3月末危機を回避せよ | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

最近の政治の現状について、国会議員の一人として、国民の皆さんに本当に申し訳なく思う。


経団連の会長が「国会議員は給料泥棒」と批判されたが、政局ばかりの現状に、私自身うんざりしている。


特に、政治的かけひきで予算関連法案に反対する動きが、党内外に出てきていることについて大いなる危機感を禁じえない。政治的な主張はいろいろあるだろう。菅総理の政権運営に対する不満も分かる。しかし、派閥の論理や党利党略で、4月からの予算執行に反対する姿勢は全く理解できない。


ようやく、日本経済にも回復薄明かりが見えつつある。こんな中で、予算関連法案が年度内に成立しないと、日本経済や国民生活に大きな影響を与えることになる。


特に、予算関連法案に反対している方々は、赤字国債の発行を認める特例公債法に反対しているが、この法案が成立しないと約40兆円分歳入が減ることになる。赤字国債を全く発行しない場合の歳入は約52兆円となり、過去の借金返しである国債費(約22兆円)、年金、医療、介護などの社会保障関係費(約29兆円)の支出だけで使い切ってしまう計算になる。


仮に、予算総則で認められている20兆円の政府短期証券をフルに発行する場合であっても(現実的には20兆円全てをまわすことは困難だと思われる。)、これらの経費に加えて、地方交付税交付金(約17兆円)は何とかまかなえる計算になるが、防衛費(約5兆円)や文教費(約6兆円)はまかなえず、公共事業や農業予算もゼロになる。


予算関連法案に反対する皆さんは、本当にこんな事態が生じることを求めておられるのだろうか。そして、その結果生じる地域経済やマーケットに対する影響をどう考えておられるのか。政治的なかけひきで、国民生活や経済を犠牲にすべきではない。


また、赤字国債の発行を阻止することで、強制的な歳出削減や行革につながるとの識者のコメントも見受けられるが、例えば20兆円分の予算が執行できなければ、それだけGDPが減少する。現在、GDPギャップが約20兆円と言われている中で、さらに20兆円分の需要不足を作り出していいのか。日本経済は、確実に4%を超えるマイナス成長となる。デフレも進行するだろう。


私は、ある種の「クラッシュ願望」には与しない。


さらに、特例公債法が年度内に成立しなくても、6月頃までの資金繰りは問題ないから、地方選挙が終わった後で賛成すればいいと考えている方もいるようだが、仮に、国債の暴落や金利の急騰が起こったときにどう責任をとるつもりなのか。反対されている方々には、説明責任がある。


加えて、政府・与党の側にも、否決を恐れて、年度内に特例公債法を採決しない動きも出てきているそうだが、年度内に予算案及び予算関連法案の成立に責任を持つ政府・与党の姿勢としていかがなものか。疑問を感じざるを得ない。


野党の対応も問題だが、与党の対応も問題がある。政治が機能していない。


政治はかけひきだ。しかし、決して国民生活を犠牲にするようなことがあってはならない。このままでは、3月末から4月にかけて、日本経済は重大な局面を迎える可能性がある。


私は、私の予想が外れることを、心から願っている。