(参考:0913「エボ・モラーレス大統領、ガソリン値上げを撤回」)


国連によると2010年8月頃から、世界的に食料価格の上昇が始まり、それは継続しているという。ボリビアにおいては、2010年12月26日にガソリン価格を80%前後値上げする政策がおこなわれた。ボリビアはガソリンを輸入しているが、補助金によって価格は周辺国の半額程度となっており、この補助金を廃止し、他の部門に振り向けたいという目的であった。


しかしこれは多くの国民から反発を呼ぶことになる。運輸業者は運賃を100%値上げした。これにともない、食料品が値上げされることになる。「ガソリナッソ」にたいする抗議行動は、街頭での警察部隊との暴力的衝突を生むことにもなる。エボ・モラーレス大統領は、12月31日、ガソリン値上げを撤回することになる。「いまや運賃値上げ、食料品値上げ、抗議行動を正当化する理由はなくなった」。


しかし食料品など値上げされた価格はもとの値段に下がらなかった。ボリビア中央銀行(BCB)は、2011年の物価上昇率を4.5%から6%に変更した。経済評論家のなかには、より高く見積もるものもいる。もっとも上昇しているのは砂糖である。そして食肉など。公共運賃も高くなっている。各地で食料価格の高騰に抗議する行動がおこっている。


2月10日、モラーレス大統領はアルバロ・ガルシア・リネラ副大統領とともに、オルロ(西部)における「オルロの自由の叫び」230周年の記念行事に参加する予定であった。オルロは大統領の生まれた地である。市民の行進が始まったところで、数百人の食料・運賃高騰に抗議するデモ隊が、ダイナマイト、手製ロケット弾などを投げ、モラーレス大統領は予定を変更、ラパスに戻ることになる。イバン・カネラス大統領報道官によると、この抗議行動は、オルロ労働者連合(CODO)によって組織されており、そのハイメ・ソラレス書記長は1980年代、独裁政権とつながりのあった人物であったという。カネラス報道官は、かれらは機会を利用して、人民に恐怖を起こさせようとしていると非難した。


政府は現在の食料の高騰には世界的な食糧危機、投機業者の活動に原因があるとみて、また野党がこれを政府批判に利用していると非難している。運賃については、その料金を引き下げるために通信・運輸機構(ATT)、政府、運送業者が交渉をおこない、住民に理解される料金体系に改めようとしている。基本食品の供給についても、不釣り合いな価格を是正するために、「空からの手段を含め」努力していると報道官は語った。


そこでおこなわれているのが、EMAPA(食料品支援会社)という販売店によって、政府が直接生産、輸入、販売をおこなうものである。砂糖はコロンビアから緊急輸入をおこなった。これには食品をもとめる市民が行列をつくることになった。政府の目的は食品価格を引き下げ、住民の不満を抑えることにあるのだが、これが新たな抗議行動をうんでいる。


食料品店からみると、品薄の砂糖など食品を政府が独占し、市場価格とは無関係な価格で販売していることになる。現在食品価格高騰への抗議行動と、政府による食品独占にたいする商人の抗議行動がおこなわれている。コチャバンバ、ラパス、エルアルトなどでの抗議行動が報道されているが、サンタクルスでは、商人たちがコチャバンバへの道路、ビルビル国際空港へのアクセスを封鎖している。テレビなどはモラーレス大統領の、「砂糖を蜂蜜など、代替することへの提案」、あるいはアントニオア・ロドリゲス前食糧生産大臣が、これはEMAPAを管轄するが、買占めに加担しているなどのキャンペーンをおこなっている(0953)


* この記事は、BBC Mundo, La Jornada, EFE, europa press,を参考にしました。