福島や茨城で原発による風評被害が起きているという。

 口蹄疫のとき、風評被害には随分悩まされた。車両のナンバーが宮崎であるというだけで、県外で荷物の搬入を拒否されたり、レストランやコンビニでの駐車を敬遠されたりした。

 非常事態での誤った認識やイメージは生死を分ける場合がある。正確な情報をキャッチし、良識ある判断と行動が求められる。

 特に、「口コミ」や「噂」の凄さや危険性は痛感させられた。宮崎ではこれを「げなげな話」というのだが、この「げなげな話」が徐々に歪曲し大げさになり、とんでもない流言飛語になったケースが多々あった。

 一人ひとりが事実・真実を見極める目を持ち、注意して発言なり行動をとるように努めなければならない。


 また、情報を発信する側の配慮も欠かせない。特に、非常事態での公共的機関や行政の情報発信は、より正確さと慎重さを重視するばっかりに、ついつい後手後手に回ったり、精緻・専門的な説明がかえって分かり難くなったりする。

 とにかく、非常時の情報発信(特に原発報道等)は「安全か」「安全でないか」「安全でないなら、どこがどう安全でないのか? 我々はどうしなければならないか」等の明確な発信に努めなければならない。


 また、被災地での情報発信やその取扱いには一層の配慮が必要である。個人情報保護等の問題もあるだろうが(口蹄疫のときはこの個人情報保護法の取扱いで苦労した)、とにかく迅速・正確な情報の発信と受け手側への配慮が必要である。また、被災状況や物資の流通に関わる情報や個人個人が相互に連絡を取るための手段の確保や維持、あらゆる通信網の復旧・整備等には特に力を入れる必要がある。

 情報・通信社会で我々は生きている。つまり情報・通信社会で災害は起きているのである。情報通信は大事なライフラインの一つである。大事にかつ有効に使わなければならない。