできたことを褒めてあげてください~。」
と、さりげなく視点の方向転換をおすすめしたり、
「そろそろ、一人でレッスンにしていきましょうか。」
などと独り立ちを促してみたり。あれこれあれこれと。。
やがて大きくなってきた、その生徒さん。
一人で来るようになってからも、なんだかいつも憂鬱そうで…。
すごく物覚えが良く、分析が得意でかしこくってかわいい子でした。
完璧な演奏したからといって、
それが人生を左右するわけではないのに、
なんと表現いたしましょうか。。
まるで”間違えたらダメなんだ”というルールが定着しているようで。
おそらく、その子の心の深いところでは、
小さいころから無意識に聞いてきた言葉に、
縛られてしまっていたのかも知れません。
私も一人の母親として、
娘を育ててきた過程を振り返った時(…まだ道半ばですが)、
(ああ、間違ったことをやってしまった。)
とか、
(なんてひどいことをしたのだろう。)
など、今更ながら後悔ばかりが脳裏をよぎります。
手探りの子育てはこれからも果てしなく続きますが、
少なくとも、私も一昔よりは母として成長できている気がしますので、
過去のあやまちを教訓にして、押し付けでない接し方を心掛けて
参りたいと思います。
「子は親の鏡」と申します。
私の娘は、言葉でうまく表現できませんが
それでも良く言う言葉がいくつかあります。
そのほとんどが”愉快なJ語”なのですが、
実は、そればかりではありません。
私の反省を促す、ありがたいお言葉の数々。。。
そうですね、全国的に公開するのは初めて(!)ですが、
たとえばこんな一言を。
「おまえは、まったく、もう~~。」
「いま、そういうことしない。」
「Jちゃん!(←怒ってる気持ちを込めて)」
いずれも、見事に否定的な言葉かけと態度を真似されています。
言葉かけは表面的なものでは通用しません。
”本当の言葉”を聞き分ける力を子供たちは持っています。
レッスンで子供さんたちと触れ合う中で、
また娘を産み育てる中で、私は”心からの言葉かけ”の重要性を
知ることができました。
親は、常に子供から”子育て”を学ばせてもらっています。
そして人間として、”もっと心を磨きなさいよ”と教えてくれています。
見事なまでに、伸びきったままの指で演奏する娘。
母は、彼女に伝えたいこと覚えて欲しいことがありすぎなのです。
でも、その感情(→あえて、感情と呼びます。)を横へ捨てて、
「いいんじゃない~?」
「うまいね~♪」
と褒められる様になった母です。
今からそう遠くない、昔の話です。
叱られて 叱られて
口には出さねど 眼になみだ
二人のお里は あの山を
越えてあなたの 花のむら
ほんに花見は いつのこと
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講師 荒木 安子(あらき やすこ)
ピアノ・声楽を教えさせていただいています。
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