貸金業者に利息の過払い金を返還請求する債務者の負担を軽減するため、大阪府が4月から無償で請求額の計算を代行するなど債務整理の総合的な支援事業に乗り出す方向で最終調整していることが6日、関係者の話で分かった。

 債務整理自体は、弁護士や認定司法書士が債務者と業者間の斡旋(あっせん)などを行う法律事務で、通常は報酬を伴う。府は弁護士法に抵触しないよう「後方支援」にとどめる考えとされるが、法曹界の専門分野を侵食する可能性もある。

 事業計画は、弁護士資格を持つ橋下徹知事が主導。関係者は「行政機関として他に例がない試み」としており、平成23年度の新規事業に位置付けられるという。多重債務で返済継続が困難な府民の救済が主な目的だ。

 債務者と面会して表計算ソフトを使った過払い金算定を行うほか、業者との交渉の手引きも実施するという。貸金業対策課の担当職員を増員し、23年度は年間千件以上の債務整理の成立を目標としている。

 関係者によると、請求額の算定ができれば業者と和解にいたるケースは多いとみられており、22年秋から試験的に開始した結果、約25人が延べ約100件で和解している。

 弁護士らに依頼すると、着手金に加えて成功報酬もかかることから、橋下知事が「行政が(支援)すれば報酬分を債務者の生活再建に充てられる」と検討を指示していた。

 ■過払い金返還請求 利息制限法の上限年利(最高20%)を超えて支払った利息分について、債務者らが貸金業者に返還を求めること。刑事罰のある出資法の上限(29・2%)までの「グレーゾーン金利」は借り手が任意に払えば有効とされてきたが、平成18年の最高裁判決が実質的に否定して請求は急増。貸金業者の経営を圧迫する要因ともなっている。グレーゾーン金利は22年に貸金業関連法の改正で撤廃された。

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