(参考:0561「キューバの5人に減刑判決」)


3月28日、米国のジミー・カーター元大統領(1977-1980、86歳)は、妻のロサリンを伴って、3日間のキューバへの「私的な」訪問をおこなった。カーターのキューバ訪問は2002年5月以来2度目、米国元大統領でキューバを訪問したのはカーター以外にはいない。


キューバ、米国関係は、最近の米国要員、アラン・グロスにたいする、「体制打倒」の試みへの禁固15年の判決によって緊張関係にあった。カーターは、「キューバの人々、政府の人々、民間の人々を訪問するためにやってきた。ハバナに再び来ることができて嬉しい。両国関係の改善に寄与することを期待する」と述べた。


カーターはヘブライ社会財団(PCH)のアデラ・ドゥウォリン会長、カトリック教会のハイメ・オルテガ大司教らと会談、カトリック教会の仲介によって、この9か月で「グループ75」の52人をふくむ、100人以上の「反体制派」囚人が釈放されている。


今回の訪問での「反体制派」と会談は2回に分けておこなわれた。最初はブログのジョアニ・サンチェス、人権委員会のエリサルド・サンチェス、自由キリスト者運動(MCL)のオスバルド・パジャなど。2回目はダーマスデブランコ(白衣の女性たち)、最近釈放されたオスカル・エリアス・ビスセッ、エクトル・マセダなど。ただ2002年訪問時にはおこなわれた、マルタ・ベアトリス・ロケなど、「旧来の反体制派」は招待されなかった。


3月29日に行われた、ラウル・カストロ議長との会談は6時間に及んだ。「国際問題、キューバと米国が置かれている状況、両国民の関係について」意見を交換したとされる。経済改革、第6回共産党大会についても、テーマとされたともされる。今回のカーター訪問では、会談した人々が詳しく内容を紹介していない。アラン・グロスについて記者に聞かれたカーターは、ここでは明らかにできないと答えた。カーターは、帰国後、バラク・オバマ大統領、ヒラリー・クリントン長官に、会談内容について報告するものと思われる。


その意味でカーターのキューバ問題での発言は示唆するものがある。かれはグロスは釈放されなければならない、なぜならかれは無実だからだ。また「マイアミの5人」は釈放されるべきだ。なぜならすでに12年間も刑に服しており、米国の司法関係者からも裁判には批判がある。この2つの問題は直接関係していない、と述べた。


また米国によるキューバへの経済制裁は解除されるべきである。1996年のビル・クリントン大統領時代のヘルムズ・バートン法は誤りであった。キューバへの制裁はキューバ市民に害を与えている。キューバ・米国間の貿易、投資活動に賛成し、米国・キューバ間の人々の行き来も自由化するべきであると述べた。キューバをテロ支援国家のリストに入れていることも根拠がないとして、これから外すことを主張した。


カーターは3月30日、帰国の前、フィデル・カストロ前議長と会談をおこなった。


* この記事は、La Jornada, BBC Mundo, teleSUR, El Pais, を参考にしました。