<水道水の放射能汚染の測定値>抗議と結果報告;元技術者氏家さん(1) | 脱原発の日のブログ

脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

http://scr.bi/eOG4fX
(※当ブログは字数に限りがあり4ページに分けて掲載いたしますが、外部保管サイトに全文掲示)

水道水の放射能汚染の測定値の発表について疑問を持ち、
個人的に問い合わせた結果の報告を「原発の日」ブログに掲載していただけることになりました。


内容は、報告その1、報告その2、関連情報の転載その1、その2に分かれています。
ML
に投稿した文をあまり加工せず、そのままのせていただくこととしました。


日本の食品に対する放射能暫定基準値は、福島第1原発事故後の3月17日に大幅に緩和されました。
子ども達への影響をできるだけ少なくするためには、正確な情報の公開が必要です。
この長い報告文の中に私の必要だと思う情報公開のあり方が記載されています。

個人でできることには限界がありますので、今後NGOの共同組織として結成されつつある

eシフト』(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)などへ、提起してゆこうと思います。

**************************************************************
報告その1
放射性物質による水道水・食品汚染データの公開を求める運動が必要
 20114 13

水源開発問題全国連絡会に所属する氏家です。

放射性物質による水道水・食品汚染データの公開を求める運動が今すぐに必要であることを、以下に述べます。

東京都の水道水の放射性物質汚染のデータ発表について、適正な処理が行われていないことに以前から気が付いていましたが、今日、その経緯の一部がわかりましたので、投稿します。

東京都水道局金町浄水場のデータを例に取ります。
放射性ヨウ素(ヨウ素131) 単位:Bq/キログラム(ベクレル/キログラム)
3

22
日 210
23
日 190
24
日 79
26
日 34
27
日 不検出
以後不検出となっています。

この時点で、おかしいと気づき、調べたところ、20Bq/kg以下の測定値を検出限界以下と表記していました。

ところが、神奈川県茅ヶ崎市にある神奈川県衛生研究所内で、上水(蛇口)の水を分析した結果では、
3月31日  6.3
3月30日  8.6
3月29  9.9
3月28日  9.6
3月27日  9.2
3月26日  7.4
3月25日  4.9
3月24日  1.0
3月23 0.75
3月22 0.93
3月21 0.58
3月20 0.46
3月19 0.43
3月18日  不検出

となっており、有効数字は0.01Bq/kg0.43Bq/kgでも測定値は発表されています。
元技術者としては、理解しがたい状況でした。

ところが、413日になって『週刊現代』4月23日号p.36の報道を読み、謎が解け始めました。

http://i.imgur.com/7TctZ.jpg
 より
「東京都立産業技術センター都内3箇所の浄水場の水質調査を依頼しています。その際、水については1kgあたり20ベクレル以下の場合には、放射性物質が検出されても『不検出』として報告するよう指示が出されました。理由は都民に動揺を与えないためというものです」

この件に関して、更に詳しく把握するため、
問い合わせ先の水道局お客さまセンター(区部)
 電話 03-5326-1101
に電話をかけて、責任ある担当者から私の方へ電話をかけなおしてもらうことになりました。

東京都が不検出として値を公表しない20Bq/kgは、3/16日以前の規制値10Bq/kg2倍に当たります。

放射性ヨウ素131についての世界の水道水の放射線基準値は下記のとおりです。
世界の基準値
WHO基準      1ベクレル(Bq/L)
ドイツガス水道協会 0.5ベクレル(Bq/L)
アメリカの法令基準 0.111ベクレル(Bq/L)

●3/17
までの日本の基準値
ヨウ素 I-131 10ベクレル(Bq/L) 
セシウムCs-137 10ベクレル(Bq/L

●3/17
以降・現在の日本の暫定基準値
・ヨウ素(I-131131 300ベクレル(Bq/L)
 飲料水 300 Bq/kg
・セシウム(Cs-137137 200ベクレル(Bq/L)
 飲料水 200 Bq/kg
 
20Bq/kg
と言う値は、アメリカの法令基準の180倍です。
暫定基準値の300Bq/kgに至っては、2702倍となります。

この東京都の水道水を例にとっても、
正確な情報が公開されない限り、私達は安心して暮らすことが出来ません。

-----------
今後に向けて-----------

水道水や、各種の食品について、地図上に面的な広がりをもつ形で、放射性物質の検出量が示されているデータ、同じ地点における経時変化が把握できるデータの分かりやすい公表が行われないと、市民生活の不安と混乱が続くでしょう。

GIS
地理情報システムに各食品のデータをインプットすれば、分かりやすい形での情報公開はすぐに可能となります。

仮に、暫定基準値以下の放射能汚染であっても、検出限界以上の値は市民から隠してはいけません。
東京都や、食品安全委員会、厚生労働省、原子力安全委員会は、国民から情報を隠して、よりいっそうの不安と混乱を巻き起こしています。

私達市民が力を合わせて、正確な情報の公開を求めてゆきましょう。
面的な把握ができるデータの公表、
経時変化が分かるデータの公表は、
国や県などの地方自治体の責務です。

以上です。

**************************************************************

報告その2
水道水の放射能汚染について水道局等との交渉結果
 2011418日 

氏家(水源連)です。

水道水の放射性物質汚染のデータ発表について、
その後の報告です。

4
13日の私の投稿の後、東京都水道局、東京都産業技術研究センター、神奈川県企業庁県営水道、神奈川県衛生研究所などへ電話をかけ、詳細を問い合わせ、要請を行いました。

-----------------------------

東京都水道局への電話(414日)

上水部上水課主事のたでい氏(組合員で、管理職ではない人)より、以下の説明を受けた。

・東京都の各浄水場では、6時にサンプルを取り、14時から15時に結果を公表しいる。

・東京都産業技術研究センターにサンプルを運び、全てのサンプルを分析している。

・ヨウ素131について、20Bq/kg以下の測定値を不検出と表記している。

・『週刊現代』が記事にした、
「水については1kgあたり20ベクレル以下の場合には、放射性物質が検出れても『不検出』として報告するよう指示が出されました。理由は都民に動揺を与えな いため」
と言う内容は事実ではない。

・測定を行っている産業技術研究センターと相談し20Bq/kg以下の測定値を不検出と決めた。

これに対して、氏家からは『週刊現代』の記事の真偽を確かめるため、
20Bq/kg以下の測定値を不検出と発表している責任は水道局にある。
・誰がこの決定を下したのかなぜ答えないか理解できないので、責任者である吉田課長や保坂部長と話をさせてほしい。
とお願いしたが、

たでい氏は、
・部長課長は今在席していない。
・後で電話をかけても担当者が対応することになる。
と、責任者との直接対話を拒んだため、結局、責任の所在は不明のままだった。

------------------

東京都産業技術研究センターへの電話(414日)

技術系支援室上席研究員のいせ氏より電話で以下の説明を受けた。

・水道水の測定は、2つのやり方で行っている。
・ひとつは各浄水場のサンプル測定は、速報性を重視して短い測定時間で行っている。
・この速報性により、値が高い時に浄水場で活性を投入し、放射能の吸着・除去の対策をとった。

・測定は、ガンマ線スペクトロメトリー装置で行っており、当初は1000秒間の測定、現在は2000秒間の測定時間で分析している。
・このような短い測定時間では、20Bq/kgの測定数値が出てもノイズとの区別がつかず、正確な値としては発表できないため、不検出と表記している。
・東京都産業技術研究センターでは、大気中の放射能の測定など、数多くのサンプル測定を行っているので、測定器の数が足りず、測定時間を長く取ることは難 しいのが現状だ。

・『週刊現代』の記事は事実ではない。

・もうひとつの測定は、健康安全研究センターが(新宿区百人町3-24-1)、センターの水道直結管の蛇口から採取したサンプルを、2万秒約6時間の長い測定時間 で行っている。
・測定時間を長くすることで、ノイズを低減できるので、0.01Bq/kg単位の値まで公表している。
20Bq/kg以下の詳しいデータは健康安全研究センターの発表を見て欲しい。

これに対して私の方からは、以下の指摘を行った。
20Bq/kg以下は不検出と言う発表は、科学的ではない。
・正確には検出限界値が20Bq/kgであり、水道水には20Bq/kg以下であっても放射性ヨウ素131が含まれているだろう。
・不検出と言う水道局の発表では、幼児を持つお母さんが読んで、放射能が水道水に含まれていないと誤解する。

・ドイツの専門課から日本人へのアドバイスでは、乳児・幼児を含む子どもの飲食物は4Bq/kg以下にとどめるべきだとのアドバイスが出ている。
・このアドバイスに従うためには、水道局の20Bq/kg以下は不検出と言う発表は役に立たず、ウソを言っていることになる。

・健康安全研究センターの水道水では、一番値が高かった日でも37.2Bq/kgだった。
・これに対して、金町浄水場のサンプルでは322日に210Bq/kgが検出されている。
・健康安全研究センターの水道水と金町浄水場からの水道水は水源が異なっているのだから、健康安全研究センターの低い分析値を見ても、金町浄水場の水を飲んでいる人は誤解するだろう。実際には高い汚染度の水を飲んでいるのだから、騙される結果となる。

・各浄水場のサンプルも、より精度を上げた測定が必要だ。
20Bq/kg以下は不検出と言う表記をすぐに止めて、検出限界値の20Bq/kg以下と発表すべきだ。

いせ氏は、私との議論に際し、測定者として誠実な態度で科学的にきちんと説明してくれたので、いせ氏の対応には感謝している。
しかし、低レベルの内部被曝の危険性に対する認識は私よりも低く、厚生労働省が定めた暫定規制値300Bq/kg(乳児は100Bq/kg)以下であれば健康に問題ない、という認識のようだった。

私の電話の結果かどうかは確認していないが、415日から東京都水道局の発表方法が以下の様に改善された。この改善は科学的であり、評価できる。
<次ページへ続く>
-------------------------

※長文につき4ページに渡っての掲載になりました。

氏家さんありがとうございます。