私の考える中東情勢~中東の窓から世界を見る~ | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

私の考える中東情勢~中東の窓から世界を見る~

ここ一カ月ほど、毎週大手町の丸善や新宿の紀伊国屋、池袋のジュンク堂で本を買い込ん
で、自宅や喫茶店でお菓子と読書で過ごしています。それらの本のいくつかは中東情勢を
正しく知りたいと考え、いくつか文献を読みあさりました。今回は、それらの感想とそこ
から得た知識を大まかにまとめてみたいと思います。


まず歴史的要因から考えます。中東は歴史が古く、多くの文明や帝国が興亡を繰り返して
きた場所です。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が混在する宗教の交差点でもあり、そ
して近年も、戦争や紛争が多発している地域です。


次に地理的要因を考えてみたいと思います。中東は欧州、アジア、アフリカの3つの世界
が交わる場所であり、交通の要所でもあります。スエズ運河から紅海、ホルムズ海峡など
のチョークポイント(戦略的に重要な海上水路)もあり、国際的な物流面でも重要な意味
を持ちます。


3つ目に中東の経済的要因について考えてみたいと思います。中東には石油埋蔵量の3分
の2が集中し、世界のエネルギー事情を握っているといえます。昨今では石油価格高騰に
より、好調な「新興国経済の一部」としての位置づけも浮上しています(一つの具体例と
してカタールの一人当たりGDPは2010年には7万ドル超です。)


各種外交史の分析の専門書を読んだ印象としては「中東という窓から世界を見る」のは、
おそらく国際政治を理解する正しい段取りのようです。しかし私は中東分析には不向きで
はないかと思います。中東には、まずイスラムという宗教圏があって、それがスンニ派、
シーア派などの宗派対立を内包しているためです。加えて、アラブ、ペルシャ、トルコ、
クルドなどの民族が重なり、興亡を重ねてきた歴史が中東にはあります。さらに国という
単位が重なっており、それらの国の国境線の多くは欧州列強諸国が決めた人工的なもので
あり、エジプトのように国家と国民がきれいに重なっていることは、中東ではむしろ例外
的な存在です。当然、国民の価値観を統一することが難しいことは容易に想像できると思
います。このように3層構造のアイデンティティを有する複雑な地域である上に、産油国
とそうでない国との経済格差があり、イスラエルとパレスチナの問題があり、1970年
代以降の人口爆発などの課題がこれに加わります。これではいくら学習しても追いつけそ
うにないと言うのが私の感想です。つまり「中東を分析する」ことを目指せば、そのこと
自体が目的となってしまい、中東情勢を分析しマーケットの流れを正しく読む作業までた
どり着けないで、結果としてトレーディンチャンスを逃すことになってしまう事になるよ
うに思えます。


明日は新たな切り口を考えてみたいと思います。



Ken