オーガニック野菜は、通常食品に比べて高価であるにも拘わらず、通常食品より健康的であるとは言えないOrganic vegetables are no healthier than food grown conventionally despite their premium price, according to a university study)」という報告がなされました。

・Organic vegetables 'no healthier than conventional food'

 研究者らは、実験的に栽培されたオーガニック農法及び通常農法のジャガイモ、ニンジン、タマネギに関して、2年間調査しました。

 その結果、オーガニック農法のジャガイモにおいてほんの僅かにポリフェノール含有量が多かった以外、ニンジンやタマネギにおいてはオーガニック農法と通常農法との間にほとんど差がなかった、という結果になりました。

On the basis of the study carried out under well-controlled conditions, it cannot be concluded that organically grown onions, carrots, and potatoes generally have higher contents of health-promoting secondary metabolites (polyphenols) in comparison with the conventionally cultivated ones.
 つまり今回の実験において、オーガニック農法で栽培されたジャガイモ、ニンジン、タマネギにおいて、健康面に貢献すると考えられているポリフェノールの含量は、通常農法で栽培されたものより多いとは言えないと結論づけられたのです。


 拙ブログにおいては、英国食品基準庁(FSA)が2009年7月29日に発表した「通常農法による食品と比較して、オーガニック食品の栄養学的優位性は認められず、健康影響についても特に良い影響があるとは言えない」という内容のレビューが巻き起こした「オーガニックパニック」に関して、いくつか記事をアップしました。
・オーガニック食品と通常食品の栄養価に大きな違いはない?
・英国におけるオーガニック・パニック:うねやま研究室より
・食品関係での極めつきの良書:畝山智香子 著『ほんとうの「食の安全」を考える』
・「食の安全」を考える上で非常に有用な漫画作品:「コンシェルジュ」第48話・49話

 上掲の記事内でリンクしている「うねやま研究室」の記事は、現在リンク切れしてしまっていますが、幸い著者の畝山智香子さんが過去記事を別サイトにアップして下さいました。そちらの記事も、併せてご覧下さい。
・日経BPフードサイエンスの過去記事「英国におけるオーガニック・パニック」

 この畝山さんの記事には、「オーガニック食品と通常食品との間に栄養学的な差異はない」という事以外に、
・オーガニック食品の優位性を語る際に「残留農薬の危険性」を宣伝することの非科学性
・オーガニック農法が野生生物に必ずしも貢献しているわけではない点
などが、非常に分かりやすく述べられています。


 私は、オーガニック食品を否定しようという意図でこれらの記事をご紹介してきているわけではありません
 客観的な科学知識の元で、オーガニック食品と通常食品の正しい評価を行うべきだ、と考えているのです。

 もしも、あなたが「健康のため」にオーガニック食品を選ぼうとして、価格的な点で十分な量を購入出来なかったとしたなら、それはむしろ「健康的ではない」ことになります。
 通常農法の食品は、安全面も健康面もオーガニック食品と変わりはありません。ですから、まずは十分な量の野菜や果物を摂取することが「健康的なこと」になるのです。
 その上で、経済的余裕があり、自らの嗜好でオーガニック食品を選択するのであれば、かまわないと思います。

 十分な量の野菜や果物を摂取することが、まず第一です。オーガニック食品を選ぶか通常食品を選ぶかは、その後の(個人の趣味の)問題なのです。