Bruckner Symphony no. 8 3rd Mov.
Karajan VPO 1979
CD(コンパクトディスク)の記録時間「74分」は、カラヤンが決めたという俗説がある。CDの開発元であるオランダのフィリップス社から記録時間はどれくらいがよいかと問われたとき、彼は「ベートーヴェンの第九が入るようにしてほしい」と要望し、それが通ったという説である。実際は、CDの直径を決める際、当時普及していたカセットテープの対角線の長さである11.5cmを主張したフィリップスと、12cmを主張したソニーとで意見が大きく分かれ、当時ソニーの重役であった大賀典雄が調査の末、74分収録できればたいていの交響曲及びオペラの一幕はCD一枚に収まるという結果を得てそれを根拠にした。前者ならば録音時間は60分、後者ならば74分録音できることになる。カラヤンの影響については、大賀自身が自著で否定している。
1981年のザルツブルク復活音楽祭で、ヘルベルト・フォン・カラヤン財団が、ソニー、フィリップス、ポリグラム・グループと協力し、急遽、CDの生産に踏み切ると発表している。
カラヤンは1989年に亡くなっているので、それ以降の新録音は当然ない。しかし、生前は発売が許可されなかった録音や、デジタルリマスタリングを施したもの、あるいはザルツブルク音楽祭でのライブや放送録音の発掘などで新リリースが相次いでいる。中でも、1995年に発売された「アダージョ・カラヤン」はラテン系諸国を中心に大ヒットを記録した。ヨーロッパで100万枚を突破し、日本に上陸すると40万枚を売り上げ、人気ポップアーティストを抑えてアルバム年間売り上げの第1位となった(現在までに日本で100万枚、全世界では500万枚を突破している)。
2006年には、FIFAワールドカップを記念して、商品としては未CD化であった「ヨーロッパ国歌集 ザ・アンセム・アルバム(オリジナルLPは1972年の「ヨーロッパ連合国歌集」)」がギリシャ国歌とデンマーク王家の歌であるロイヤル・アンセムを追加してリリースされた。また、同年には1957年(ベルリン・フィル)と1959年(ウィーン・フィル)の日本公演を収めたDVDがリリースされた。2007年12月には1984年10月の大阪公演(『ローマの松』ほか)のDVDが発売された。2008年には、晩年の日本・イギリスでの公演などライブ録音のCD・DVDが多数発売された。2010年には、1977年の普門館での公演のCDが発売された。