1月29日(土)

佐々木正美さんの『完 子どもへのまなざし』(福音館書店)を読み進めている。

親や教育関係者の必読書とも言える前著の
『続 子どもへのまなざし』の刊行から10年が経ったが、
著者はその後もご自身の臨床経験を通して、
保育士・幼稚園・学校の先生、福祉に携わる人たちとの勉強会を続けてこられた経験から、
ここ最近の事例が豊富に語られている。

が、その内容はいずれも衝撃的なものばかりなのだ。

例えば、最近、保育園や幼稚園の子どもたちが、
ままごと遊びをするとき、親の役割をやりたがらなくなっていることを、
「多くの人に知っていただきたいと思います」と言う。
(以下、このP.52~の話を要約する)

かつては、女の子ならみんな、お母さん役を、しかも自分のお母さんというよりは、
友達のお母さんや親せきのおばさんなど、自分が「いいな」と思ったお母さんを寄せ集めながら
ままごと遊びでいろいろなお母さん役を演じていたらしい。

しかし今ではお母さん役を嫌がり、無理に引き受けさせると演じるお母さんというのは
遊んでいる間、指示や命令ばかりしているらしい。
そういうお母さんは嫌だから、お母さん役を引き受けないのも当然なのだと。
特に衝撃的だったのは、お母さん役は「しない」し、ままごと遊びをするなら
「お母さんが死んじゃった家の遊びにするんだから」という子までいたという。

対するお父さん役は、さほど引き受けるのは嫌がりはしないものの、
いきなり寝転がって「ビールもってきて。ナイター見てるの」というのだとか。
「ゴルフに行ってきまーす」と、いきなりいなくなっておしまい、という子も。

では、人気の役はというと、犬や猫などのペットだという。
親が子どもに愛情をかけるより、自分がいやされるために
犬や猫などのペットをかわいがっていることを子どもが肌で感じている表れらしいと。 

著者はこう語る。
「お父さんの存在感が希薄になると、家庭のなかから父性が消えるのかといいますと、
それはまちがいなのです。じつは、母なるもののほうが消えるのです。
そして、あえていうと、疑似的な父性原理を、お母さんが代わりに発揮してしまいます。
ですから、ままごと遊びでお母さん役を演じると、指示や命令ばかりしてしまうのです」

                            (以上、要約)


子どもにとって一番身近な親が、自身のロールモデルにはなり得ない現代社会の縮図がここに…。

そしてダメ押しのように著者は語る。

「(ある)調査で特徴的だったのが、幼少期に親のようなおとなになりたい、
と思った記憶がはっきりしていた小中学生は、それがない生徒にくらべて、
自分の将来の大きな夢や希望をしっかりもっていたそうです。
私はとても意味深い結果だと思いました」

今の子どもたちが、夢も希望も失い、ニートだ引きこもりだと問題視しているが、
それは今の大人たちこそが自分で招いた結果なのか…。耳が痛すぎる。

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ここまで、今日の話題は、わずか5ページ分にすぎない。

また、この本を話題にすることがあるはず。
それほど看過できない問題に満ちているから。

完 子どもへのまなざし (福音館の単行本)/佐々木正美

¥1,890
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---(本の話はここまで。以下、どーでもいいつぶやき)-----

思ったように読書ができない日が続いていてストレスを感じている。
こんなブログでも、自分に最も足りない継続力の涵養に役立つのかと、
このところ毎日更新するようにしているし、
しかも最近、外出やらうちに人を呼ぶ機会が物凄く多くなった(←「当社比」ではあるが~)。
やはり日常のどこかの比重が高まれば、どこかが手薄になる。
そうやって削られた最たる部分が読書の時間なのだと。

つくづく自分は全方向に同じだけの力を注ぐ能力はないのだなと、
(たくさんの)心の師の姿を仰ぎ見ながら、ため息が出る今日このごろ…。

なんとかしなくては!