欧州債務問題~ポルトガルが逝っちゃいました。 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

欧州債務問題~ポルトガルが逝っちゃいました。

ニューヨーク市場が引けた後にポルトガル政府が欧州連合(EU)に支援を要請しました。これはギリシャ、
アイルランドに次ぐ3番目の救済になります。ソクラテス首相はテレビ演説で公式に欧州連合からの救済をお
願いする旨を発表しました。ポルトガルは3月24日に議会が財政赤字削減案を否決したのでソクラテス首相
は辞意を表明し、欧州連合(EU)からの救済は時間の問題と思われてきました。


そこで今週の4連続コラム、1日目の本日は、簡単にポルトガルのファンダメンタルズを点検してみましょう。
ギリシャの危機の際、同国の国民が怠けていたから、はたまた公務員天国だったから、などなどの批判があり
ましたが、あまりにも枝葉末節な批判で、本質を見逃していたように思えます。ポルトガルの今年のGDP成
長率は-1%が予想されています。これはアイルランド(-3%)に次いで悪い数値です。財政赤字はGDP
の1.2%程度であり規模の面でスペイン(-4.1%)に比べると小さいです。公的負債はGDPの88.8%
でギリシャの150%、イタリアの120%よりは少ないです。失業率は11.1%です。(データの参照先は
欧州委員会)これらのデータから見る限り、ポルトガルのファンダメンタルズが破綻懸念で取り沙汰されている
欧州国家群の悪いという印象はありません。むしろ問題なのは万年経済の低迷が続き、しかも全く成長戦略が
描けないことが世界の投資家から愛想を尽かされた理由です。なお各国のポルトガルへの貸付残高は以下の通り
です:スペイン 983億ドル・フランス 485億ドル・ドイツ 443億ドル・米国 356億ドル・その他
 212億ドル(データの参照先はBIS)


日本は地震や原発で欧州問題を過去のもののように考えがちですが、欧州の財務問題は依然として存在し、これ
までの悪い流れ、つまり破綻の懸念がされていた国家が現実的に次々と倒れています。次回から3日にわたって、
欧州経済圏の問題を3つに分類して欧州、つまりはユーロが抱える問題に対して、踏み込んで考えてみたいと思
います。ちなみに欧州(ユーロ参加国)が抱える構造的な問題については以前私が書いたコラムの記事にまとめ
ていますので、そちらの方も是非ご覧ください!→ 「欧州債務問題、ユーロは同じ道を辿るのか?」


Ken