完成に近づくほど、一見何の変哲もない、そこらへんにいる何ら変わらない自然人になるようです。


　初めてそれを実感したのは、歌舞伎町の掃除で鍵山先生に出会った時の事です。

　本を読んで、内容に感動して掃除への参加を決めました。まだ写真さえも見た事がなく、どんな方なんだろうと、かなり楽しみでした。

　忘れもしない２００５．３．３、なんと初回目で鍵山先生とペアになりました。ながらも顔を全く知らない私は、「みすぼらしいじいさんだなぁ」くらいの感覚でした。ＴＶカメラがずっとついて回っており、「なんでこんなじいさんに・・・」と不思議に思ってました。「ここは～した方がいいよ」とアドバイスを下さってたにも関わらず、「うるせぇ！俺に指図すんじゃねぇよ！」くらいの心境でした。もちろんそんな事は言わずに黙々と取り組みました。

　掃除が終わって、この方が鍵山先生だよと紹介を受けた時、まさに目ん玉が飛び出るほどの衝撃でした。その時は、ただ笑ってごまかすしかありませんでした。


　２００７．８．１５、靖国参拝の時にばったり出くわし、すべてさらけ出して謝りました。鍵山先生一同、大笑いしてました。言ったおかげでかなりすっきりできました。



　この事で気付いた点です。


　前のある職場で、先輩にクリスチャンがいました。彼はいつもイエス様がどうだと話してました。

　ある日、「私は道であり、真理であり、生命である・・・」と聖書の引用を解説付きでしてきました。前に聖書を興味本位で読んでたものの、眠くなって最初の数ページで断念しました。聖書を読んだ事があるからと、彼は何かと私にまとわりついてきました。その時も「あぁ、またか・・・」くらいの心境でした。



　鍵山先生を紹介された時、まさにこの聖句が頭に浮かんできました。聖書が言ったとおりに書かれてるのか知りませんが、「私が言ってる事が～」とは一言も言ってません。



　鍵山先生のどこをどう尊敬してるのかというと、生き様そのものです。先生は、一言も偉ぶった事を口にしません。言う必要がないくらいに実践されてます。あまりに目立たなすぎて、注意深く探さなければならないくらいです。ＴＶカメラがつきまとってようが、誰も見てなかろうが、いつも変わらず黙々と・・・。



　いつだったか、竹花 豊氏（当時は副知事）が鍵山先生と親しい仲だという事で、代表世話人から挨拶を頼まれた日がありました。「副知事なら、前の方で偉そうにふんぞり返ってるだろう？探す必要なんて・・・」と思ったその瞬間、「は～い」と列の後ろの方からか細い声が聞こえてきました。「えっ！？」と驚き振り向いたのを強烈に覚えてます。ちょうどその月で、副知事から霞ヶ関の方へご栄転されるため、掃除には出れなくなるのが残念といった内容でした。後で聞いた鍵山先生と竹花氏の出会い秘話にも、また感動しました。


　たまねぎの皮を剥いていくと、しまいには何も残らなくなります。しかしその何もないところに「核」ができるといった感覚でしょうか？


　言うだけなら、いくらでもどんな事でも言えます。それを行動に移すとしたら、当然腑に落とせてなければ願い通りの結果は難しいでしょう。自他ともに、見つめる基準がこの出会いを境に大きく変わりました。


　私も鍵山先生みたく、自分自身そのものが真理体でありたい！

が、生活費も底を突き、新聞屋で住み込みで働くしか道がなくなるくらいまで投入した理由です。そこまでやっても、自分を好きになれましたから成長はしてるでしょう。しかしゴールはまだまだ程遠いです。死ぬまでにそんな境地までたどり着けるかどうか分かりません。
　実践する過程において大きなメリットがないはずがありませんから、憧れを持ち続け実践の継続をと心がけてます。