これでいいのか石川議員手帳メモ誤報の後始末 | 永田町異聞

これでいいのか石川議員手帳メモ誤報の後始末

石川議員に関する重大な誤報、そしてそれを小さな訂正記事で済ませようとするに新聞社に対し、一市民Tと名乗る方が、孤独な闘いを続けておられる。


ご本人からのメールで知り、当ブログとしても、この問題を取り上げることにした。誤報と判明したさい、新聞はどう責任をとるべきか。読者とともに考えたい。


問題の記事は、ことし1月25日、日経と読売の夕刊に大きく掲載された。読売が四段見出し、日経が五段見出しなので、おそらく一面トップの扱いだったと思われる。どちらも概ね、次のような内容だった。


東京地検特捜部が押収した石川議員の手帳に、水谷建設の元幹部らが5000万円を全日空ホテル(東京都港区)の喫茶室で渡したという2004年10月15日の欄に、「全日空」と書かれていた。


特捜部はこの10月15日に水谷建設の関係者が同ホテルに宿泊していたことを確認。授受の3日後の18日に、陸山会の口座に5000万円が振り込まれていたことも判明している。


以上のように、いかにも授受を一貫して否定している石川議員の供述が偽りであるかのような印象を与える記事になっている。


ところが、翌26日の朝刊で、両紙とも紙面のスミに小さく訂正記事を掲載した。Tさんが購読している日経の訂正記事(全文)は以下の通りだ。


25日付夕刊「手帳にホテル名メモ」の記事で、石川知裕衆院議員の手帳でホテル名の記述がある欄は「2004年10月15日」ではなく、水谷建設の元幹部が小沢一郎氏側への2回目の現金提供の時期と供述しているとされる「05年4月」の誤りでした。記事、見出しの一部を削除します。


1月25日夕刊の記事は、手帳の「2004年10月15日」欄に、「全日空」と書いてあることを根拠に書かれたものだ。派手に扱った記事を全否定する訂正内容にもかかわらず、目立たぬよう、無機質な短文で済ましている。


また、全日空はホテル名ではなく飛行機その他かもしれず、本来ならこれだけで記事にすることも良識があればできることではない。


それを無理に「飛ばし記事」に仕立てたうえ、次の日には「記事、見出しの一部を削除します」では通らない。ちなみに日経の見出しは「手帳にホテル名メモ」「『現金授受』供述と同じ日。これが全てである。


一部ではなく、見出しも記事も全てを削除せねばならないはずだ。


さらに、罪深いことがある。訂正記事の「水谷建設の元幹部が小沢一郎氏側への2回目の現金提供の時期と供述しているとされる『05年4月』の誤りでした」とはどういう意味だろうか。


05年4月の30日間のいずれかの日に、「全日空」と書かれているということなら、なぜそれが「水谷建設の元幹部が小沢一郎氏側への2回目の現金提供の時期」と関係があるのだろうか。全く書く必要のないことである。


明らかにこれは、自らの大誤報を取り繕うため、「ちょっとしたミス」のような印象を与えるよう姑息な細工を施したものといえる。これでは恥の上塗りだ。


Tさんは日経新聞読者センターに抗議し、2月1日付けで、日経社長あてに石川議員、購読者、国民への謝罪や、誤報の原因など4項目への回答を求めた。これに対して2月4日付の日経新聞読者センター長、根本正一氏からの返事は以下の内容だった。(原文のまま)


2月1日にT様からいただいた7点の質問(「質問並びに要求事項」)についてお答えします。


1. 26日付で掲載した訂正記事がすべてです

2~4. 記事に書かれていない取材内容、取材源については、本件に限らず
公表しておりません

5. 26日付の訂正記事以外の掲載予定はありません

6. 今後も正確な記事を執筆するよう現場を指導していきます

7. 記者会見などの予定はありません

 これ以上のお答えはいたしかねますので、ご了承ください。


ふつうの大会社が多くの世帯にニセ商品や不良品を販売して、こんな木で鼻をくくったような対応をすればマスメディアから轟々たる批判が浴びせられるだろう。


ただ、ここでは個別の読者への対応を問題にしたいわけではない。新聞は記事によって、正確な情報を読者に伝える努力を怠ってはならない。


とくに、社会的影響の大きいニュースについての重大な誤報があったときは、それなりに目立つ扱いで、読者に間違えて伝えた情報の差し替えを徹底する必要がある。


そこで、筆者は勝手ながら今回のケースでの、あるべき訂正記事を下記に提案してみたい。日経記事の原文はここ をクリックし参照していただきたい。


水谷建設側が石川議員に5000万円を渡したと供述していることに関し、東京地検特捜部が押収した石川議員の手帳に、供述内容と符合するメモが書かれていたとする25日付の本紙報道は、再取材の結果、誤報であったことが判明した。


25日の記事では、石川議員の手帳の04年10月15日の欄に「全日空」と書かれていたと報じたが、これは05年4月の欄に書かれたものだった。


特捜部の事情聴取に対し、水谷建設の元幹部は04年10月15日、東京都港区の全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)で、石川議員に現金5000万円を渡したと供述。この日に水谷建設の関係者が全日空ホテルに宿泊していたことを特捜部は確認している。


このため、本紙は、石川議員の手帳の04年10月15日の欄に「全日空」というメモがあったという情報を入手したさい、「全日空」はホテル名を指すと即断、水谷建設側の現金授受に関する供述と符合すると判断し、記事を掲載した。


しかし、本紙と読売新聞が1月25日の夕刊でこの記事を掲載し、他社が後追い取材をする過程で、特捜部が石川議員の手帳04年10月15日の欄に「全日空」と書かれたメモがあったという情報を否定した。


特捜部によると、石川議員の手帳に「05年4月中旬、全日空」とメモ書きがあったことは確認されたが、現金授受とは全く関係のないことがわかった。


本紙は、十分な裏づけ取材をしないまま誤った記事を掲載し、石川議員ならびに読者の方々にご迷惑をおかけしたことや、社会的な影響の大きさにかんがみ、ここに深くお詫びするとともに、誤報の再発を防ぐため、真摯な姿勢で全社一丸となって正確な報道を期する決意である。(筆者の勝手な提案記事終わり)


拙文でまことに僭越ではあるが、これまでの慣行にとらわれず、たとえば以上のような記事を掲載する勇気と誠意と気概を社として持つほうが、今後のいかなる記事に対しても、読者の信頼感が増すのではないだろうか。


現役の記者諸氏に矜持ある報道への取り組みを期待したい。


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