「低線量内部被ばく」がなぜ日本の原子力安全基準に反映されないの? | 脱原発の日のブログ

脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

2.24脱原発の日;院内集会で配布した資料です。自由にご利用ください。


              よくわかる原子力 

 http://www.nuketext.org/topics2.html#lnt1

放射線影響協会主催シンポジウム「低線量放射線影響研究の現状と将来」2005 3/9・10

文部科学省が放射線影響協会に委託し、1985年度から行われている「原子力発電施設等で放射線業務に従事している人の疫学調査」の結果発表と、これを支えるために、2004年度から開始された「国際放射線疫学関係情報調査」の一環としておこなわれたもの.

 

LNT仮説(Liner Non-threshold Theory)とは「しきい値なし直線仮説」


この仮説あるいはモデルは広島・長崎の被爆者のいわゆる「生涯調査」(詳しくは広島・長崎の被爆者生涯調査を参照)から得られたもので「放射線の影響は線量に比例して減少はするが、これ以下では影響が消失するという、「しきい値」があるという証拠は見つからない」ということを示しています。

LNT仮説と原子力政策 放射線にしきい値がなく安全量がないという仮説は、原子力政策を進めたり、放射線や放射能を出す側にとっては非常に都合の悪いものです。

シンポジウムに出席していた元原子力委員の竹内哲夫氏からの「裁判などで必要なので、科学者は早くこのしきい値線量の合意をうるべきだ」との発言や、元原子力安全委員の松原純子氏、放射線影響協会の金子正人氏からなされた「低線量の放射線障害をなおす能力のない人、あるいは低い人は全体の人口から見ると数パーセント以下にすぎない。それにもかかわらずそのような人をも対象に入れたきびしい防護基準を設けることは国や電力会社にとっては大きな経済的負担となる。従って、切り捨てても良いのではないか。」という意味の発言がその立場を象徴しています。


日本国内では、このLNT仮説を覆し、何とか「これ以下では安全である」という「しきい値があるのだ」と説得しようとする企てや宣伝が、電力会社や行政によって、執拗に続けられています。原子力教育もその宣伝の重要な一環となっています。日本がそのメンバーである以上、ICRPの基準値には従わざるをえませんから、基準値を緩いものに変えてしまうのが手っ取り早い方法です。


そのための国際的な働きかけを積極的におこなおうとする意図がこのシンポジウムで見えてきました。

このようにあからさまな意図を持つシンポジウムに参加している放射線影響の研究者はどのような立場をとっているのでしょうか?上に述べた元原子力委員や元原子力安全委員の発言に対して研究者達から何ら反対する意見は出されずじまいでした。


文部科学省は、原子力政策を進めている役所であり、同時に研究費を握っているところでもあります。

研究者は研究費をカットされたら、仕事ができません。

自分の研究が原発推進に利用されても当面の研究費をもらうためなら、妥協しているのでしょうか? 

それならば、私たち市民が声をあげて研究者や行政へ、要求を示していかなければならないと思います。