先日、某会社の社長さんとお会いしました。

お世話になっている支援者の紹介でしたので、こちらから会社に訪問しました。
事前にHPで会社情報を確認すると、「M&A」関連の会社ということで、「話が噛み合うだろうか…」と心配していたのですが、予感は的中シラー

経済政策の話、特にTPPについて、意見が真っ向から対立してしまいました。
しまいには、「若いんだから、もっと頭を柔軟にしないといけないよ」とか言われて…そういう問題でじゃないのに…理解していただけなかったことに、正直ガックリしました。

社長さんの意見は、

「会社経営なんてもんは、やってみなきゃわからない部分がある。TPPも議論する期間は終わってる。とりあえず参加してみたらいいんだ。ダメならすぐに引き返せばいい。農業の保護にこだわってチャンスを逃すべきではない」

という趣旨だったのですが、そもそもTPPについて、あまりにもその本質を捉えていないのではないかと恐ろしくなりました。

TPPに関しては、メディア(テレビも新聞も!)が全く本質を伝えておらず、

「もういい加減、目を覚ましてくださいよ!」

という気持ちになります。

という訳で、もう一度「TPPの本質」について、重要な論点を羅列します。


●TPPの背景には、米国の「アジア市場に足がかりを作り、低迷する米国経済を立て直そう」という思惑がある。
●TPPの成功は、オバマ政権にとって至上命題。アジア太平洋向けの新たな輸出が、米国雇用を増加し、オバマ大統領の再選への起爆剤となる。
●米国が特に期待しているのは、日本マーケットの中のサービス産業(金融・通信・メディア等)部門。米国のサービス産業は、GDP比78%で、民間雇用の80%を占める。
●国際ルールを無視する横暴な中国経済に対抗し、米国を中心とする貿易グループに身を寄せるリムランド諸国との思惑が一致している。
●日本が参加した場合、TPP参加国内のGDPの比率は、その90%が米国と日本となる。つまり、完全な日米の主導権争いとなる。
●TPPの24の作業部会の内、農業部門は1/24に過ぎない。日本の農作物は既に60%を海外に依存しており、関税が高いのは「米」を代表とする一部の作物のみ。農業団体が自由貿易促進の抵抗勢力となっているというのは、作られた虚像である。
●「韓国に乗り遅れるな」というスローガンは全く相互の産業構造を理解していない。韓国はGDPの海外貿易依存率90%以上、日本は30%台。


具体的に懸念される事項

【医療】医療サービスの営利事業化が進み、医療の質は低下すると予測される。
【教育】学校経営に対する海外資本の参入(買収)がすすみ、私立校の教育内容は「母国尊重」から「国際化」の流れへ移行することが予測される。
【保険】混合医療解禁により、自由診療対応の保険は、海外に独占される可能性が大きく、国民皆保険制度の崩壊へ繋がりかねない。
【金融】外資系金融機関の自由参入により、国民資産の海外流出が予想される。
【検疫】輸入食糧は、WTOの残留農薬基準に合わせることが求められるため、現在よりも食の安全は低下する。
【技術】企業買収のハードルが低下し、高い技術力を有する中小企業は買収され、日本の技術が流出するのを防げなくなる。
【雇用】公共事業等の自由入札により、海外企業に仕事を取られる。また、日本人は労働賃金が高いうえに、好条件を求めるので、雇用機会は確実に減少する。
【貿易】TPPに参加しても、為替の安定化と円高防止をしない限り、日本は貿易自由化の恩恵を受けられない。



さて、TPP推進派の皆様、これでもTPPをやりますか?
もしやるのであれば、これらの問題をクリアできる秘策を表明してからにしていただきたいのです。

言っときますけど、

「腹案がある」

ってのはナシですよあせる