The Japanese debt disaster movie
パニック映画じみた日本の負債

http://www.ft.com/cms/s/0/56a10136-2a06-11e0-997c-00144feab49a.html#axzz1CHFzJqfn
By Peter Tasker 2011年1月27日

 スタンダード&プアーズによる日本国債の格付け引き下げは、将来の展望に懸念を引き起こしている。これは世界最大級の経済大国間で連鎖する、ソブリン・デフォルトを特徴とした、世界的な金融危機の第二幕なのだろうか?

 日本の新たな経済財政政策担当大臣である与謝野馨氏は、まさしくそのように考えていると思われる。「我々は悪夢に直面している」と、彼はフィナンシャルタイムスに先週語った。

 2008年の災厄を経験した者にとって、そうした不安は理解できる物ではある。だが、誤った方向へと向かおうとしている。リスクは彼らが世界的な経済問題の解決とは程遠い、状況をより悪化させる方向へと政策を導くことにある。

 告発者達の主張は単純な物だ。日本の公的債務は国内総生産の100%を超えており、減少する兆候も見えてはいない。そしてその政治システムは、退屈な指導者達の間を迅速に行き来するばかりで、麻痺させられているようにも見受けられる。

 この読み筋において、ギリシャとアイルランドの危機はただの前菜にすぎず、メインディッシュは未だ届いてはいない。日本は未だ世界で3番目の経済大国であり、その債券市場の崩壊による余震は、リーマンショックのそれを三乗したものに匹敵するであろう。

 しかし、この予想図には重要な要素が欠けている。ユーロ加盟国周辺の浪費家達とは異なり、日本は自国からの完全な資金調達を行っている。政府は赤字かもしれないが、資金力に優れた民間セクターは国内重要を充分に満たす貯蓄を行っており、毎年の生産高の3%に匹敵する資本輸出を加えている。それが何をもたらしたかといえば、莫大な海外資産の蓄積である。

 この点において日本はギリシャやアイルランドと言うより、欧州の他の小国に類似している。ベルギーは過去20年間の最良の時期、対GDP比で100%以上の政府債務を誇示していた。そしてその同時期、彼の国の国際収支は、2008年を除き毎年黒字を計上していた。

 ギリシャやアイルランド、そしてポルトガル──実のところ、合衆国や英国も──の市民は、日本とは逆の立場に立たされている。彼らは自身の背負う責任の下、ベルギーと日本を含む海外の債権者に、配当や金利を支払わなければならない。

 そしてさらに、日本の財政赤字は激しい財政支出によるものではなく、長年のデフレによる税収基盤への着実な浸食によって引き起こされている。所得税、法人税、固定資産税、相続税──その全てが、デフレによって傷つけられた。

 しかし、そのような目眩がする水準に達した政府負債は、確実に維持不能なのだろうか?そうであるならば、誰もが市場で口をつぐむであろう。日本の政府債務は雪だるま式に増加していったが、出資者によって要求された金利は、さらに低くなっていった。昨年のギリシャ国債の利率は急上昇し二桁を超えたが、日本の10年物国債の利回りは僅か0.8%であった。

 日本の指導者達は『悪夢』ではなく、現実の誘惑に直面している。彼らの前には、バビロニア人が発明して以来の超低金利で、さらに膨大な額の国債を発行する機会が広がっている。

 賢いやり方としては、ナポレオン戦争時における英国の資金調達の模倣や、永久債の発行が考えられる。政府の債務は決して『払い戻される』ことは無い──それは、永続的にロールオーバーされるだけの話だ。

 こうした動きを確実にする手法は、需要を縮小させるような緊縮財政ではなく、永続的な──通貨及び財政刺激と構造改革の結合から成る──経済成長策にある。与謝野氏が好む消費税の増税は、おそらく消費の低迷を招くであろう。1997年当時、『財政の厳正化を消費者が熱烈に支持し、気前よく消費を行う』と大蔵省は楽観的な見通しを述べていたが、実際には消費税率の引き上げによって消費は冷え込んでしまった。むしろ、深刻な不況は税収をさらにむしばみ、財政赤字をさらに積み上げる結果に終わっている。

 日本における政情不安定はどうだろうか?ベルギーもそれを経験している。1978年と2007年、同国における選挙後の行き詰まりは、半年もの間、政府が組織不能に陥る可能性があった事を意味していた。だが、明白なダメージは存在しなかった。生活は滞りなく行われ、ビールやフリッターは相変わらず美味であった。おそらく、ベルギー人の指導者に対する薄い期待は、威勢のいい『change』とそれに続く不可避の幻滅というサイクルよりは、成熟した態度だと言えよう。

 日本やベルギーのように高齢化が進み貯蓄率の高い国々においては、国債のようなローリスクの金融資産に一貫した需要があるというのが現実である。民間部門の資産と公共部門の負債は、ゴジラのように巨大であっても、同じバランスシートの表と裏でしかない。

 こうした繊細な均衡状態を取り違えることは、恐るべき国際的な影響を与えかねない。国際収支が黒字の主要国が内需を圧搾するならば、金融危機の一員となった世界的不均衡を是正する可能性を失うことになる。更なる問題が後に続くことになるだろう。

 国際収支が赤字の国が実施している政策を用いるのであれば、おそらく次に来るのは保護主義やグローバリゼーションの巻戻り、そしてナショナリストや排外主義者の隆盛といった政治的動きであろう──ワッフルや寿司が胃から逆流しそうな予測ではあるが。

 最近は大した実績を上げていない格付け機関の見解など忘れ、日本はデフレ脱却にこそ専念する必要がある。それだけが、与謝野氏の言う『悪夢』から覚める、ただ一つの方法である。

※著者は東京に拠点を置くArcus Researchのアナリストである

 ちょっと時間かかり過ぎて遅くなっちゃった感はありますけど、日本の国債格下げについての記事を訳してみました。
 うーん、これといって付け加えるところがない…

 …無理に付け加えることもないか。誤訳・誤解釈等ありましたら、コメントで突っ込みお願いします。


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