非上場大手の一角「大塚ホールディングス」、本日上場 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

非上場大手の一角「大塚ホールディングス」、本日上場

 本日12月15日は、「ポカリスエット」を手掛ける大塚製薬や「ボンカレー」の大塚食品などを傘下に持つ非上場企業、大塚ホールディングス(東京)が東京証券取引所に上場する日です。大塚ホールディングス(HD)は、サントリーホールディングス、竹中工務店、YKKなどと並ぶ非上場の一流企業です。時価総額は1兆円規模ともいわれており、年内では4月に上場する第一生命保険(1兆5000億円規模)に次ぐ大型IPO(株式の新規公開)となりそうです。大塚ホールディングス1921年に大塚武三郎氏が徳島県鳴門市に大塚製薬工業部として創業したのが始まりで、2008年7月に持ち株会社制に移行しました。傘下には、「ポカリスエット」「オロナミンC」などを手掛けている大塚製薬、「ボンカレー」などの大塚食品、「チオビタドリンク」で知られる大鵬薬品工業などを保有しています。グループ企業は約150社で、資本金429億4600万円連結売上高9559億円(09年3月期)です

 上場で大きな恩恵を受けるのは、大株主で、発行済み株式の2.11%を保有する阿波銀行(徳島)は、大塚HDの発祥の地が徳島県ということもあ、大株主に名前を連ねています。時価総額が1兆1175億円として、保有する大塚HD株は10億円規模。阿波銀の資本金が234億円ということを考えると、そのインパクトは非常に大きいと思います

 同じ金融関係では、上場主幹事になっている野村証券を傘下に持つ野村ホールディングスも、大塚HD株を2.35%保有しており、大型IPOの主幹事として大きく稼ぎ、上場で資産としての効果も大きく非常に美味しいディールのようです。大塚グループの上場会社であるアース製薬(東京)も、親会社である大塚HDが鳴り物入りで上場となれば、連れ高する可能性は高そうです。さらにこれだけの大型上場となれば、大塚HDと似たような事業展開をする企業の株も買われる動きが出てきそうです。


 目論見書に記載された大塚HD株の想定発行価格は2400円。オーバーアロットメント(人気化した場合に主幹事証券会社が追加で株式を売り出すこと)などを含めた時価総額は1兆1715億円と試算され、武田薬品工業(約3兆1000億円)、アステラス製薬(約1兆4000億円)に次ぐ規模となります

 まず投資家サイドからは今回のIPOを見てみると、一つの懸念があります。それは第一生命4月1日に上場し、売り出し価格14万円に対し16万円の初値を付けましたが、翌2日の16万8800円を天井に値崩れが始まり、11月2日には9万6700円を付け、安値を更新した。最近は12万円前後で推移する、という悪夢があることです。第一生命株は高値から安値までの下落率約43%に達し、同期間の東証株価指数(TOPIX)の下落率19%よりも厳しい下げをみせました。そんな第一生命株について、証券アナリストは4~5月に、総じて強気な目標株価を弾き出していました。ドイツ証券の18万円、UBS証券の21万円、野村証券の25万7000円など、今となっては笑い話の類になるような話です。今後出てくる大塚HDの投資リポートにこうした“失敗”が反映されるか、注目していきたいところです。





 

 次にマーケットに与えるインパクトについて考えてみたいと思います。私がこのコラムを作成している12月14日現在の段階で、大塚HD株のIPOの状況は、

≪初値予想≫2200円

≪公開価格≫2100円

≪公募株数≫80,000,000株

≪売出株数(オーバーアロットメント含む)≫14,500,000株

≪主幹事証券≫野村證券・モルガンスタンレー三菱UFJ証券・UBS証券

≪売買単位数≫100株

≪公募規模≫1985億円

≪時価総額≫1兆1715億円

となっております。





 

 大塚HDは、上場に伴い8000万株の公募、1000万株の売り出し、需要状況に応じて最大450万株のオーバーアロットメントによる売り出しを行います。予想発行価格(2100円)から算出した市場調達額は1985億円となります。




 参考までに、2006年度以降で新規上場に伴う市場調達額が1000億円を上回った案件および調達額は、06年度が野村不動産HD1654億円、出光興産1204億円、アコーディア・ゴルフ1240億円、あおぞら銀行3800億円。07年度は3480億円のソニーフィナンシャルホールディングスのみです。その後、08年度、09年度となく、10年度になって市場調達額1兆89億円の第一生命保険が出てきました。




 マーケットの需給関係から分析すると、大塚HDも単純な市場調達額で見れば「超大型IPO(新規上場)」に位置付けられ、一部では「需給の重しになるのでは」と懸念の声も聞かれますが、実はそうでもなさそうです。というのも大塚HDは、公募8000万株のうち7割に当たる6550万株を海外で募集し、国内募集は1450万株にすぎないのです。つまり、国内市場からの資金調達額は、公募、売出の合算で1985億円と、事前の期待ほどのサイズになっていないことです。ここから読み取れることは、資金調達が海外重視であることです。市場関係者からは、オーバーアロットメントを含めた最大市場調達額は第一生命の4分の1でしかなく、これを踏まえると、大塚HDは超大型IPOではなく、“普通のIPO”ともいえそうです。





 

 では、最後に今後の大塚HDを取り巻く現在の環境と今後について考えてみたいと思います。大塚HDの時価総額は、想定発行価格から試算すると1兆1750億円。国内医薬メーカーでは、第一三共を上回り、アステラス製薬を追撃する位置に躍り出ます。また、“未上場製薬の大御所”大塚製薬を抱える大塚HDの上場により、大手製薬会社がすべて上場することなり、今後の業界再編、M&Aの行方にも関心が高まりそうです。製薬会社としては武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共に次ぐ水準ではありますが、ここ10年以内では、時価総額1000億円を超える製薬会社の上場がなかったことから、かなりの注目が集まっています。リーマンショック以降、依然として完全回復とは言い切れない混迷気味の株式市場に、どうしていま上場を決めたのでしょうか。それは、「調達した資金は新薬の研究開発や海外での事業拡大に充てる」と明言しているように、製薬事業の研究資金調達の目的が理由として大きそうです。それは2010年問題に直面した大手製薬メーカー各社は、新薬の研究開発への巨額の投資を余儀なくされているからです。ポカリスエットやカロリーメイトといった飲食料品が高い知名度を誇る大塚製薬も例外ではなく、1兆円規模の年商のうち、7割は製薬部門が占めていると言われています。中でも、2002年から統合失調症の治療薬として世界45カ国で販売されている非定型抗精神病薬エビリファイは、2008年にユート・ブレーンが発表した『世界大型医薬品売上高ランキング』でも30位に位置し、年間3700億円の売上を誇ります。そして収益の1/3を支えるこのエビリファイが、2015年、ついに特許期限切れを起こします。大塚製薬は、10月、佐賀県に新しい原薬工場を設立したばかりです。この工場では、ポカリスエットやカロリーメイトの生産だけでなく、臨床試験向けに、開発段階の新薬の有効成分を必要分だけ生産することを目的としている模様です。エビリファイ特許切れの2015年に向けて、大塚製薬の猛攻が始まろうとしています。新たな収益源となる新薬開発ができるか、はたまた国内外の同業他社を買収しスケールメリットを追求するのか、逆に他社に飲み込まれるのか、今後の動向を見守りたいところです。







Ken

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