ミラーズホロウの狼男 | 大塚角満オフィシャルブログ「大塚角満のブログ」Powered by Ameba

ミラーズホロウの狼男

 昨年から激ハマり継続中のボード&カードゲーム。十数種類買って仲間内でさんざん遊び散らした結果、独断と偏見の“おもしろ度”でランキングをつけると上位は以下のような感じとなる。

1位・ドミニオン(拡張パック含む)
2位・パンデミック
3位・ミラーズホロウの狼男
4位・ミステリーエクスプレス殺人事件
5位・ごきぶりポーカー


 この中から今日は、3位の『ミラーズホロウの狼男』というカードゲーム(なのかな……)をピックアップしたい。「なんで1位の『ドミニオン』じゃないの??」と思われるかもしれないが、これにはキチンとした理由がある。まあ、それは後述する。

 『ミラーズホロウの狼男』は、いわゆる“人狼系”のカードゲームだ。『ミラーズホロウの狼男』は知らなくても、『汝は人狼なりや?』、『タブラの狼』、『究極の人狼』、『裏切者はお前か? (Are you the Traitor?)』 なんていう商品の名称を聞いたことがある人はいるかもしれない。もっとも有名なのは、『タブラの狼』なのかな? じつは俺、『タブラの狼』が欲しくていろいろ捜したんだけど、メーカーが絶版にしているっぽくて手に入らなかったんだよね……。なので、やることは基本的にまったく同じの『ミラーズホロウの狼男』を購入したのである(『裏切者はお前か?』も持っているけど)。

 この人狼系のゲーム、前述の通り遊びかたはどれもほとんど変わらない。すごくシンプルです。

 プレイ人数はおそらく最低8人くらいからで、なるべく多いほうがおもしろい。『ミラーズホロウ』の場合は、取説には“プレイ人数・9~19人”と書かれているが、まあ8人でも大丈夫だ。ルールもシンプルで誰でもできるゲームだけに、この人数を集めるのが最大のハードルかもしれない(苦笑)。ちなみに『究極の人狼』は6~69人まで遊べる。69人フルメンバーを集めるのは相当骨が折れそうだけど。

 やることはいたってシンプル。村人チームと狼男チームに分かれて、殺し合いを展開するのである。それも、“会話”をきっかけにして。

 プレイするにあたり、まずはそのゲームの進行役を決める。これは、立候補制でも推薦でもいい。じつは進行役の雰囲気作りによってゲームの世界観が広がるので、進行役もとてもおもしろい。進行役が決まったら、プレイヤー各人にカードを配る。

 このカードには、そのゲームにおけるそれぞれの役割がイラストで書かれている。たとえばプレイ人数が9人の場合、進行役がひとりいるのでプレイヤーは8人となる。この中に、狼男のカードは2枚。ほかは村人となる(役札もあるがそれは後述)。自分が何のカードを持っているのかは、絶対にほかの人にしゃべってはいけない。ナイショで進める。これで準備完了だ。

 ゲームの進行は、夜フェイズと昼フェイズに分かれている。カードが配られてそれぞれが役割を理解したら、進行役はおもむろにつぎのような台詞を発する。

「ミラーズホロウの村に、ゆっくりと夜の帳が降りてきました……。村人は静かに眠りにつきます……。皆さん、目を瞑ってください……」

 べつに台詞は何でもいいんだけど、とにかく全員に目を瞑ることを促すわけだ。でもこんな感じで進行役が役に入り込んでくれたほうが絶対におもしろくなるので、可能な限り芝居がかったほうがいいとアドバイスしておきます。

 全員がキチンと目を瞑ったら、進行役はつぎのように台詞を発する。

「不幸なことに、村人の中に2匹の狼男が紛れ込んでいます。狼男の方だけ、目を開けてください。そして、仲間の狼男を確認してください……」

 狼男だけが目を開けて、もうひとりの仲間の狼男を確認するわけだ。それができたら、進行役はつぎのように語る。

「では狼男さん、どの村人を喰らうか教えてください……」

 そう、ここで狼男は目を瞑っている村人をひとり、喰い殺すことができるのである。アイコンタクトなりで相談して、誰を喰らうのか決めたら、進行役にそれを教える。このときもこっそりと、目線だけとかで伝えるのがいい。進行役はそれを確認したら狼男に目を瞑らせ、つぎのように宣言する。

「ミラーズホロウに、朝が訪れました……。村人の皆さん、目を開けてください」

 ここから、昼フェイズが始まるわけだ。でもその前に、ある悲劇の報が告げられる。進行役は語る。

「残念なことに、昨夜村に狼男が現れて、ひとりの村人が犠牲になってしまいました……」

 固唾を飲むプレイヤーたち……。十分に間を作ってから、進行役は厳かにこう告げる。

「狼男に喰われてしまったのは……●●さん、あなたです!!!

 ズガーン!! ギャーーーッ!! ってな具合で尊い犠牲が告げられ、喰われてしまった人はその瞬間にゲームから除外されることになる。ここから、本格的な昼フェイズが始まるのだ。

 昼フェイズで何をするのかと言うと、生き残った村人全員でかんかんがくがくの大ディスカッション大会を開くのだ。つまり、“誰が狼男として怪しいか”ということを、さまざまな角度から切り込んで下手人を炙り出すのである。たとえば、「夜、狼男が起きたとき、俺の右のほうから服が擦れる音がした! なので▲▲君が怪しい!」とか、「いつもは饒舌の××がまったくしゃべってない! やましいことがあるからだ!」とかね。ヒントなんてほとんどないから、顔色とか声色、物音や座っているときの姿勢なんてところにまで手掛かりを求めて切り込んでいくわけだ。その結果、生き残った全員でいっせいに“狼男として怪しい人”を指で指し、もっとも得票をもらっちゃった人が“吊るし上げ”られて、ゲームから除外されてしまうのだ。ここで見事に狼男を炙り出せていればいいが、無実の村人を吊るし上げてしまうことも多々ある。それを見て、狼男はグフフとほくそ笑むわけですな。

 この昼フェイズでディスカッションをしているとき、ウソをつくのはもちろんオッケー! 狼男だとバレたら速攻で吊るし上げられてしまうので、あらゆる手を尽くして村人をスケープゴートにするわけよ。ゲームの決着は、村人がふたりの狼男を発見して吊るし上げたときか、村人の数が狼男の数と同数以下になったとき。つまり狼男はひとりでも生き残ればいいわけだから、自分に嫌疑が向けられそうになったとき、相方の狼男を指して「こいつ、絶対怪しい! 狼男に違いない!!」と吊るし上げを先導し、自分の無実(じゃないけど)を主張してもいいのだ。「こいつは狼男発見の功労者だから村人に違いない」と思い込んでもらえる可能性が高いからね。こうやって、狼男は潜伏し続けるわけである。

 ゲームは基本、このくり返しである。狼男が村人を喰いまくるのか、それとも村人が狼男を吊るし上げるのか……。会話と心理の読み合いから生まれるのは極上のエンターテインメントで、毎回毎回違う展開、違う景色が広がることから、夜を徹して遊んでもまるで飽きがこないと断言してしまうね。

 ちなみに途中でも触れたが、村人には特殊な役割を担う“役”というものがある。どの役を入れて遊ぶのかは自由に決めることができるので、参考までにいくつか紹介しよう。

●占い師……夜フェイズで進行役が「占い師だけ目を覚ましてください」と言うのを合図に、目を開けることが可能。そして特定の人物のカードを進行役に捲らせ、その人の正体を知ることができるのです! そこで見事に狼男がわかったら、昼フェイズでの大活躍は確実。「俺、占い師! 狼男は※※だったよ!」と宣言すれば、簡単に狼男を吊るし上げることができる。……んだけど、占い師は超強力な狼男の天敵なので、自分が占い師だとバレると速攻でつぎの夜フェイズに喰われます(笑)。しかも自分が「占い師だ!」と宣言したところで、それをほかの村人が信用してくれるかどうかも微妙。なるべく占い師ということは隠しつつ、狼男を吊るし上げたい。そこが、腕の見せどころ。

●少女……夜フェイズで狼男が目を開けたときに、なんと薄目を開けることができるキャラ! つまり、誰が狼男なのかを知ることができるってわけ。でも占い師と同様、自分が少女だということが狼男にバレでもしたら、瞬時に夜フェイズで喰われます(笑)。

●ハンター……自分が殺されたとき(狼男に喰われたときでも吊るし上げられたときでも)、ほかの1名を道連れにできるキャラ。殺されそうになった瞬間、銃に残っていた最後の1発をぶっ放す、ということか。ここで見事に狼男を退治できれば稀代のヒーローになれるが、誤って占い師やら少女やらを道連れにした日には、「もう起きなくていいから……」と言われること受け合い

 このほか、まだまだいろいろな役がありますが、どれを使うかは参加人数によって調整するのがいいんじゃないかなと。

 とまあ、これが人狼系と言われるゲームの概要です。ぶっちゃけ専用のカードキットがなくても、トランプがあれば代用できると思うし、テキトーに紙を切って自作してもいいかと思います。

 そして最近、iPhone、iPod touchで人狼の進行役を機械が担ってくれるアプリを江野本ぎずもが発見し、つい最近みんなで集まってやってみたのです。これがとてつもなく楽しくてぜひここで紹介したくなり、そのとっかかりとして『ミラーズホロウ』を解説したというわけ。

 近々、このiPod版について書こーっと。