小泉改革の否定:民主党的政治主導によるJBIC改革反動→官僚国家の復活 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

小泉改革の否定:民主党的政治主導によるJBIC改革反動→官僚国家の復活

秘書です。
鳩山政権下から続いてきたJBIC改革の反動の動き。
ついに決定か?
郵政改悪がおカネの入り口ならJBIC改悪はおカネの出口の問題。
そして、海外では大臣以上の待遇という高級天下りポスト復活!
民主党的政治主導による官僚国家の復活!
官僚国家の復活が成長戦略の名で行われるとは!


■民主 国際協力銀行の分離提言へ
12月8日 4時23分
民主党は、日本企業による高速鉄道などの海外展開を支援するためには「国際協力銀行」を日本政策金融公庫から分離し、迅速な意思決定を可能にする必要があるなどとした提言を近く政府に提出することになりました。
JBIC=国際協力銀行をめぐっては、菅総理大臣が、財務大臣だった当時のことし3月の衆議院財務金融委員会で、「日本政策金融公庫に統合されたメリットよりも、一緒にした弊害も出ている」として、将来的な分離も検討課題の1つだという認識を示していました。これを受けて民主党は、日本企業の海外展開を支援するための公的金融機関のあり方に関する提言をまとめました。それによりますと、新興国に限らず先進国でも増えている原子力発電所の更新や高速鉄道の建設などの大型のインフラプロジェクトを日本企業が獲得するには、政府による資金面でのサポートが不可欠だとしています。具体的には、JBICの日本企業に対する融資の条件を緩和したり、これまで限定的だった出資も拡大するなど、JBICの機能を強化すべきだとしています。そのうえで、現在の日本政策金融公庫に統合されたままでは十分な役割が果たせないとして、公庫から分離し、迅速な意思決定を可能にする必要があるとしています。民主党は、この提言を近く政府に提出し、必要な法改正を行って実現を目指すよう求めることにしています。

■国際協力銀、分離・独立へ…インフラ輸出中核に
(2010年12月8日03時03分 読売新聞)
 政府は7日、日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)を分離・独立させる方針を固めた。
 機動性や専門性を高め、政府が新成長戦略で掲げるインフラ(社会資本)輸出の中核に位置付ける。国際協力銀は、小泉内閣が構造改革の柱として打ち出した政府系金融機関改革で2008年に同公庫の一部門となったが、来年以降、再び独立し再スタートする。政府は10日にも発表し、来年の通常国会に関連法案を提出する。
 政府は6月に閣議決定した新成長戦略で、アジアの新興国を中心に海外の需要を取り込む構想を掲げた。日本の高い技術力を武器に、高速鉄道や原子力発電所、上下水道などのインフラ輸出を官民一体で進めている。政府は成長戦略を金融面で後押しするため、国際協力銀の機能強化が不可欠と判断した。

■国際協力銀行分離を 民主党成長戦略チーム
2010/12/07 23:10 【共同通信】
 民主党の成長戦略・経済対策プロジェクトチーム(PT)がまとめる、インフラ輸出推進のための提言案が7日、明らかになった。国内向け支援が中心の日本政策金融公庫から国際金融部門の国際協力銀行(JBIC)を分離・独立させることが柱。分離により日本企業の海外展開を機動的に後押しできるようにする狙いがある。
 8日に開かれるPTに正式提示。政府は10日にも開くインフラ輸出関連の閣僚会合で、この提言を反映させた方針を策定する見通し。
 JBICは政府系金融機関改革の一環で、2008年に国民生活、中小企業、農林漁業の各金融公庫と統合し、新たに発足した日本政策金融公庫の一部門となった。

→成長戦略の名で高級天下りポスト復活を政治主導するとは!

→以下、JBICの改革反動の動向に関する過去の秘書ひしょブログです。

2010-02-11 09:03:20
朝のニュースです(改革は前進か、後退か)

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/day4-20100211.html#main
秘書です。改革は進むのか?後退するのか?

・・・「次官の天下りポスト復活」のための「改革後退」、小泉改革の成果のまた一つ否定路線につながる危険のある、民主党政権の「反動」の兆しを一つ。


■国際協力銀、組織見直しも=機能強化検討-古川副大臣
(2月10日-20:48時事通信)
 古川元久内閣府副大臣は10日の記者会見で、日本政策金融公庫の国際部門、国際協力銀行(JBIC)について「新幹線や環境技術をシステムとして輸出していくことは重要な戦略だ。そうした課題に取り組むためにJBICのあり方を今後検討したい」と述べ、機能強化に向けて組織形態を含めた見直しを進める考えを示した。JBIC内には日本公庫からの分離を求める声もあり、政府系金融機関の再々編につながる可能性もある。
 JBICは2008年10月に国民生活、中小企業、農林漁業の3金融公庫とともに新設の日本公庫に統合された。ただ、国内の中小零細事業者を主な取引先とする旧3公庫と、大企業の海外事業に対する金融支援を担うJBICでは業務内容が大きく異なるため、分離論は以前からくすぶっていた。 
 政府は昨年12月に骨格をまとめた新成長戦略で、成長著しいアジア市場で日本企業のビジネス機会拡大を支援する方針を打ち出しており、JBICの機能を最大限活用したい考え。仙谷由人国家戦略担当相も5日の衆院予算委員会で「日本が国家戦略的プロジェクトを進める上での重要なファイナンス機関として、JBICの業務の中身全体をとらえ直す」と表明していた。


→国際協力銀行の組織改革は、ボスが自民党政務調査会長時代に行われました。そのときの経緯については、草野厚教授の『解体―国際協力銀行の政治学―』(東洋経済新報社、2006年)というすばらしい本があります。

この本から一部引用させていただきます。下記にある「現行体制維持」は改革前の姿のことです。


「それにしても、なぜ財務省、旧輸銀は、国際協力銀行の現行体制維持に固執したのであろう。政策面からの存続の必要性を指摘する人は少なく、共通して指摘したのは2つである。

第一は、OBの天下り問題である。国際協力銀行が解体され一つできる新たな金融機関に統合されれば、事務次官の天下りポストは1つ減る。・・・

第二は組織防衛である。・・・

そうした組織防衛や、天下りが真の理由であるにせよ、現行体制維持派は政策論を前面に出さざるを得なかった。しかし、・・・財務省や旧輸銀の提出した資料は、政策論で現行体制を維持するというには不十分な、説得力に欠けるものであった。第三者が少し勉強すれば簡単に論破できるような資料を提示したり、あるいは、自分たちの主張に都合のよいところだけつまみぐいした資料を提示して説得を試みた。・・・」


→民主党政権がどんな形の「小泉改革の否定」をしてくるのか、じっくりと検討しましょう。

2010-03-17 12:44:49
改革反動:民主党主導の高級天下りポスト復活か?

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10484019746.html
秘書です。
国際協力銀行の総裁といえば、海外では大臣以上の待遇を受けるといわれたポスト。
そのポストが、早期退職勧奨継続への「転向」と連動して復活か?


■国際協力銀行、日本政策金融公庫からの分離も検討課題=財務相
2010年 03月 17日 10:31 JST
[東京 17日 ロイター] 菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は17日午前の衆院財務金融委員会で、国際協力銀行のあり方について「統合メリットよりも、あまりにも違う機能を無理やり一緒にした弊害が出ている」と述べ、「将来、(日本政策金融公庫から)分離させることもひとつの検討課題だ」と述べた。
 山本有二委員(自民)の質問に答えた。

→この天下りポスト、小泉政権期、中川秀直政調会長時代に、政策金融機関を一つにする中で消滅していったものなんですね。民主党はそれを元に戻すのか。
2006年当時の改革のプロセスについては、是非、草野厚先生の『解体―国際協力銀行の政治学―』(東洋経済新報社、2006年)を読んでください。この努力が、元に戻される、ということです。


2010-06-03 18:16:38
脱官僚?:JBICと天下りについて

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10552882795.html
(※個々に出てくる予備的調査と類似の調査を自民党が先日出しています)

2010-10-26 10:42:15
JBIC機能強化:外為特会から1兆5千億円程度の外貨資金を供与

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10687991846.html


(参考1)平成22年4月9日衆議院内閣委員会会議録

○中川(秀)委員 では、具体例でその点を聞きます。

 民主党は、野党時代に、固定的、指定席のポストについての批判をしてまいりました。私は、これは極めてもっともな批判だと思っています。

 ここにございますが、私の質問書に対する二月二十六日の閣議決定の、天下り、わたりに関する政府答弁書、ここで、政府系金融機関の天下り、わたりの実態が明らかになっています。余りに膨大なので、幾つかの例を抽出して、今、委員各位のところにお届けしているのが、前回の委員会でも配ったんですが、こちらの二枚紙の委員会資料でございます。(※下記(参考2))

 あれだけ野党時代に天下りや裏下りを批判してきた、そういう民主党です。きっと、この膨大な天下り、わたりリストの中に、民主党の定義で許すことのできない天下り、わたりの事例があるんじゃないかと思います。この質問は事前通告していますが、仙谷大臣、この中で、民主党の天下り、わたりの解釈で許すことのできない天下り、わたりは具体的にどれですか。また、その理由はどれでしょうか。

○仙谷国務大臣 中川議員からお配りをいただいております資料を拝見いたしますと、これは、当然のことでありますけれども、すべて鳩山政権以前の政権で行われた人事でございます。個々の人事について、どういう理由でこういう人事が行われたのか、私にはわかりません。

 現政権では、府省庁によるあっせんの有無にかかわらず、特定の企業、団体等との癒着や行政の無駄などの原因になるような再就職は極めて問題があると考えております。府省庁によるあっせんの事実は確認されていないものでありますけれども、事実上の天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような公務員の再就職についても、我々は、国民の疑念を解消するために厳格な監視を行おうと考えております。

 ここに示された一覧、基本的に、今、政策金融公庫ですか、それと、その中の輸出入銀行、国際協力銀行ですか、この人事について、どれが天下り、裏下りと言われるものか、あるいは問題があるかというのは、他の人事権者が行ったものでありますので、私の方からコメントをいたしますのは差し控えたいと思います。

 ただ、私の問題意識は、当然のことのように、つまり、年功を経るに従って、はまりポストというんですか、当然の行き先であるかのような人事がなされるということは、これは一つの大問題だというふうに私は考えております。

○中川(秀)委員 あえて議事録をまた引っ張り出すつもりはありませんが、ずっと、仙谷さん、また民主党は、こうした例の固定的な指定席ポストというものを、これはまさに天下りの典型であって許せないんだと批判してまいりましたね。そして、政権交代して、こういうことはなくしていくんだということを言われましたね。だったら、これの中でどれがそれに当たるのか、やはり明確にするというぐらいの姿勢がないといけないんじゃないかと私は思いますよ。

 これは任命権者がどうのこうのの問題ではなくて、まさにこの法案の根幹にもかかわるところであって、そういう見解を私は求めたわけですが、どうも具体的に答えられないということだと、それは、こういうケースについても今後も甘い対応をしていくんだ、そんなふうに受け取れてしまいますよ。明確に、こういうものは私たちは今後許しませんと言えばいいじゃないですか。それが大事だと思います。

 今のお手元の配付資料を見ていただきたいんですが、これは三月の十日にも本委員会に提出した資料なんですけれども、これは、二月の二十六日の閣議決定の天下り、わたりに関する政府答弁書で明らかになった、固定的、指定ポストの実態の一部なんですね。

 そして、三月十日、今、仙谷大臣もおっしゃったが、ちょうど仙谷大臣が予算委員会へ行かれたものですから、枝野大臣がかわって御答弁されて、これらの役員ポストの人事において、同一の役所からの就任は認めない、他の役所とのたすきがけ人事も認めないのかと聞きました私に対して、枝野さんは、「御指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたいというふうに思っております。」と。これもちょっとふわふわっとした答弁で、心配だなと思うんですが、今、仙谷大臣も似たような御答弁であった、こう思うんです。

 それじゃ、もう一つ、もっと詰めて伺いますが、三月の二十三日に閣議決定をされました、これも私の質問書に対する答弁書なんですが、行政改革、公務員制度改革、天下り根絶に関する政府答弁書、これをどう解釈したらいいのかということなんです。 (※下記(参考3))

 それで、繰り返しますが、今の仙谷大臣の御答弁、それから三月十日の枝野大臣の、御指摘のような固定的、指定席ポストにどんどん同じ役所から行くというようなことを、そういう問題が生じないことを目標にしていきたいという答弁に対して私はさらに質問したわけですけれども、この三月二十三日の政府答弁書はこういう答弁書なんですよ。ちょっと仙谷大臣、よく聞いてください。大臣、聞いておられる。(仙谷国務大臣「はい」と呼ぶ)はい。

 「お尋ねの機関のポストについては、主務大臣が適材適所の人事を行うべきものであると考えており、その際、」その際ですよ、「識見及び能力を有しないにもかかわらず特定の府省庁を退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって当該ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。」(発言する者あり)ちょっと横でうるさいよ、君。

 もう一回繰り返しますよ、大事な点なので。そういう、固定的、指定席ポストの天下りというのは、「主務大臣が適材適所の人事を行うべきものである」が、「その際、識見及び能力を有しないにもかかわらず」という条件が入っているんです。特定の府省庁を退職した者が同じ「退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって」その「ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。」

 「識見及び能力を有しない」、ちょっと、今のリストを見て、仙谷さん、識見、能力を有しない人はいますか。

○仙谷国務大臣 このリストに掲げられた人がどういう識見と能力を有しているのか、存じ上げている方はごく一部分しかございませんけれども、つまり、識見及び能力を有しているのか否か、私が全く存じ上げない方がほとんどだ、こういうふうに理解していただければいいと思いますが、私自身の感覚でいえば、一般的な識見及び能力を有しているかどうかはともかくとして、このポストにふさわしい識見及び能力を有しているかどうか、これは、私の目から見ますと少々疑問に思う方もいらっしゃいます。

○中川(秀)委員 しかし、大事なのは、そういう、知っているか知っていないかという問題じゃなくて、これはまさに政府の答弁書ですから。

 つまり、主務大臣がそれぞれ人事をやるんですね。その主務大臣が、その役所の次官あるいは次官級審議官、局長をやった方もいるかもしれませんが、今のリストはほとんど次官クラスですね。その役所の次官まで務めた人、次官クラスの仕事をした人、それを、識見及び能力を有しないと判断できますか。そして、判断しない限り、固定的、指定的ポストへの天下り、わたりは可能であるという答弁書になってしまいますよ。

 私は、その意味で、今仙谷大臣に、そういう問題が生じた人事はどうですかと聞いたんですが、逃げの答弁で、明確な御答弁がなかった、このように受けとめざるを得ません。

 つまり、そういう役所の事務方のトップまで行った人を識見及び能力を有しないなどと言うことは、普通のケースではほとんどあり得ないですよ、主務大臣がそんなことを言うことは。こんな答弁書では、結局、当該ポストを占める固定的、指定席ポストの天下り、そういう人事はこれからも続いていくということになってしまいます。結局、そういうのに当たらない人はだれもいない。我々もそれは反省もございますが、自民党政権時代二十年間も、民主党が問題とする天下り、わたりの問題は存在していなかった、逆に言えばそうなってしまう。

 だから、この意味するところは、同じように固定的、指定席ポストに天下りが続いていくということじゃないでしょうか。結局、天下り、わたりの定義をどんどんこの政府の答弁書のように狭めていくことで、実際はこのような天下り、わたりの全面開放をしているということになりはしないか。

 議員立法提出者にこの点について聞きます。

○菅原議員 OBのあっせんいかんにかかわらず、聖域なく民主党は天下りを根絶する、選挙のときこう訴えておられました。

 しかしながら、この七カ月間、OBのあっせんと言いながら、水面下で役所のあっせんが存在をしているということは、いわば霞が関では公然の秘密でありまして、今お話があったように、識見や能力いかんにかかわらず、いわば指定ポストで切れ目なく省庁のOBが就任をし続けているということは、OB個人がばらばらにあっせんをしておったのではそうはならないわけでございますので、この点、私ども、しっかりこの固定的な天下りポストを根絶すべきと考えておりまして、そのように取り組みを進めていきたいと思っております。

○仙谷国務大臣 この具体的な人事は当然のことながら私の所管ではございません。人事権者は内閣官房長官、内閣総理大臣が決めることになるわけでありますが、つまり、先ほどの中川議員の論理でいきますと、財務大臣は、財務省から次官を推薦してきた場合に、識見がないとか見識がないとかいうことで拒否できないのではないか、こんな邪推といいましょうか勘ぐりでお話をされておるように私には聞こえました。

 なぜ今まで自民党政権時代にそのことのけじめがつかなかったのかというのは、私にとっては甚だわかりにくい理由でございますが、今度は、多分ことしの六月あるいはその後にも陸続と、中川議員が御指摘になっている、いわゆる特殊会社というんでしょうか、この種の法人についての人事が参りますので、まあそのときの人事をごらんいただければよくおわかりいただけるのではないかと思います。

○中川(秀)委員 そういうのは、何か国会答弁として、半分は許容しますが、半分は、私の聞いている法律論、私は閣議決定した政府答弁書のことを聞いているんですからね。まあ今後の成り行きを見てくださいと。片方、議員立法提出者の方は、野党側の方は、根絶しますと、反省も込めて言っているわけですよ。それに対して、政府側、代表して仙谷さんは、まあ今後のやることを見てくださいと言うだけで、政府答弁では、今までどおり続けますということが十分可能な答弁書を出している。これで両法案の基本哲学の違いというか姿勢の違いが私は出ているような気がしますね。

 事実上、固定的、指定的ポストの天下り、裏下りを容認する、そういう政府答弁書であった、一方、自民党やみんなの党の提案は、根絶するという哲学でこの法案を提出している、そういう御答弁であったと言わざるを得ません。

 それでよろしいですか。

○仙谷国務大臣 私は、声高に何を言おうと、やることが違っていればこれはもう全く意味がないと。

 特殊会社の人事については、中川議員が御指摘になられたところは、特に我々としては注意して人事を行わなければならないと思っております。

 さはさりながら、御指摘になった会社以外にもいろいろなケースがあって、私自身は、元官僚であろうが、現在官僚の人であろうが、その人の持っておる能力を十分この日本という国で生かし切らなければならない、あるいは使わせていただきたいというケースもこれは十二分にあり得るというふうに考えておりまして、一律に、一切、官僚のうち幹部職員を務めた者は、政府とある種の関連のある機関の、機構の、組織のポストにつけてはならない、こういう絶対的なルールを引いた瞬間に、これまた大変バランスを失した、ある種の、日本にとって悪い結果になる可能性があるということで、この政府の答弁書もこういう少々の柔軟性を持たせた書き方になっているというふうに理解をしております。

○中川(秀)委員 含みのある発言のところは注目をしてまいりますが、能力そしていろいろな経験、そういうものが評価をされての人事が行われる、私はそれも否定しているわけじゃありませんよ。

 ただ、固定的に指定席ポストで、ずっと代々同じポストの人が行くというのは、それは国民の目から見て、これはもう決まったルートになっている。あるポストは、こちらから来て、交代交代で今度はこっちが来る、ずっと続いている、あるいはこの表にあるようにずっと切れ目なく続いている、そういうことについて、問題を提起して、そういうことはやらないんですねと聞いている。

 だから、そういうことはやりませんと、一方は根絶しますと言っている。一方は、何か、やり方を見てください、含みのあるような御答弁。根絶する、そういうずっと続けるやり方を根絶すると言われたらいいんじゃないでしょうか。その方が国民の理解が得やすいんじゃないですか、仙谷大臣。

○仙谷国務大臣 役所の管轄下にある機関について、役所の次官経験者あるいは長官経験者がつくというようなことは原則としてあってはならないと私は考えておりますし、多分、今の官邸はそういう人事はしない。だから、見てください、こういうふうに申し上げているわけであります。

○中川(秀)委員 それでは、もう押し問答しませんが、根絶する、議員立法提案者と同じ、そういう姿勢である、このように受けとめさせていただきました。反論があるならどうぞおっしゃってください。


(参考2)平成22年4月9日衆議院内閣委員会・中川秀直配布資料

(配布資料)「天下り・渡りに関する質問主意書」に対する政府答弁書(二月二十六日)より

(一)過去二十年の歴代国民金融公庫総裁・国民生活金融公庫総裁・株式会社日本政策金融公庫国民生活事業本部関係の副総裁の当該機関在籍期間

・吉野良彦・元大蔵事務次官(平成元年十二月十七日―平成四年七月十五日)
・平澤貞昭・元大蔵事務次官(平成四年七月十五日―平成六年五月二十日)
・尾崎護・元大蔵事務次官(平成六年五月二十日―平成十五年一月十二日)※1
・薄井信明・元大蔵事務次官(平成十五年一月十二日―平成二十年九月三十日)
・細川興一・元財務事務次官(平成二十年十月一日から現在まで)※2
  (注・株式会社日本政策金融公庫代表取締役副総裁)

※1 平成十一年十月一日に国民金融公庫から国民生活金融公庫に
※2 平成二十年十月一日に国民生活金融公庫から株式会社日本政策金融公庫に

(二)日本輸出入銀行総裁・国際協力銀行総裁・株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行関係の副総裁の当該機関在籍期間

・田中敬・大蔵事務次官(昭和六十一年五月二十三日―平成二年五月二十二日)
・山口光秀・大蔵事務次官(平成二年五月二十二日―平成六年五月十三日)
・保田博・大蔵事務次官(平成六年五月十三日―平成十三年六月二十九日)※1
・篠沢恭助・大蔵事務次官(平成十一年十月一日―平成十九年九月三十日)
(注・平成十一年十月国際協力銀行副総裁、平成十三年六月国際協力銀行総裁)
・田波耕治・大蔵事務次官(平成十三年六月二十九日―平成二十年九月三十日)
(注・平成十三年六月国際協力銀行副総裁、平成十九年十月国際協力銀行総裁)
・細川興一・財務事務次官(平成二十年十月一日から現在まで)※2
 (注・株式会社日本政策金融公庫代表取締役副総裁)


※1 平成十月一日に日本輸出入銀行から国際協力銀行に
※2 平成二十年十月一日に国際協力銀行の国際金融部門は株式会社日本政策金融公庫に

(三)過去二十年の日本開発銀行総裁・日本政策投資銀行総裁・株式会社日本政策投資銀行副総裁の当該機関在籍期間

・高橋元・公正取引委員長(昭和六十二年十月九日―平成四年七月十五日)※1
・吉野良彦・大蔵事務次官(平成四年七月十五日―平成十年一月一日)
・小粥正巳・公正取引委員長(平成十年一月一日―平成十三年一月十九日)※1・2
・小村武・大蔵事務次官(平成十三年一月十九日―平成十九年九月三十日)
・藤井秀人・財務事務次官(平成十九年十月一日から現在まで)※3
(注・平成十九年十月日本政策投資銀行副総裁、平成二十年十月株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長)

※1 高橋元氏と小粥正巳氏はいずれも元大蔵事務次官
※2 平成十一年十月一日より日本開発銀行から日本政策投資銀行に
※3 平成二十年十月一日に日本政策投資銀行から株式会社日本政策投資銀行に


(参考3)平成二十二年三月二十三日「行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問に対する政府答弁書」の該当部分

六について

 お尋ねの機関のポストについては、主務大臣が適材適所の人事を行うべきものであると考えており、その際、識見及び能力を有しないにもかかわらず特定の府省庁を退職した公務員であるという理由のみによって同一府省庁出身者が何代にもわたって当該ポストを占めるような問題が生じないよう、適切に対処してまいりたい。


(上記の回答は、平成二十二年三月十五日中川秀直提出「行政改革・公務員制度改革・天下り根絶に関する質問主意書」の問六に対する回答)


六 本年二月二十六日の「天下り・渡りに関する質問主意書」に対する政府答弁書の中で、日本政策投資銀行、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、住宅金融支援機構、地方公共団体金融機構、日本政策金融公庫(国民生活部門・中小企業部門・農林水産部門・国際金融部門)、国際協力機構(有償資金協力部門・有償資金協力部門以外)及びその前身の役員のうち、所管省庁において保存が義務付けられている関係書類等によって把握できた常勤の国家公務員の退職者(職務の専門性等を踏まえ、専ら教育、研究又は医療に従事した者、国家公務員としての職務が一時的であった者及び国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十九条第四項等の規定に基づき退職手当を支給されていない者を除く)の氏名(生年月日、最終官職)及び任期が示され、これにより、同一省庁出身者による固定的・指定的な役員ポストの人事が明らかになった。このうち、日本開発銀行総裁・日本政策投資銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策投資銀行の役員ポストの人事、日本輸出入銀行・国際協力銀行総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国際協力銀行の役員ポストの人事、国民金融公庫・国民生活金融公庫総裁の流れをくむ株式会社日本政策金融公庫国民生活事業本部の役員ポストの人事のそれぞれに関し、三月十日の衆議院内閣委員会において枝野国務大臣は、鳩山政権として同一の役所からの就任を認めない、また、他の役所とのたすき掛け的な人事も認めないかとの問いに対して、行政刷新の立場から、「ご指摘のような問題が生じないことを目標にしていきたい」と述べられた。これは、政府の方針として、政策金融機関の役員ポストについて、同一省庁からの固定的・指定的なポストの人事は認めない、他省庁とのたすき掛け的な人事を認めないことを意味しているのか。