2月のインド株式市場の分析と今後の展望~インド経済の今後の見通し~ | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

2月のインド株式市場の分析と今後の展望~インド経済の今後の見通し~

4連続ブログ、4日目の今日は、今後のインド経済の見通しについて考えてみたいと思います。


現在の世界経済の最大の関心事は、インドを始めとする新興国がインフレを抑制し、持続
的な経済成長を維持出来るかどうかにあると見ています。市場関係者の間では、次回3月17
日の金融政策決定会合で、追加利上げが発表されることはほぼ既定路線となっています。RBI
は引き続き0.25%の小刻みの利上げを選択し、政策金利(レポレート)は、年末までに段
階的に現在の6.50%から7.50%まで引き上げられるとものと当社は予想しています。しかし
中東などの政情不安を背景に原油価格が高騰し、インフレ率が二桁台に乗せることがあれば
RBI が大幅な利上げを迫られる可能性も否定出来ないと考えています。2011年のインド株式
市場は、インフレ高進と金融引き締めを背景に、年初来調整色の強い展開となっています。中東
などでの地政学的緊張の高まりも、原油価格の一段の上昇要因となり、インフレ加速のリスクを
高めています。現政権は汚職撲滅に真剣に取り組んでいるものの、捜査の展開次第では、政権基
盤の安定が脅かされ、構造改革の推進を前提にしたシン政権の成長シナリオが崩れかねないと
いったリスクもあります。但し、汚職関連の悪材料はほぼ出尽くしたものと見ています。米国
の追加量的緩和策(QE2)以降、インドの先進国向け輸出は回復傾向にあり、1月の輸出は前年
同月比+32.4%と好調を持続、貿易赤字は80億米ドルと4ヶ月連続で100億米ドルを下回りまし
た。当社は、インド株式市場は米景気が回復基調にあることを未だ十分に織り込んでいないと
考えています。政府は長期に亘る持続的成長に不可欠なインフラの改善にも注力しています。
来年度予算でも、前述のようにインフラ支援策が盛り込まれており、2 月中旬にEPA(経済連
携協定)署名のために来日したシャルマ商工相は、デリー・ムンバイ産業大動脈構想(DMIC)推進
のため、日印合同で90億米ドルの基金を設立することを提唱しました。DMIC構想は、円借款を活用
してデリー・ムンバイ間に高速貨物専用鉄道を敷設し、周辺に工業団地、発電所、港湾、空港など
のインフラを整備し、産業を誘致するというもので、第1 期プロジェクトの着工は2012年の予定で
す。本プロジェクトにより成長のボトルネックとなっているインフラの整備が大きく進捗すれば、
インドは「世界のバックオフィス」に加え、中国と同様の「世界の工場」になるものと期待されて
います。


若年人口が人口ピラミッドのなかで最も大きな層を形成しているインドの人口動態、さらに南アジ
ア地域の国家の中で、最も議会制民主主義が定着しているが故の多民族多宗教国家インドの国家と
しての国民統合の安定感、また2008年以降、直接投資の受け入れを戦略的に進め、エクイティのよ
うな逃げ足の早い資金に依存しないファイナンス体制を作り上げていることは、アジア通貨危機の
際のタイやマレーシア・インドネシアなどを教訓にしているものと思えます。BRICsの中では、世界
を相手に戦える企業を他国に比べ多く擁しているアドバンテージも大きな要素です。(タタモーターズ・
アルセロールミタル・マヒンドラマヒンドラなど)


私は世界情勢が落ち着き、次にマネーが流れ込む先として、これまでのリスク回避姿勢の反動で、
リスクを果敢に取りに行く姿勢が投資家にでてくるものと思います。その際に、裏付けのある経済
発展をする新興国とその根拠の薄い国とで、投資の結果得られる果実に大きな開きが生じてくる
ものと思います。




Ken


注意:当ブログは単に情報の提供を目的として作成され、何らかの行動を喚起するものではありま
せん。従って、投資判断についてご自身の責任で行ってください。)